alexandwrites
私の"千一夜物語"。 人の持つ、"性"と"愛"と"孤独"。 身体ではなく脳が感じる、ノンフィクションであり、フィクションな"男"たちとの"夜"を描きます。
夢を見た。 たくさんの 色彩と、質感と、 取りどりの人のこころの中にいた。 そこに在るすべては、 どこからともなく発信され、 どこかへと向かうためのメッセージだった。 頭の奥で何度もリフレインする言葉と映像。 目を凝らせば浮かびあがる人の偶像。 時間と空間の概念は消え去り、 ただ、ひたすらそれらの告白を身に受け続けた。 隣には誰かがいたような気がする。 誰なのかは、わからない。 目が覚めて、暗闇。 窓はいつしか、異世界への扉。 どちらが現実? 午後見る夢
衝動に駆られた、巡り逢いだった。 まだ肌寒さが残る春。 私は、見ず知らずの男と二人で旅をした。 岐阜の隠れ宿である。 宿の最寄り駅に続く、ローカル線の乗り口で待ち合わせた。 それが、二人の初対面だった。 彼は、静かな"間(ま)"の持ち主で、 話していてもいなくてもすっと身を委ねたくなる、心地良いリズムのある人だった。 電車の座席に腰掛け、揺られながら話していると、 ふと何かを思い出したかのように彼は笑い、こちらを指差して 「いい意味で期待を裏切られた。」 と、言
「愛が深すぎるんだよ。」 そう言って、彼は 泣きじゃくる私を強く抱きしめた。 たった一人の男と真剣に向き合うことが、 如何に貴く価値のあるものか。 それを教えてくれた、初めての人だった。 ■■■■■■■■■■■■■■■ 出逢いは、六本木ヒルズ。 一目惚れ、と言えば体のいい、ナンパだった。 最初の数ヶ月は、 相手の素性など殆ど何も知らない、曖昧な関係。 会いたくなれば 少し日数に余裕を持って連絡を取り合い、 大抵は私の仕事が終わった深夜、 彼は、車を飛ばして私の
休みの前夜は、いつも、 終電で向かうのがお決まりだった。 駒沢大学駅。 いつも、少し遅れて来る。 いつも、改札の出口で待ちぼうける。 携帯が鳴って、いつもの、彼の声。 顔を上げると、いつもの、自転車と、彼。 駒沢公園のサイクリングロードが、近道だった。 深夜の二人乗り。 くだらない話をひたすらに、笑い合った。 私は細身な彼の、意外にたくましい肩に手を添わせて、 いつも通りのその時間が、ただ、ただ幸せだった。 閑静な住宅街の、 テラスハウスの一室が、彼の部屋だった。
薄暗い、雑居ビルの階段を数階上がったところに、 彼の部屋はあった。 窓からは、上海の夜景が赤黒い錆のような膜を帯びて連なり、 行き交う車のライトが、やけに眩しかった。 私たちは並んでソファに座り、 彼が入れてくれたコーヒーを飲みながら、 互いのことをいろいろと話した。 私も彼も、どうやら恋を失ったばかりのようだった。 飾られた写真立てに、笑顔の彼女。 伏し目がちに語る彼の、低い声。 暫く話を続けた後、 彼は急に黙ったかと思うとそのまま立ち上がり、 数歩進んで仰向けにベ