引き続きクルックシャンク氏の偉業を要約し、紹介していく。
最低限の知識は必要になるので、前回記事を読まれていない方は、こちらからお読みいただきたい。
早速本題に入りたい。
第3章 予防接種のオペレーション
この章では様々な予防接種の方法について、事細かに書かれている。
しかし、研究者でもなければ接種方法自体は特に重要だと思わない。
最初の2例のみ引用したい。
その他の紹介されている実践方法等
メイトランド式、あるいは英国式実践
ジュリンの実践
バージェスの実践
手術とその事故
接種後の管理
接種後の事故
手術の失敗
サットンとディムスデールの実践
特に「サットンとディムスデールの実践」については詳細に書かれている。
サットン式は安全性が高いと言われて大人気であり、ディムスデールはこれを真似する。
ディムスデールはロシアに招待され、皇后などに接種を行なった。
この経緯が書かれているが、ここでは省略。
安全性が高いとされるサットン式でも死亡例があったようだ。
"親や看護婦や被接種者に非があることはあっても、
接種者に非があることは決して許されないのである。"
ムーア氏の原典は以下より読むことができる。
問題の部分は269-270ページの以下。
第3章はこの文章で締め括られている。
第4章 ヘイガースの天然痘予防システム
この章ではジョン・ヘイガース氏の提唱した予防法について書かれている。
人痘接種では天然痘を根絶させることができず、逆に天然痘の蔓延を助長した。
天然痘根絶のためヘイガース氏が予防計画を提案した。
ヘイガース氏の著書も無料で読むことが出来る。
「天然痘に罹りやすい人」という訳が適切かはわからない。
天然痘患者は汚物であるかのような記述。
貧困層に対する差別的発言。
衣服からの感染拡大の例。
わずかな距離での空気(?)感染。
感染が拡大する理由。
ヘイガース氏の予防法ここから。
患者の隔離と洗浄・換気。
規則を守る者への報奨金。
感染記録。
島流し・板張り・監視。
人々は規則を守っていた。
定期人痘接種の提案。
ワクチンの登場により、ヘイガースのシステムは見向きもされなくなった。
第4章 まとめ
ヘイガース氏は差別的思想を持つ人物だった。
彼の提案した予防システムは以下。
隔離、洗浄、換気
規則を守る者への報奨金
感染記録
監視
定期人痘接種
第5章 デイリーメイドの伝承
まずデイリーメイドとはこのような職業のようだ。
「チーズやバター等の乳製品を
作る専門のメイド。
傷みやすい乳製品を扱うため
徹底した衛生管理と技術を求められた。」
最初に翻訳した際には「酪農家」としていたため、なるべく直すがチェック漏れがあるかもしれない。
ではどのような伝承なのか見ていこう。
牛痘に感染した人に人痘接種をすると失敗した(接種により軽い天然痘にすることが目的なので、天然痘様の症状が出なければ接種失敗となる)ことが、デイリーメイドの間で噂話になり、伝承の基礎となった。
牛痘に感染すると天然痘から守られる。
牛痘に似た病気がある。
牛は一度だけ罹患する。
牛痘後の人痘接種では膿がほとんどない。
ジェンナーとナッシュが知り合いとの噂。
牛痘後の人痘接種での症状は軽かった。
牛痘後はほとんど天然痘に罹患しないが、罹患した例はある。
ワクチンの登場。
牛痘後の天然痘の例も多い。
ワクチンに対する不信感を持つ者あり。
意図的に牛痘に罹患する習慣。
ここからジェスティ氏(初めてワクチン接種を行なった農夫)についての記述。
1774年にジェスティ氏が家族に牛痘接種を行なった。
ジェスティ氏は牛から自然感染していた。
ジェスティ氏と2人の息子はそれ以来しばしば天然痘に感染した。
ジェネリアン協会というものが出てくるが、英語でもwikipediaのページがないため、別のサイトから引用したい。
ウェールズの王子と王女が後援。
ジェスティ氏、ロンドンに招かれる。
ジェスティ氏のロンドンでのエピソード。
ロンドンで彼は金銭的な報酬を求めることはなかったようだという記述がある。
墓碑。
以下が本書に載せられているジェスティ氏の肖像画。
クルックシャンク氏はジェスティ氏が実在の人物であったことを、様々な証拠を提示して強調している。
第5章 まとめ
今回はここまで。
最後に、この本の購入はこちらより。