約2500年前のロマンが残る、巨人像・テラモーネ
<イタリア旅行記(2013年 シチリア横断)no.61>
シチリア州の南・アグリジェント(Agrigento)にある古代ギリシャ神殿の遺跡群「神殿の谷(Valle dei Templi)」。
世界遺産登録もされていて、多くの観光客が訪れます。
その神殿の谷へ行く途中にある「アグリジェント州立考古学博物館(Museo Archeologico regionale di Agrigento)」に立ち寄りました。
館内には、様々な出土品が展示されていて、紀元前につくられたものも多くありました。
その中でも、目に止まったのが、いくつもの「金(d'oro)」の装飾品。
その煌びやかさに、ここアグリジェントが、古代ギリシャ人によって造られ、繁栄したことが窺えます。
そして、この博物館の目玉でもあり、私が、本当に、自分の目で見ておきたかったのが、こちら。
高さ 7.75mもの石の巨人・テラモーネ(Telamone)です。
紀元前480~470年以降に建築が始まった「ジョーヴェ・オリンピコ神殿」を
支えた人像柱です。
別名「ゼウス神殿」を呼ばれたこの神殿は、もし完成していたら、高さ 17m近くあったとか。
5階建てマンション位の高さでしょうか。
紀元前406年、カルタゴ軍によって、未完のうちに破壊され、残されたのが、この巨人・テラモーネだけ。
オリジナルが、神殿の谷から運ばれ、この博物館に保存・展示されています。
とにかく、この目で見ておきたかったオリジナルの「テラモーネ」。
やはり、目の前にすると、その大きさ、存在感に圧倒されます。
テラモーネについての資料も見ることが出来ます。
8m近くあるテラモーネだけでも圧巻なのに、それが、神殿の一部であった、さらに大きい、ギリシャ建築最大級の神殿が、紀元前5世紀頃に、造られる予定だったと想像するだけでも、武者震い。
ゾクゾクしてしまいます。
約2500年前のロマンを感じずにはいられません。
少し後ろに下がって、改めて、全体像を眺めてみました。
左・横下のグランドピアノと比較すると、その大きさ、壮大さを感じて頂けるでしょうか。
このテラモーネを眺めながら、色々な想いを馳せていると、時間を忘れてしまいました。
どのぐらい時間が経ったでしょうか。
そろそろ、神殿の谷に向かわなくてはです。
博物館から出ると、ぐわっと、真夏のシチリアの、暑い空気が、私を包み込みます。
その視界の先には、2500年の時を重ねた神殿の谷が、待っています。
さあ、2500年前の遺跡が残る世界に向かいましょう。