イタリア郷土料理のお話・リグーリア州
ヴェネト州をご紹介した「イタリア郷土料理のお話・第一弾」。
第二弾は、北イタリア西側のリグーリア州について、書かせて頂きます。
ヴェネト州のお話
レシピ集でも、6~7月にかけて、リグーリア料理をご紹介しました。
それも併せて、まとめていますので、是非、ご覧ください。
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1) リグーリア州 ( Liguria ) について
2) 州都 : ジェノヴァについて
中世の時代、四大海洋都市のひとつとして繁栄し、
現在も、イタリア第一の港街として、機能しています。
探検家コロンブスの故郷でもあり、交易によって入ってきた様々な文化が多く残るアカデミックな街並み、そこから、一本路地に入ると、迷路のような小道が続く、明と暗、いくつもの顔を持つ魅力的な港街。
それが、ここを訪れた時の、私のイメージです。
丘の上にある、東洋美術館には、日本をはじめ、アジアから交易品としてジェノヴァに渡ってきたコレクションが飾られてます。
他に、海洋博物館、水族館などもあり、見所満載です。
※ 四大海洋都市(ヴェネツィア、ジェノヴァ、ピサ、アマルフィ)
弥生時代の土器や、九谷焼、京焼の器、葛飾北斎や歌川広重などの
浮世絵コレクションを見ることが、出来ます。
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世界遺産登録の地域チンクエ・テッレ(Cinque Terre)も有名です。
5つ(Cinque)の土地(Terre)からなる海に面し、
近年は、リグーリア州・海辺の隠れたリゾート地としても賑わっています。
フランスに近い海辺の街・サン・レモ(Sam Remo)は、
毎年、開催されるサン・レモ音楽祭(Festival della canzone italiana)が
有名です。
この音楽祭は、イタリアテレビ「Rai 1 」(日本のNHKのような存在)で
放映されています。
私も、イタリアに住んでいた2000年の音楽祭をテレビ視聴。
記念に、音楽祭のCD「SanRemo 2000」を購入して、今でも、時々、聴いています。
# チンクエ・テッレの記事
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3) リグーリア料理の特徴
古くから、南イタリア、シチリア島、サルデーニャ島、他国との交流があり、南部色、異国色が見られます。
小麦中心の交易だったので、早くから、パスタ、フォカッチャ等が作られ、南の影響もあり、乾燥パスタは、北イタリアで、一番早く食べられていたと言われています。
よく食べられているのは、リグーリア海の恵みの、新鮮な魚介類。
傾斜が多く、痩せている土地では、豊富な農作物ができず、
長い年月をかけ、先人たちの開拓への信念が実を結び、
オリーブ、ぶどう、レモン等が、育つようになったと、言われています。
米作り、酪農は難しく、北イタリアでは、珍しく、お料理にもオイルを多用し、バター、生クリームの使用頻度は低めです。
< その先人の想いを受けたメッセージを書いた記事は、こちら >
船乗り、漁師のための一皿料理(一品で栄養たっぷり)も作られています。
それでは、それぞれ、見ていきましょう!
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① ジェノヴェーゼソース
リグーリア州と言えば、一番に、思い浮かぶソースで、
特産のバジル、オリーブオイル、松の実が、使われています。
定番は、リングイネを使い、じゃがいも、三度豆を入れて作りますが、
リグーリア州各地では、色々なパスタ、具材の組み合わせで、メニューに載っています。
交易で、よく取引されていたスパイス類。
ヴェネツィア人は、積極的に料理に使っていきましたが、
ジェノヴァ人は「スパイス類は、あくまでも、貴重な交易商品」として
扱ったので、スパイス類は料理には、あまり使われていません。
一方、バジルは、よく育つ土壌だったので、広く栽培され、お料理にも多用されています。
バジルについては、こちらでまとめています。
② パスタ
色々なパスタが食べられますが、
リグーリア州といえば、やはり、代表格は、この3種類のパスタです。
断面が、猫の舌(リングア:Lingua)に似ていることから名付けられたと言われています。
イタリア全土で使われ、どんなソースとも相性が良く、私も大好きなパスタのひとつです。
クルクルとねじって作るショートパスタです。
このパスタの隙間に、ソースが良く絡みます。
教室では、リグーリア州名物ソース「くるみソース」で食べて頂きました。
木型で作る、丸く、平たいパスタです。
円形に切り取ったパスタ生地を、木型で挟み、表裏に模様をつけます。
模様にも意味があり、家紋や、紋章も彫られているそうです。
現在も、造られている木型ですが、なかなか一般的には出回っていません。
写真の木型は、友人のイタリアレストランのシェフから貸して頂いたもの。
次回、訪問出来たら、是非、探してみたいと思います。
ソースと合わせても、しっかり模様が残っていますね。
③ 魚料理
目の前にあるリグーリア海から、新鮮で、豊富な海の幸が揚がります。
特に、いわしは、本当に、よくメニューに載っていました。
新鮮さが命のマリネをはじめ、様々な料理にも使われています。
いわしと同様に、たこ(Polpo)も、良く食べられています。
特産の黒オリーブも使われていて、リグーリアらしい一品ですが、
実は、このお料理、ナポリや、シチリアなどでも、よく見かけました。
リグーリア州が、シチリアなど、南イタリアとの交易の影響があったことを、強く感じることができる一皿です。
船乗りや、漁師が、簡単に、栄養をたっぷり取るために作られた一皿料理といえば、こちら。
一番下に、パンを敷き、たっぷりの魚介、野菜、ゆで卵、バジルソースを、積み上げていくお料理です。
これら食材の旨みが、一番下に敷いたパンに染み込んで、これまた美味しいのですよね。
元々は、漁師、船乗りの為のお料理でしたが、最近は、見栄えよく盛り付けて、ボリュームたっぷりの「ハレの日(お祝い)」料理にもなっています。
フィレンツェ(Firenze)のレストランでも、メニューに載っていました。
新鮮な魚介は、フリットにもしています。
④ 肉料理
昔から作られている肉料理としては、仔牛の胸肉に詰め物をした「チーマ」が有名です。
以前は、家庭でも作られていましたが、手間も時間もかかるので、
現在は、お肉屋さん特製のチーマを購入する方も多いようです。
教室では、少し形を変えて、ご紹介。
レシピ集にも、掲載しました。
⑤ パン&ドルチェ
ジェノヴァの名がついているのが、こちらの発酵パン。
干しぶどう、オレンジピール、ナッツ等を入れて、酵母(イースト)を加えて、ゆっくり発酵させてから焼いていきます。
イタリアのクリスマスケーキ・パネットーネ(Panettone)にも似ている
発酵パンです。
そして、もうひとつ、よく食べられているのが、フォカッチャです。
海に沿ったリグーリア州は、イタリアでは、珍しく湿度の高い地域です。
そのため、パンよりも、その都度、焼き上げるフォカッチャが好まれたと言われています。
特産の黒オリーブを練り込んだもの、そして、玉ねぎをトッピングしたものを、よく目にしました。
リグーリア菓子で、一番に思い浮かぶのが、花形クッキー・カネストレッリです。
手籠(Canestro:カネストロ)が語源の、花形クッキーで、アーモンドがたっぷり使われています。
バラの花水など、少し華やかな香りづけをするレシピもあります。
そして、特産のレモン、オレンジも、お菓子に多用されてます。
教室では、オレンジの香りたっぷりのクリームフリットもご紹介しました。
簡単で、美味しいですよ。
⑥ ワイン&食後酒
傾斜部を利用して造られているぶどう。
ただ、州内の土地が狭いため、生産量自体が少なく、ワイン、食後酒も
大量生産はできず、あまり、州外に出てきません。
近年、日本にも入荷してますが、数が少なく、希少価値があります。
リグーリア州の甘口ワイン・シャケットラ(Sciacchetra`)。
さらに生産量が少ない希少な甘口ワイン「シャケットラ」。
お土産の定番でもあります。
シャケットラを造ったブドウの搾りかすで造られた・蒸留酒グラッパ(Grappa di sciacchetra')は、さらに、貴重なものです。
店頭では、特産レモンから造られたリモンチェッロ(Limoncello)、
オレンジから造られたアランチェッロ(Arancello)も売られていました。
⑦ オリーブ
特産のオリーブの実と、オリーブオイル。
リグーリア産で、日本でも、よく流通しているのが、こちらです。
通称「金ラベル」。
リグーリア州・西部の街 インペリア(Imperia)で、1870年創業の老舗メーカーが製造しており、黄金色で、マイルドなオイルは、とても美味。
毎秋、出荷される新オリーブオイル・ノヴェッロ(Novello)は、
そこに、フレッシュ感がプラスされます。
その名も、「秋の果実(Frutto d'Autunno)」。
秋の収穫後24時間以内に搾油・瓶詰し、日本には、空輸便で届きます。
少しお値段はしますが、オリーブオイル好きの方には、是非、味わって頂きたい秋の味覚です。
リグーリア産のオリーブも、美味。
これらは、リグーリア料理に欠かせない、食材のひとつとなっています。
オリーブの実が必ず入り、香味野菜たっぷりのトマト煮込み。
魚だけでなく、鶏肉、豚肉でも作られているリグーリア風煮込みです。
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いかがでしたか?
調理工程はシンプルで、ご家庭でも作って頂きやすい、リグーリア料理。
添付したレシピ以外にも、掲載しています。
是非、ご覧ください。
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