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資金調達~より良い条件へステップアップ~ その1

友人の経営者から、金融機関からの融資について、私がどんなことを考えているのか聞かれました。
彼は金融機関との交渉に慣れていないようで、金融機関は特別な存在であり、彼らが言うことを鵜呑みにしなければならないと思い込んでいるようでした。
私も最初は彼と同じような感覚で、
「貸して頂けるのだろうか?」
とかなりへりくだった姿勢だったことを思い出しました。


借金は悪?

借金の返済で大変な苦労をした、と母から聞かされて育ったこともあり、
「お金を借りることは悪いこと」
と刷り込まれてきました。
確かに、先代の父の時代は低金利の現在と違って大変だったと思います。
逆に銀行や郵便局の定期に入れておくだけで資産形成が成立する時代でもありました。
事業における借金の本質は
「時間を買う」
ことです。
事業でコツコツと利益を出して、それを資金として設備投資をする。これは堅実ではありますが、大きく成長するには、とても時間がかかります。
先に資金を調達(お金を借りて)して、設備投資をして、成長の加速度を上げること、つまり投資に意味があるのです。
利益が積みあがるのを待つ、というのも一手ではありますが、基本的に売り上げが増加するとキャッシュが足りなくなります。
これは経営をされていない方には理解しにくいかもしれません。経営者でも誤解されている方が多いですね。売上が伸びているのに、キャッシュが増えないのは、売上原価(原材料の仕入れや製造費)を先に支払って製品やサービスをつくり、それらが売れて、現金を回収するまでにタイムラグが発生するために起きる現象です。
「売れた=現金が増える」わけではないのです。
商売をしているとこうした状況が普通に起こるため、金融機関から融資を受けることは必然と言えます。
金融機関としては、あとから現金が回収されることを見込めるという前提があればこそ融資をしてくれるのです。

個人で消費者金融で借りるのは悪手です。
なぜなら投資でないため、お金が増えないからです。
投資でなく、「消費」に使われるから、何も生み出しません。
そのため返せなくなる人の割合が増えます。
だから金利が高く設定されています。
それでも儲かるから銀行が消費者金融に手を付けています。
こんなところに手を出したら人生が詰む可能性が大です。
堅実に、真面目に働きましょう。

「貸してください」は負けか?

創業時は資金がないため、金融機関に融資をお願いしに行くことは必要なことです。これを負けというつもりはありません。
最初は、貸してもくれない、なんてことがよくあります。
私は創業者でなく、二代目なのでこの経験がありません。友人の創業経営者からはこういった話は聞きます。
利益が出せるかどうか分からないものに対して、金融機関はとても慎重です。そのリスクをとるのが本来の金融機関の仕事だと思うのですが、、
ただ、経営者本人も自分の新規に行う事業が儲かるかどうかなど、やってみないと分かりません。金融機関としてもビジネスモデルや経営者のパーソナリティーを勘案するのではないかと思います。この辺は私にはよく分かりません。
そして、ある程度、ビジネスが軌道に乗ってきたら、金融機関にポジティブな評価を頂けるような決算書を形作っていく必要があります。
私もYouTubeなど見ていて、一番の評価ポイントは
「現預金」
のようです。
現預金を増やすには①利益を上げる、②資金調達(借入)をする、の2つの手段になります。
②資金調達(借入)は金利や手数料など、コストがかかります。しかしこコストをケチると、なかなか現預金は増えません。①の利益はコントロール不能です。金融機関から借り入れすることが手っ取り早い方法です。
1,000万円の現預金を利益で増やすことは並大抵ではありません。しかも利益を確定させることができるのは決算日のみです。
起業後、現預金を厚くするには金融機関にお願いする以外ないと思います。
しかし現預金が多くあることを評価されるのであれば、その後、融資条件が改善するでしょうし、返済の実績を積むことが、会社の信用力をアップさせることになります。
「ウチの会社は借り入れなくても十分やっていけるから」と考えて、実際に借入返済をしないと、金融機関からはいつまでも信用を得られません。金融機関からすると、融資を受けてくれない相手はお客様とは言えないかもしれません。取引してくれない相手に良い条件を提示する可能性は低いでしょう。
借入返済の継続で信用を積み上げたら、融資条件を自社に有利になるように交渉していく必要があります。

借入条件のポイント

条件はいくつかありますが、私が重視しているポイントは

  1. 個人保証がないこと

  2. プロパー融資(信用保証協会の枠を残す)

  3. 金利

  4. 変動か固定か

1.については金融庁からの指導もあり、真面目に経営していれば個人保証はなしでやってもらえると思います。
真面目な条件は、会社の財布と個人の財布をきっちり分けていること、など融資したお金が不適切に使用される可能性が高ければ、認められないこともあるようです。

2.プロパー融資とは金融機関が直接、融資をしてくれることです。創業間もない頃や、信用が高くなければ、信用保証協会付きとなります。金融機関にとっての保険のようなものです。返済ができなくなった場合、金融機関に代わって信用保証協会に返済することになります。信用保証協会付きは手数料が発生するため、プロパーよりも割高になります。

3.金利は借りる側が一番気にするところだと思います。低金利が続いている状況ではあまり気にする必要はないでしょう。

4.固定金利であれば、支払総額が借入の時点で判明します。ただし、変動金利よりは高めですが、変動金利はその名の通り、どうなるか分かりません。

一般的に、欲しいといった者が負けです。
金融機関から借りませんか?と言ってもらえる状況をつくることが大切です。

つづきはまた。

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