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◇個人的GOTY2024◇前編(10~6位)

 いくつかの大作ゲームが2025年に発売を控えているなか、2024年は「谷間の年」と揶揄される向きもあった。しかし、蓋を開けてみれば大手メーカーもインディーズも、他の年に全く引けを取らない粒ぞろいの傑作ばかり。個人的にも毎年作っている”ベスト10”は気に入った作品が多く選ぶのが非常に難しかった。今年は簡単なレビューつきでまとめたので初のnoteとして公開してみる。まずは6位まで。


第10位『SHADOW OF THE ERDTREE

PlayStation5

 2022年の覇権ゲームによる初のDLC。
 特筆すべきは、体感で本編の5~7割にも及ぶボリューム。広大かつ作り込まれた多彩なマップをはじめとして、武器や戦技、魔法と奇跡、個性的なボス敵が多数追加された。「ここまでの追加要素は2のために取っておいた方が良かったのでは…」と思ってしまうほどである。

 アクションRPGの基準を次々と押し上げ続けてきたフロムソフトウェアだが、ここにきてDLCに措いても金字塔を築き上げてしまったという印象だ。

 リリース直後は難易度のバランスが悪かった点、ラスボスに新鮮味がなかった点、トロフィーが全くの未実装でクリア後にモヤモヤした点、何よりもスタンドアローンのゲームではないことを考慮してこの順位になった。

壮大な世界ふたたび


第9位『バックパック・バトル

Steam (Early access)

 ”デッキ構築”系のゲームは病みつきになる人も多いが、ともするとルールやシステム面の複雑さから、プレイのハードルが高いと思われがちなジャンルである。

 この独創的なローグライクゲー、『バックパック・バトル』はポップなイラスト通り、深みにハマるまでは覚えることが非常に少なくカジュアルに楽しめる。パズルのようにマスを武器やアイテムで埋めたら、戦闘はオートマティックに進むので後は眺めていれば良い。しかし、観ているだけでも派手な演出や”一騎打ち”という明快な構図(対戦相手のアイテムも見られる)に飽きることは全くない。「入りやすく・沼りやすい」新時代のデッキ構築ゲームが誕生した。

アイテムがぴったり収まると快感


第8位『Abiotic Factor

Steam (Early access)

 「ゲームに美麗なグラフィックは必要ない」と一部では声高に叫ばれている。私は否定寄りの意見を持っているが、高精細なグラフィックを備えていることが面白さの絶対的”必要要件”でないのは確かだろう。この『Abiotic Factor』はお世辞にも映像が綺麗とは言えない。良くてPS2レベル、体感ではPS1や64レベルかも。しかし、ゲームとしての面白さはピカイチだ。

 ジャンルはサバイバル・クラフト系で、”SCP”を思い起こす巨大軍事施設のなかを冒険する。特徴は「脱出」という明確な目標があること。サバイバルゲーム特有の「何をやったらいいか分からない」無為な自由時間は存在しない。探索し、道を切り開き、多種多様(で恐ろしい)怪異に対処する。サンドボックスとステージ攻略型のゲームが組み合わさったマップデザインが非常に秀逸なのだ。協力プレイで楽しさが何倍にもなる快作である。

震えあがるほど怖い敵「レヤック」


第7位『メタファー:リファンタジオ

PlayStation5

 基本的にJRPGは手を出さないことにしている。あまり肌に合う作品がなかった経験からだ。ただし、アトラスの『ペルソナ』だけは別で、あのシリーズの魅力にはどうしても抗えない。
今年の10月、衆院選の真っただ中に発売されたこの新規IPは、謂わば『ペルソナ』シリーズの姉妹作である。複数の種族によって構成された架空の連合王国を舞台に、暗殺された王の後継者を巡って行われる壮大な「選挙」が物語のテーマだ。

 システムは『ペルソナ』と殆ど同じで既視感を覚えるし、広げ過ぎたストーリーは大味な印象を拭えない。グラフィックもそこまで綺麗ではなく、終盤の戦闘バランスにも難がある。こうしたそれなりの不満要素を抱えてはいるのだが、それ以上に素晴らしい点が多く、欠点を吹き飛ばすほどにパワフルなのがこの大作だ。『ペルソナ』シリーズでは希薄な冒険感もあり、特に”鎧戦車”を用いて遠方を目指すシステムは広大な世界を魅力的に演出している。クリアまで60~70時間を超えるボリューミーなゲームプレイにも飽きる隙が一切ないのは凄かった。新たなシリーズとしての拡大に期待のかかる秀作。

大きな街がいくつもあるのが嬉しい

第6位『BALATRO

Steam

 トランプを使った古典的なゲーム「ポーカー」を魔改造した作品が今年を代表する一作になるとは誰が想像しただろうか。しかし、間違いなく2024年で最も成功したインディーズ・ゲームであり、リリース直後から多くの話題を呼んだのがこの『BALATRO』だ。

 ルールは至って簡単、というよりも「テキサス・ホールデム」そのもの。つまるところ土台はどこまで行ってもポーカーなのだが、なんとプレイ感覚は”デッキ構築”系ゲームへと作り変えられている。52枚のトランプを各ラウンドの合間に改良し(数字、スートの変更からカード自体の削除まで)、役を出やすくしたり、役自体の価値を上げて設定されたスコア突破を狙う。そこにチップや倍率が加算されるなど様々な効果を発揮する「ジョーカー」、手札枚数やカード交換の回数を変える「バウチャー」の存在が絡み合って、簡単なのに奥深い(ほとんど沼)体験を生み出しているのだ。

 既存のカジノ・ゲームを改変するという発想、覚えやすいのに何度プレイしても飽きないディープな内容、シンプルでもお洒落なUIや、個性的で秀逸なジョーカーのデザインなど、どれを取っても完成度が非常に高いインディーズ・ゲームである。スマホを含めたあらゆるプラットフォームで提供されているのも最高だ。

バカみたいな高得点が出るとストレスが吹き飛ぶ

 まずはここまで。既に順位は決めているので5位~1位も近いうちに書き上げたいと思う。全体的に日本のゲーム・海外のゲーム、大手・インディーズとバランスが良くて驚いた。

後編https://note.com/alces_moose/n/n14d78d2085be?sub_rt=share_b

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