
【浪人を振り返る③】フロンティアホール
フロンティアホール。通称フロホ。
そこは駿台の学生たちがご飯を食べたり、息抜きに友達としゃべったりすることができる場所だ。
その場所の居心地はそれなりに良く、わたしもお昼ご飯を食べるときによく利用していた。
しかし、夏休み彼らは現れた。
それが、フロホ族というやつだ。
夏、わたしがいつものようにお弁当を片手にフロンティアホールに入ると、そこにはポテトチップスの袋を広げ、2Lのコーラを飲んでいる4人組の男たちがいた。
当然彼らの手にあるのは参考書や赤本ではなく、スマホであり、おそらくブロスタ(?)をやっていた。
駿台の開門から閉門まで一日中、一切勉強することなくゲームをやり続けていたのだろう。駿台に来てゲームだけして帰るなんて、何のために予備校に通っているのだろうか。彼らのうち、2人が後期でクラス落ちし、残りの2人もSAには残留したものの後期の授業ではほとんど見かけなくなった。
わたしはお昼ご飯を食べながらラジオを聴くことを日課にしていたので、イヤホンのノイズキャンセル機能で、騒いでいる声は特に気にならなかった。
ただ、それでも迷惑だったのが彼らが、フロホの机の半分以上を占拠していることだった。
別に、勝手にフロホ族になって、勝手に落ちこぼれるのは構わない。だって、受験は自己責任なんだから。でも、他人の足を引っ張るのは違うのではないだろうか。
さらにひどいことに、後期に入るとフロホ族の人数は増えた。最初4人だったのが気づくと7人になっていた。
一応、机の上に赤本や、青本を置いていたが一切手を付けず、やはりやることといえば、スマホゲームである。
もう見ていてうんざりした。自分の立場が分かっていたのだろうか。あなたたちは所詮浪人生。周りの多くの浪人生は自習室に籠もって勉強しているというのに、スマホゲームとかいうくだらないものに貴重な時間を浪費しているのはバカとしか言いようがない。
10月になると駿台の事務の方も彼らの問題に気付いたのか、LHRでフロンティアホールの使用上の注意の再確認が行われ、フロホ族に対して注意するような文言がメッセージで送られてきた。
しかし、それでもフロホ族の迷惑行為は収まらなかった。それどころか、以前よりもひどくなっているように感じた。
そうして、12月ついに駿台もこれではダメだと思い始めたのだろう、フロンティアホールに大量の張り紙が張られた。
「30分以上の利用禁止」
「食事以外(勉強or娯楽)目的での使用禁止」
など、今までなかったルールも書かれた張り紙だった。
これでやっと彼らの暴走はマシになった。とはいっても、結局彼らは12月の共テ直前期までゲームをやり続けていたのだ。
果たして、彼らの共通テストの結果はどのようだったのだろうか。まぁ大体予想はつく。
確かにフロホで友達と集まって遊びたいという気持ちはわかる。私だって何度も浪人から逃げ出したくなり、大学へ進学した友達のように遊びたいとも思った。
でも浪人は一年しかない。一年はすごく長く感じるが、実はあっという間に進んでいく。
一日一日を大切にしなければ、志望校合格は難しいだろう。一年くらい我慢できる。一年くらいだったら頑張れる。
浪人生には誘惑も多い。でもその誘惑に勝つことも受験の「実力」と言えるのではないか。
これを読んでくれている方で、もしこれから浪人するという人がいればぜひフロホ族だけにはならないように気を付けてほしい。フロホ族なんかになったら一生駿台の底辺から抜け出せなくなる。さらに、他人に迷惑をかけるのは本当によくないことだ。
フロホ族に限らず、何か自分が他人のせいで不利益を被っていると思ったら駿台の職員さんに直接相談してみるのが有効であると思う。