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ブリスベンに移住して丸一年を振り返る(トラブル編)
昨日で、日本からブリスベンに移住してちょうど一年が経った。嵐のように過ぎ去ったこの一年を、この機会に振り返ってみようと思う。まずは、前半の6か月、後半の6か月に分けて起こったトラブルについて、書いてみたい。
移住の経緯
私の夫はオーストラリアで生まれ育った日系人。結婚してからはずっと9年近く、ずっと日本で暮らしてきたが、いつかはオーストラリアで暮らすのだろうなと漠然と考えていた。理由は主に下記の通り。
①子供の教育
子供はオーストラリア人の父親をもって生まれたので現在は二重国籍。オプションとして選択できるなら、日本以外での生活を体験させてみたかった。英語の習得に加え、自分と同じような受験戦争を日本で経験させたくないという気持ちもあった。
②お金と仕事
私は非正規の仕事で複数回転職しており、常に将来の展望が見えずにいた。このままどうなっていくんだろう、という漠然とした不安があった。オーストラリアでは家賃を払わずに住める家(義理の実家)があったことに加え、30代でもキャリアチェンジが日本よりしやすく、日本でしっかりしたキャリアがなかった私でも、新しいことに再挑戦できると思った。オーストラリアの給与は日本よりも高く、もっと余裕のある生活ができるという期待もあった。
前半6か月 -義理家族とのトラブル-
最初の半年はストレスレベルが高すぎて、軽いトラウマになってしまった。その原因は義理の家族とのトラブル。
以前の投稿にも書いたことがあるが、私の夫の家族は機能不全的なところがあり、非常に問題が多い。
義理の実家に空きスペースがあるので、そこに住めるということで最初は家探しをせずに済んだのは助かったし、家具などもすぐに揃える必要がなかったので、そのおかげで他のことに時間をかけられたのはよかった。
ただそこに元々住んでいた義理の弟+彼女との関係が様々な事件を経て急速に悪化し、さらに義父の希望でその家を売却することになったため、予定よりもずっと早く家を出ていかなければならなくなった。
ご存じの方もいるかもしれないが、オーストラリアでの賃貸探しは本当に大変である。2023年9月時点でのブリスベンの賃貸空室率は1.0%(下記引用)。家賃の高騰に加え、パブリックハウジングの不足や建設費の高騰も全国的な問題になっている。この1年でホームレスの人も目に見えて増えている。
https://sqmresearch.com.au/graph_vacancy.php?region=qld-Brisbane&type=c&t=1
inspection(内見)の日になれば20組程度の人が見に来るのは当たり前、賃貸契約を申し込んでも倍率が高すぎてなかなか決まらない。申し込みにあたりカバーレターや上司の推薦状などが必要な場合もある。
私たちも急いで書類を準備しながら、友人や息子の担任の先生に推薦状をもらったり、学校帰りに息子を連れて何件も内見に行ったり、毎日何回も不動産情報アプリをチェックして、20件以上契約を申し込んだがすべて断られてしまった。移住したばかりでオーストラリアでの賃貸履歴がなかったので、それも不利に働いていたはずだ。
このまま住むところが見つからずに家が売れて出ることになったら、私と息子の二人だけでも一時的に日本に帰ろうか、なんて考えていた矢先、幸運なことに契約後に入居できなくなってしまった人が借りることになっていた部屋が空いた、という情報が入り、ダメ元で申し込んだところ審査に合格して何とか住む場所が見つかった。
幸い息子の通う小学校からアクセスも良く、小さいながらも便利なロケーションにあり、車を持っていない私たち家族が困らずに生活できるので、とても気に入っている。
とはいえ、とにかく前半は家、家族に振り回された半年であった(家族問題については別投稿で詳しく話したい)。
後半6か月 -息子の学校でのトラブル-
上記の家の問題がやっと終わり、もう義理家族との縁も切ってサヨウナラ
と思ったのもつかの間、今度は息子の学校でのトラブル発生。数か月前から、学校から帰ってくると息子が「○○ちゃんが嫌なことを言ってくる「○○ちゃんがずっと付きまとってくる」「やめてって言ってもやめない」「手をつかんできて離さない」などと話すようになった。
その女の子は同じクラスで、数か月前からは家族ぐるみで週末に食事をしたり、プレイデートをしたり、母親二人だけでお茶しに行けるような関係だった。
最初はきっと息子のことが好きで毎日一緒に遊びたいんだろうな、くらいに考えていたのだが、どうやら息子が強く言い返したり、追い払ったりできないがために、状況がエスカレートしていったらしい。そのうち息子の表情が暗くなることが増え、本当に嫌がっているということがわかると、「もしかして思ったよりも深刻なのかも?」と思うようになった。
我が家では対策として、嫌なことをされたり、言われたりしたときにどうするかを何度もロールプレイして、息子にも「強く言い返してもいいからね!自分を守ろうね!」と言い聞かせていた。
「今日はやってみて効果があった」という日もあれば、「言おうとしたけどうまく断れなくて泣いちゃった」という日もあり、一進一退の日々が続いた。
ある日、別の保護者から「ねえ、知ってる?○○ちゃんって、いつも○○くん(息子)のこと追いかけまわしてるよ。ずーっとくっついてるみたい。他のお母さんが言ってたから、見てみたら本当だね!」と言われ、私の不安は募っていった。
家でのロールプレイだけではあまり効果があるように思えず、そんなタイミングでその女の子のお母さんから二人でお茶に行こうという誘いがあり、その時に初めて息子の様子を話すことにした。
うちの息子、最近○○ちゃん(あなたの娘)とうまくいってないみたいで。嫌なことがあって断ろうとしてもうまく伝わっていないみたいで、やめてくれないって言ってるの。ただ毎日一緒に遊びたいって気持ちが強いだけなのかなって思うけど、困ってるから、○○ちゃんに話聞いてみてくれないかな?
すると彼女はOK!娘と話してみるね、と言って別れ、帰宅後に娘と話したら
「○○くん(うちの息子)が好きで、と毎日一緒に遊びたい。」
「と言っていたよ」と。「でも、相手が遊びたくないこともあるから、何か行動する前に相手の意思を確認するように伝えたよ。」と連絡をくれた。
この時点で私は担任の先生にも状況説明をし、「まだ5歳だから、いじめというコンセプトは存在しないと思う。〇〇くん(息子)のレジリエンスの問題もあると思う。ただ、困っているということだから、息子とその女の子、両方にそれぞれ話をしておくよ。」という返答をもらった。
その後、事態が悪化していくことはその時点では予想していなかった。
彼女の束縛?は止まらないようで、息子はイライラが収まらない様子で、突然ふさぎ込んだり怒り出したりするようになった。
このころ、息子から新しい情報もシェアされるようになった。
● 2回トイレをのぞき見されたことがある。用を足しているときに指をさしてきて、「それなぁに?」と言ってきてすごく嫌だったので先生に言った
● 一緒に遊ぶことになって何か息子がうまくできないことや、違うやり方で進めているのを見ると、「こんな簡単なこともできないの?」「赤ちゃんみたい」と言ってくる
● 彼女の発言で悲しくなって泣いているのを見ても「何?なんで泣いてるの?」と慰めたり謝ったりすることなくあっけらかんとしている様子
逃げても追いかけてきて、無理やり自分のやりたくないことを強要してくる
● 自分以外にもその女の子と喧嘩になったり、泣かされたりしている子は数名いる
● いつも担任の先生が見ていない時間帯や場所に他の子とのトラブルになったり、自分の嫌がることをしてきたりする
こうやって書いてみると、「トイレ覗くのは普通にアウトだろ」というレベルのものと、「遊びを強要って、息子がはっきり断れば解決するんじゃ?」というものと、混在しているのがわかる。
ただハッキリしているのは、「好き」な子に対しての態度ではなく、そこに明らかに力の差が存在していて、彼女は一番自分の言いなりになる息子を手元に置いておきたいように見えた。そして息子は「嫌だからやめて」という言葉も何回も口にしているにも関わらず、執拗に執着されているように感じてしまっているということだった。
この時点で最初に息子が「〇〇ちゃんと遊ぶのが楽しくない」と言い始めてから2カ月以上が経過していた。波はあれど、ほぼ毎日嫌な思いをしているようだった。
ある日、その女の子の母親から「最近、娘は遊ぶ前に意思確認をちゃんとするようになったって言ってるから、状況改善してると思うけど息子くんの様子はどう?」と連絡があった。
(私の心の声)
状況改善してる?んなわけねーだろ。うちの息子、完全に鬱みたいになっちゃってるぞ。たしかにハッキリ言い返せない、強く戦えない性格の問題はあるけど。
他人の気持ちが全く考えられないおたくの子供、そろそろどうにかしてくれない?
前に「娘が学校で何があったか何もシェアしてくれない」って言ってたよね?きっとやましいことがあるから何も親に話さないんだよ。ちょっといい加減にしろよ。
とは言えなかったが、とても辛そうな息子を守りたいという気持ちに駆られていた私は、こう返信した。
実は、息子はかなり精神的に参ってる。嫌なことは嫌って伝えるコミュニケーションをとれるように練習しているんだけど。すぐには解決しないみたい。実は前に話したこと以外にも、いろんなインシデントが重なったみたいで、もう一緒に遊びたくないって言ってるの。
もっと息子が境界線をしっかり引けるようになってくれば、大丈夫だと思う。もし何があったか詳しいことが聞きたかったら、また会って話せるよ。
そこで彼女は「そうなの?そんな状況になってるとは知らなかった。状況を理解して、娘とも話したいから、一回会おう」と返信をくれた。
そこで、彼女に息子から聞いた話を一通り全て話したあと、「二人の間には不均衡なパワーバランスが存在していると思う。距離を置いたほうがいいと思う。」と伝えると、
「わかった。もう一緒に遊ばないように伝えるね。でも、あなたを責めるつもりはないけど、我慢しないでもっと早く言ってほしかった。そうしたらもっと早く解決できたんだけど。先生にも自分から連絡する。」
「娘には相手の感情が読み取れないところは確かにある。でもどうやってそういうスキルを教えていいかわからない。他の子たちとも喧嘩することはあるけど、いつも仲直りして普通に遊んでいるから、特に問題はないと思っている。」
と言われた。
早く言ってほしかったと言われても、その間に2週間の春休みがあり学校がない日が続いたし、息子の言っていることを全て鵜呑みにして相手に文句を言いにいくのは避けたくて、情報収集をしっかりしたい、という思いもあった。
結論、その女の子は息子にその後一切寄り付かなくなったようで、息子はみるみるうちに元気に、明るくなっていった。
どうやら相手の母親が他の保護者にこの話をしたらしく、二人で会った数日後に、この問題は言い返せないうちの息子の問題でもある、と言っていたそう。多分、自分の娘だけ責められた気がして嫌だったんだろう。
ここで学んだことは、
子供が言い返せないのは、自分が同じように他人に接しているのを見て育っているからだ
ということだ。正直、子供に「こうやって言い返してみな!」「手を振り払ってもいいんだよ!」「みんなと友達にならなくてもいいよ!」などと言い聞かせながら、「私も子供の時はできなかったんだよな」と思い続けていた。
No、嫌が言えない
つい相手の機嫌を伺う行動をしてしまう
無理しすぎてあとでものすごく疲れる
今回のトラブルに関して、今振り返ると違うアプローチができたかもしれない、という点はいくつかある。相手の親に話すときも、きっと一方的に責めているように感じさせてしまうような話し方になっていたと思う。
根本的には私自身の問題が息子にも伝染しているのだということを確信したのであった。
自分自身の問題に向き合うことが、今後息子の助けになるのだと思う。
モヤモヤも募り、息子も親である私と夫にもストレスがたまる一件だったが、学びを生かして、人間としてみんなで成長していきたいと心から思ったのであった。
総括
今回は移住してからのトラブルについて、振り返ってみた。日々感じる孤独に加えて、自分ではコントロールできない外部要因からくるストレス、新しい環境、新しい人間関係、とにかく疲れることが多い一年だった。
また、自分の精神状態や抱えている問題について考えさせられる場面も多々あった。これを成長の機会としてとらえて、逃げずに向き合っていきたい。
次は少しだけポジティブなところや、オーストラリア生活についての個人的所見についてもう少し書いてみたい。