発酵調味料☆イタリア産「いわしの魚醤(コラトゥーラ)」の製造法
<イタリア旅行記(2019年夏・南イタリア横断)no.68>
今回の旅の目的のひとつ。
イタリアの「いわしの魚醤」の産地・チェターラ(Cetara)を訪れる事。
アマルフィ海岸にある小さな港町で、この地を有名にしている発酵調味料「いわしのコラトゥーラ(Colatura di Alici)」を購入する為です。
発酵食品(調味料)がブームになっている昨今ですが、
日本でも、昔から各地で造られ、食されています。
☆醤(ひしお)とは…
原材料によって、4つに分類されます
☆イタリアの魚醤について
古代ローマ時代から造られていた発酵調味料ガルム(Garmu)と、非常に良く似ていると言われています。
魚の内臓を塩漬けした後、発酵させたもので、ほとんどの料理に使われていたとか。
ローマ帝国滅亡と共に、ガルムも造られなくなり、一旦、消滅しましたが、
中世の時代に、修道士たちが、ここチェターラに、造り方を伝えたそうです。
現在、チェターラ名産の調味料となり、スローフード認定も受けていますが、
チェターラがあるカンパーニャ州(Campania)以外では、ほどんと使われていません。
私も、中部イタリアのトスカーナ州で料理修行していた時は、名前を聞く事もなく、カンパーニャ州を訪れて、初めて知りました。
今回、現地・チェターラの魚醤メーカー「ネットゥーノ(Nettuno)」を訪れ、工房を見せて頂くことができ、嬉しかったです。
☆コラトゥーラの製造法 ~ネットゥーノ社の場合~
こちらでは、すべての工程を、手作業で行っています。
【工程①】
➀ 新鮮な、生イワシを使用します。
頭、内臓を取ってから、樽に入れて、塩を振ります。
重石をせずに、そのまま一日置きます。
【工程②】
② 一日置おくと、イワシから生臭い水分が出てきます。
水気を切ってから、このイワシを、本漬けに使います。
【工程③】
③ 別の樽に、イワシを、一列に敷き詰めます。
塩を、イワシの上一面に、振ります。
再び、イワシを一列にきれいに敷き詰め、再び、塩を一面に振ります。
【工程④】
④ 樽一杯になるまで、この作業を繰り返します。
最後に、塩を、まんべんなく振ります。
【工程⑤】
⑤ 蓋をし、重石を置いたら、この状態で、しばらく置き、
余分な水分が滲み出てきて、蓋がピタッと閉まるまで待ちます。
【工程⑥】
⑥ 蓋が閉まったら、熟成庫に入れて、最低3年間発酵熟成させます。
温度や湿度など、詳しくは教えてもらえませんでしたが、
毎日、樽を状態チェックして、樽の置き場所を変える事もあるとか。
これは、もう熟年の目利きが必要ですね。
※ 3年の熟成期間は長く、1年程で仕上げるメーカーもあるそうです。
※ 途中で、異常発酵する樽も、稀にあり、
その場合は、3年を待たずに、破棄することもあるとか。
【工程⑦】
⑦ 無事、3年間の発酵熟成を経たら、樽の底に穴を開けて、
ポタポタっと、自然に落ちてくる魚醤を溜めて、ボトリング。
これで、やっと商品「コラトゥーラ」となります。
ぎゅっと絞り出すと、雑味が入ってしまうとか…。
どこまでも、手作業、自然のままに…という印象でした。
写真の樽は、製造日「2015年6月28日」と書いてあります。
この後、このガラスコップに入っているコラトゥーラを、ティースプーンで、ちょこっとすくい、パンにつけて試食。
う~ん、パンにかけるだけでも、その美味しさにビックリ!でした。
いわしの魚醤「コラトゥーラ(Colatura di Alici)」
250mlで、1本、18ユーロ。(2019年7月価格)
日本円に換算すると、約2,200円(1ユーロ≒120円)
現地で、このお値段だと、日本に入ってきたら、5,000円程。
いち調味料と思うと、なかなかのお値段ですが、全て手作業で、しかも熟成期間3年と考えると、妥当な値段でしょうか。
このコラトゥーラを使って、2019年9月の料理教室で、パスタを作って頂きました。
コルトゥーラのスパゲティ ~ イタリア魚醤を使って ~
( Spagehtti alla Colatura )
パスタソースに少し加えて。
食べる時に、さらに、各々、お好みでかけて頂きました。
「Nettuno」社のコラトゥーラは、魚醤独特の香りがやわらかく、食べやすいと、皆さま、喜んで頂けて、私も嬉しかったです。
チェターラまで買いに行った甲斐がありました。
もちろん、パスタだけでなく、魚のグリルや、白ワイン蒸し等々の魚介類のお料理にも使えますし、野菜料理にも、ちょこっとかけるだけで、
いわしの旨みがプラスされて、美味しくなりますよ。
☆イタリア人お薦めのチェターラ産コラトゥーラ
最後に、イタリア現地でお薦めされた3メーカーをご紹介します。
もちろん、どれもチェターラ産です。
最近は、百貨店などの「イタリア展」でも、コラトゥーラが出ています。
イタリアで、チェターラを訪問すれば、もちろん購入できますし、
ナポリや、イスキア島など、近郊の街でも、売られています。
是非、一度、イタリアのいわし魚醤「コラトゥーラ」をお試し頂きたいです。
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【食材店情報】
☆ネットゥーノ(いわし魚醤&いわし商品店)(Nettuno)