
アンコール遺跡群 ⑨ 削りとられたレリーフ(彫刻)
<旅行記(2011年ベトナム&カンボジア)no,33>
クメール王朝の繁栄の跡を、見ることができるアンコール遺跡群ですが、
現地ガイドさんが、もうひとつ見て、覚えておいて欲しい事があると言われ、
案内してもらった場所がありました。
それは、削り取られてしまった、壊されてしまったレリーフ(彫刻)の跡です。

遺跡群は、元々、仏教寺院として建てられたものが多いのですが、
途中、ヒンドゥー教の支配が強まるにつれて、寺院内に彫られた仏様の姿、お顔を削り取られたり、壊されたりする事が多くなったそうです。
当時、あまりにも酷い、その行為に、心を痛めた地元の方々が、
木々や土で覆い隠して、それらレリーフ(彫刻)を守ったと言われています。

タ・プローム寺院内にも、全体を削り取られ、そこに、彫刻があったのだろうと想像できる枠だけ残っていたり、その逆で、本当に、細かい彫刻が残されているところもありました。
最初に見学をしたアンコール・トムでも、そう言う場所があって。

今は、文字が描かれているこの壁も、元々は、仏教に関するレリーフが彫られていたのではと、言われています。

こちらは、当時、隠されていていたので難を逃れ、美しい状態で、今、見ることができます。
歴史的な遺跡、建物、もちろん、そこに住む人々、心は、一度、壊れてしまうと、そこで歴史、時間が止まってしまいます。
刹那的な感情や情勢に任せ、一方的に、壊されてしまう生活環境や、国家、歴史的遺産。
物理的にも、精神的にも、二度と、元には戻らないということを、
心痛む世界情勢を目の当たりにする今だからこそ、改めて、思い直すことが必要だと感じています。
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