母親の愛を求めて泣き叫ぶ幼児の魂を抱いたまま、死ねる訳がなかったのだ、この俺は。
この世は掴みどころのない魔境のような世界。 確証めいたものが欲しくて皆、必死で生きているけれど、手にしたと思った物はいつか全て雲散霧消してしまう。 そんな世界では、いつ命を失っても可笑しくはない。
他人の心を蹂躙したい欲望に忠実な人々の様々 俺はいつも俺自身の心を蹂躙している
健常者であろうと重度障碍者であろうと罪を背負って産まれて来た同じ人間である。 その事実を前に祝福など存在しないことは自明の理だ。 誰にとっても生きること、それ自体が罰である。 殺す人間だけが地獄の業火に焼かれている訳ではない。殺される人間もまた、地獄の業火に焼かれているのだ。