2.ちょっとね、つらかったね
ちょっと前、青天の霹靂のような離婚劇を経験した。
パニック障害はその出来事の何年も前からあって、ずっと家事も子供達の学校の事も必要最低限しかできていなかった。長女に関しては高校から、長男次男は中学校の制服すら自分で採寸や注文をしに行ってもらったぐらい、中学高校の校舎に入った事もない。三者面談も行ったことがないのだ。弁当は作るのは形の悪い卵焼きだけ。当然あとは冷凍食品のオンパレードだ。
買い物には出かけられないし、
ネットスーパーが始まった頃は助かった、と思ったのも束の間。受け取るというのがまた自分の中ではとてつもない大仕事で、地獄のような数分間であった。
風呂キャンセルなんて当たり前。湯船に浸かりながら息が苦しくて『しーんぱーいないからね』と歌って自分を励まして泣いた事もある。タオルで体を拭くのも髪を乾かすのも、とんでもなく重労働。風呂に入るのは、苦行だ。神様、私は何か悪い事をしたんでしょうか、のレベルである。
『死ぬのは明日でいい。明日になったら、子供が大人になったら、死んでいい。』
と自分に言い聞かせて、そう考えて毎日を這うように暮らしていたら、いつの間にか子供達は全員社会人になり自立していて、16年ほどの月日が経っていた。
この16年の間に前出の離婚劇があったのだがまぁこの夫だった人は何故か私が自力で気持ちを少し上向きにするのに成功しかかると絶妙なタイミングで翼を折りにやってくる。
パニック障害を発症するずっと前からそういう人で。結婚生活は最初からから最後まで、鳥が空を飛んでは地上に落下し再び舞い上がっては叩きつけられるの繰り返し、そんなイメージで。
最後は糞尿を顔に投げつけられたかのような衝撃を受けた。
つづく