洗濯が終わるまで
帰宅途中、昔好きだった人を街で見かけた。
中学の同級生。くりくりの目とバサバサのまつ毛、かわいい顔立ちの坊主野球部だった。
彼は運動部とは思えないほどシャイ(運動部への偏見)で、部活の仲間以外と連んでいるところをあまり見たことが無かった。野球部連中でわいわい話している中、ニコニコしながら相槌を打っている彼の姿は、さながら心を開いた人にだけ懐く犬のようでかわいかった。
クラスは違ったが、彼を見かける度に自然と目で追ってしまい、会えたら嬉しいと思う自分がいた。恋心だという自覚は無く、ただ仲良くなってみたかった。シャイだが無愛想な人ではなかったから、共通の友達を介してたまに二言三言話すことはあったが、とうとう3年間同じクラスになることもなく関わりの薄いまま卒業した。
今日久しぶりに見かけた彼は、お腹も出ておらずシュッとした出立ちで、昔の面影をちゃんと残しつつも精悍な顔立ちになっており、あぁやっぱり好きな顔だなぁと思った。あまり話したことが無いため顔のことしか言えないのが我ながら情けないが、それでも10数年前の淡い思い出が心を掠めた心地良いひとときだった。
実家は出たもののずっと同じ街に住み続けているので、小中学校の同級生を見かける機会は実はけっこうある。みんな地元からあんまり出ないんだなーと思いつつ、変わらないそのコミュニティになんだか安心したりもする。
僕は東京が好きだ。他者が介入してこない気楽さ、自由さがずば抜けているし、ひとりでいることを許容してくれる優しさがあると思う。「東京の人は冷たい」と言われたりするが、それは「放っておいてくれる温かさ」を必要としない人の意見では無いだろうか。
セクシャリティーなんかを突っつかれたりしたくない人間にとって、東京ほど楽に生きられる場所を僕は他に知らない。品行方正、後ろ暗いところの無い人間にとって田舎は温かいと感じるのかもしれないが、プライバシーが筒抜けで交友関係が狭く、年頃なのにまだ結婚しないのかなどと噂されるようなコミュニティの方が、僕にとってはよっぽど恐ろしい。あぁ、東京に生まれて、良かった!(突然の○○○○ちえみ)
洗濯が終わるまでの間、ダラダラと書いてみたnoteでした。休肝日じゃないと文章を書こうという気になかなかならないけど、たまにはこういう日もいいなぁと思いました。まる。
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