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吉永一明監督と、シンガポールで。

片渕浩一郎監督が解任され、吉永一明アカデミーダイレクターが新たにアルビレックス新潟の監督に就任することが発表されました。

吉永監督は、ご存知の方も多いかとは思いますが昨年までアルビレックス新潟シンガポールの監督を務めていた方です。2年間の在任期間中は2年連続でシンガポールのリーグ戦・カップ戦全冠制覇を達成し、昨シーズンのリーグ戦は無敗で優勝を成し遂げました。なおかつ、昨シーズンはリーグ側から強引とも言える規則変更でチームに年齢制限(23歳を超える選手は1名のみ、21歳以下が全体の50%)を加えられた中で、ほぼゼロからチームを作り上げ全冠制覇という結果を残しました。


昨年シンガポールでアルビレックス新潟シンガポールの練習を見学した際に、吉永監督と会話をさせていただく機会がありました。
今回そこで印象に残った内容を紹介したいと思います。

話を伺ったのは昨年8月上旬で、ちょうど鈴木監督体制下で東京V、千葉に連敗を喫した直後でした。吉永監督は当時から新潟の試合をチェックしていたので、率直に新潟の問題点について尋ねました。

当時さまざまな意見があったとは思いますが、「鈴木監督のサッカーは定着に時間がかかる」「選手が判断をする必要がある高度なサッカーなのだ」という意見は目にしていたように思います。私は戦術や分析を詳しくできるわけではないですが、「開幕から数か月経過した今になってもチームとしての形が見えない」「選手個々のがんばりで何とかしているように感じる」という印象を話しました。

それに対する回答の中で一番印象に残っているのが「開幕までにチームを仕上げないと本来だめだと思う」という内容でした。シーズンで試合ごとにプレーのミスから修正点は出てくるが、根本となるベースの部分はキャンプ期間で作り上げなければいけないと。

この考えはかなり強く印象に残りました。自分は「チームが良い形を作り上げるには、シーズン中を含めて時間がかかるのは仕方がない」と考えてしまっていましたし、実際昨シーズンの新潟に対しても時間をかけていくうちに良くなるのではないかと漠然と考えていたところがありました。

これだけシーズン前の準備についての大切さを説く監督が途中交代で結果を残せるのか?という不安は当然あると思います。しかし、吉永監督は先に述べたように規則変更でほぼゼロからチームを作るという逆境の中でも最高の結果を残した人物です。チームとしては苦渋の決断だったと思いますが、早い時期に監督交代の決断を行うことで昇格という結果を得るためのベースを作る期間を設けたのだと考えます。


また、吉永監督のサポーターに対する考え方として印象に残ったのが「自分であれば厳しい声を覚悟で場内を回るしメッセージを伝える」ということでした。昨年新潟のチーム状況が悪い中でもクラブや現場からの発信があまりなかった中で、成績が悪い年・状況でクラブとしてどうするのか、それをサポーターに伝えることの重要性を認識しておられることが伝わってきました。

苦しい状況でもサポーターに対して向き合い、その状況を共有しようと発信する是永社長と共にシンガポールで戦ってきた吉永監督ですから、現場とフロントは同じ方向を向いて進んで行けると感じます。当然私たちサポーターもそこに協力して、今の状況を抜け出しましょう。


最後に。吉永監督は2005年と2006年に清水エスパルスで指導者経験があり、その際「アウェイを感じたのは浦和と新潟だけだった」とのことでした。

現在新潟の状況が4万人に遠いことは承知しています。それでも、新潟に関わる全員がチームを良い方向に進めて今度は吉永監督にホームとしての新潟を感じてほしいです。


今回の監督交代が、アルビレックス新潟というクラブのストーリーで大きな節目となることを願って今後も応援していきます。吉永監督、一緒にJ1へ昇格しましょう。

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