「父の日」で思うこと
父の日に父の七回忌を行いました。
来て頂いたご住職からご焼香について説明がありました。
真言宗では3回焼香するのが作法となっています。
もちろんそれは知っていたのですが、なぜ3回なのか?ということを教えて頂きました。
1回目は「過去」
2回目は「現在」
3回目は「未来」
を表しており、先祖への感謝、今を生きていることへの感謝、未来へ向けて命を繋いでいく、といった意味があるとのことでした。
こうしたお話しを伺った後に行うご焼香は自分にとって重みのある時間となりました。
幼少期を思い出すと、子供想いの人で、いつも我々兄弟の味方でした。外に対して攻撃的な姿勢を見せるので、私としては、少しひいてしまう感覚がありましたが、絶対に守る!という意思の表れだったのでしょう。
私が4歳の頃、犬を飼い始めました。犬もまだ子供で遊びたい盛りだったため、私にとびかかるようにじゃれてくるのです。犬に悪気はないのですが、当時の私には恐怖で、逃げることができず、その場で泣いてしまっていました。二つ上の兄もどうすることもできず、父を呼びに行き、父は犬を蹴り上げてストップさせていました。
今の感覚で言えば、動物虐待ですし、その当時の私も、助けてもらいつつ、そこまでしなくても、と感じていました。
終始こんな感じなので、私は自分の身に降りかかるトラブルは極力自分で解決するようになりました。父に出てこられると、事が大きくなるかもしれないと思っていたからです。
こんな攻撃的な父ですが、私たち兄弟は殴られたことなど一度もありません。怒鳴られたこともありません。
一方で、母にはずいぶん当たっており、夫婦喧嘩が絶えませんでした。父は酒が好きで、仕事から帰宅するなり、すぐに飲み屋にいってしまうこともよくありました。母は公務員で遅番の日などは、子供だけで家にいました。そういう日は夕食を作ってから飲みに行く律儀な父でしたが、母からすると、子供を置いて飲みに行くなど言語道断、ということで常にぶつかり合っていました。子供の立場から言えば、別に父がどこに行こうが全く問題なく、むしろ、そこをつついてしまう母にやめてくれと思う気持ちの方が強かったですね。
父と母は仲が悪く、特に母の父に対する憎悪は強く、父のいないときに父への非難の言葉を常に聞かされていました。確かに父は母には容赦なく怒鳴ったりひどい言葉を浴びせており、母の恨み節も聞いてやらないと、という気持ちでいました。
子供からすると心が張り裂けてしまいますよね。どちらも大切な存在ですから。
時は流れ、サラリーマンを辞めて、私は父の会社を継ぐことになりました。
毎日顔を合わせて、一緒に仕事をしていると、知らなかった一面を知ることになります。
攻撃性が強いと思っていた父ですが、仕事上ではソフトな対応をするのです。年齢や体調により、丸くなったのかもしれません。
母はずーっと、父のことを悪く言っていましたが、それは結局、父と母の関係がそうさせているのであり、そういう面もある、ということに気が付きました。母には気の毒ですが、そのような夫婦関係を作った一因は母にもあると私は思っています。父が死んだ今でも、なじることもありますが、生前に比べるとかなり減りました(笑)
仕事に関しては、顧客や取引先に対する信用を重んじていたと思います。
私は自分なりに創意工夫で継いだ会社を継続していますが、基本的にはそうした姿勢を愚直に追及しているだけです。
継承させて頂いてありがたく思っています。
もちろん改善が必要なところもありますが、それは私の課題ということでひとつひとつクリアしています。
過去・現在・未来
過去に感謝し、懸命に現在を生き、未来へつなげていきたいと思います。