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顧客層や商材を広げることで失うもの
ビジネスをやっていると、あれこれと手を広げたくなる衝動にかられます。
このこと自体は成長意欲からきているものなので基本的には良いことだと思っています。
また手を広げる中で、新たなビジネス領域を開拓できることもあります。
しかし手を広げるということは、新たに資金や設備、人材を投入することですから、既存のビジネスが手薄になりがちです。
当社のビジネスモデル
当社はアルミをメインとした金属リサイクル業を営んでいます。
主な顧客(仕入先)や取引形態の特徴としては
アルミ・金属部品の製造・加工を行う事業会社(BtoB)
継続的に取引をして頂けることが前提
こちらから定期的に回収に行くスタイル
商材の質や量に応じて買取金額を決める
となります。
そして回収した金属廃材を自社で選別・加工して、再生メーカーにリサイクル原料として販売しています。
基本的な事業をこの領域に特化してきたため、営業エリア内では手堅くサービスを展開させて頂いております。
しかし、顧客層を広げようとするとなかなかうまくいかない現実があります。
顧客層や商材を広げることによるデメリット
たとえば顧客(仕入先)を個人や解体業者に広げると、おそらく取扱量が増え、売上はアップするでしょう。
一方で以下のようなデメリットが発生する可能性があります。
自社に持ち込まれるスタイルに変わり、オペレーションが変化する
取扱品目が増え、それに見合ったスペース・設備・人員が必要になる
競合が増える(例えば中国系ヤード)
利便性よりも買取価格を重視する顧客が多く、取扱量が不安定かつ薄利になる
客質がBtoBとは大きく異なる。解体業者はBではあるが、持ち込む作業員はCに近いため、コントロールしにくい
支払方法が現金となり、常に現場作業員と経理担当者を社内に待機させる必要がある
ネット集客などマーケティング費用が増大化する可能性がある
結構なデメリットです。少し試してみて、やるべきではない!と今のところ当社では判断しています。
もちろん、事業を拡大する戦略として誤っているとは思いませんが、こうしたデメリットを乗り越える方法が見えない現状では、当社にとってはデメリットがそのまま経営に乗りかかってきます。
売上が欲しいか?利益が欲しいか?リスクを考えよう
売上が少々アップしても、それ以上にコストアップになってはやる意味がありません。
顧客層を広げることで、利益を失っては本末転倒です。短期的に利益がなくても、その後、利益を取り戻せる算段があればよいと思いますが、経営者は売上規模には誘惑されやすいものです。
皆さんが経営者だとして、次のビジネスのどちらを選びますか?
①売上100万で利益が1万
②売上10万で利益が1万
私は②です。残りの90万を使える可能性が出てくるからです。
また①に比べてリスクが10分の1です。
商売はお金を回収するまでが仕事です。何かを売ってもお金を手に入れなければ、売上の数字など絵に描いた餅です。①で売り先が倒産しようものなら100万が失われます。②なら10万の損害で済みます。
売上を求めて客層を広げると①の状態に近づいていきます。
大企業は顧客も商材も絞り込んでいる
みなさん、大企業は客層が広く、多種多様な商材を扱っていると思っていませんか?
実は逆なのです。ほとんどの大企業は顧客・商材を絞り込んでいます。それゆえ薄利多売のビジネスを実現できています。
ユニクロもニトリも多種多様な商材を扱っているように見えますが、ターゲット層はボリュームゾーンです。数の少ない富裕層を狙っていません。
マクドナルドの取扱商品はハンバーガーとポテトとドリンクです。その中で種類はいくつかありますが、限定的です。価格帯もセットで600~900円です。
個人相手の商売でもここまで絞り込んでいます。
大企業も大半はBtoBで、なおさら客層も商品も特化しています。逆にそこまでしないと競合に勝てないのだと思います。
大企業ほど市場シェアが重要になってきます。
ビジネスモデルを模索していたり、業況が悪いときは、ついつい目先の売上に目が行きがちですが、それによるコストアップが売上アップを上回り、利益を棄損することは多々あると思います。
やってみないと分からないことはありますが、現実を厳しく見て、事実を受け入れ、引き続きGOなのか、撤退なのかを数字で追っていく必要があります。