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イタリア郷土料理のお話・ウンブリア州

イタリア中部の、海に面していない地域・ウンブリア州(Umbria)についてみていきます。

レシピ集でも、いくつか郷土料理をご紹介していますので、併せて、理解を深めていきましょう。


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1)ウンブリア州(Umbria)について

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イタリア
(黄色:ウンブリア州)
ウンブリア州
「イタリア地方料理の探求(柴田書店)」より、引用

州都:ペルージャ(Perugia)
イタリアの中心部にあり、
イタリアの緑のハート(Cuore verde d’Italia)と呼ばれるほど、
緑豊かで、森の恵みを受けている地域です。

東に接するマルケ州(Marche)との間に、
イタリアの背骨・アペニン山脈が南北に走ります。
海に面していませんが、
イタリアで4番目の大きさのトラジメーノ湖(Lago do Trasimeno)
あります。

点在する古代エトルリア時代の遺跡や、美しい建築物が多く、
それらは、観光する時の魅力のひとつです。

2)州都:ペルージャについて

都市としての歴史は古く、紀元前、エトルリアー古代ローマ時代に誕生したと言われています。
小さな渓谷の尾根に広がり、その中心部でもある歴史地区は、今もなお
エトルリア時代の城壁で囲まれています。

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歴史地区を囲む城壁
(Mura che circondano il centro storico)

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11月4日広場にあるマッジョーレ噴水
(La fontana maggiore in Piazza IV Nobembre )

エトルリア時代の宗教と行政の中心でもあった11月4日広場には、
13世紀後半に造られた街のシンボル・マッジョーレ噴水が、目を引きます。

100年近い歴史がある公立の外国人大学もあり、留学生が多く、
また、秋に開催されるチョコレート祭りが有名です。
この時期は、ペルージャへの道は、大渋滞。
多くの人が訪れます。
郊外には、「チョコレートホテル」なるものもあるのですよ。

☆ チョコレートホテル


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ペルージャ以外にも、訪れたい街があります。

丘の上にある、巡礼地でもある聖地・アッシジ(Assisi)

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丘の上にあるのが、アッシジの街(Assisi)

13~14世紀、建立・増築のサン・フランチェスコ大聖堂が迎えてくれます。
訪れるたびに、心が洗われるような空間です。

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サン・フランチェスコ大聖堂
(Basilica di San Francesco d'Assisi)


緑に囲まれた丘の上にあるスポレート(Spoleto)は、夏に開催される
音楽フェスティバルが有名です。
穏やかで小さな町が、一気に活気づき、賑わいます。

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スポレートの大聖堂
(Duomo di Spoleto)


サラミ・ハムの加工の発祥の地と言われる町・ノルチャ(Norcia)
肉加工職人のことを「ノルチーノ(Norcino)」、加工品を扱う店を「ノルチェリア(Norcieria)」と呼びます。
小さな町ですが、とても魅力的なのです。

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ノルチェリアが並ぶ、ノルチャの町(Norcia)


ワインの名産地としても有名なオルヴィエート(Orvieto)も、訪れたい場所のひとつです。
私は、まだ訪れたことが無く、ご紹介できる街の写真がないのが残念です。

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オルヴィエート産の白ワイン
(Vino bianco di Orviate)


忘れてはいけないが、トラジメーノ湖(Lago di Trasimeno)です。
面積128㎢、イタリア国内4番目の大きさで、湖岸周辺は、穏やかで、人口も少ないため、穴場のリゾート地として愛されています。

北側の街・パッシニャーノ(Passognano)
西側の街・カスティリオーネ・デル・ラーゴ(Castglione del Lago)
観光の中心地です。

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トラジメーノ湖
(Mappa「Trasimeno2010」より引用)
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カスティリオーネ・デル・ラーゴから眺める、湖畔
(In riva al lago da Castglione del Lago)

紀元前217年、カルタゴの将軍・ハンニバルが、
この湖周辺で、ローマ軍に罠をはり、大勝した歴史があります。

その時の戦いでは、多くの死者が出て、この湖が赤く染まったとか。
真偽のほどは分かりませんが、実際に、その戦いが由来だと言われる
2つの地名サングイネート(サングエ=血)、オッサイア(オッソ=骨)があります。


ウンブリア州・滞在記は、下記から、ご覧頂けます。


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3)ウンブリア州の料理の特徴

海に接していないウンブリア州。
湖、川から獲れる淡水魚は食べられますが、メインは、肉類、山の幸
豆類、きのこ類等も使われ、素朴な郷土料理が多いです。

アーモンド、クルミ等の木の実類も産地でもあり、料理、デザートにも使われます。

良質なオリーブオイルも量産、美味しいワインも造られています。
また、有名なチョコレートメーカーもあります。

それでは、それぞれ、見て行きましょう。

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① 肉類・加工品

牛、豚、鶏肉、そして、他の地域でも食べられている、羊、猪、鳩など。
また、キジ、鹿などのジビエ(野禽獣)も使われ、ロースト、煮込み等、
シンプルな料理法で食べられています。

ハム、サラミ等の肉加工品の発祥の街・ノルチャを有するだけあり、
それらの種類も多く、内臓を使ったサラミ、レバー料理も食べられています。

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イノシシの煮込み
(Umido di cingiale)

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鳩のグリル
(Griglia di piccione)

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ノルチャ風アンティパスト
(Antipasto di Norcia)


② 魚料理

湖、川周辺では、淡水魚類(うなぎ、鱒(マス)、鯉、カワカマス、
ザリガニ等)
が食べられていて、魚卵も使われています。

私は、トラジメーノ湖で食べた魚料理が印象的でした。
特に、鯉の卵は、初めての経験。
その美味しさに、驚きました。

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鯉の卵のブルスケッタ、ザリガニとねぎのソテー
(Bruschetta con uova di Carpa e Porri e gambero di fiume)

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鯉の卵とトマトのリングイネ
(Linguine con uova di carpa e pomodorini)

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うなぎの串焼き
(Spiedini di Anguilla)

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鯉のポルケッタ&レンズ豆の煮込み
(Porchetta di Carpa & lenticche cotte)


☆トラジメーノ湖での食事の様子は、こちらからご覧頂けます。


③ パスタ・スープ類

卵が入らない手打ちパスタ・ストリンゴッツィ(Storingozzi)が食べられています。

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きのこのストリンゴッツィ
(Storingozzi con salsa di funghi)

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黒トリュフのストリンゴッツィ
(Storingozzi al tartufo)


トスカーナ州でも、卵なしパスタ・ピチ(Pici)が食べられています。
ピチは、手で伸ばして成型するので、マシーンで仕上げるストリンゴッツィ
より、太麺になるのが特徴です。


④ 食材

ウンブリア州は、トリュフ(Tartufo)の産地としても有名です。
一年を通して使用され、加工品も多く造られています。

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白トリュフ & 黒トリュフ
(Tartufo bianco e tartufo nero)

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黒トリュフソース
(salsa tartufata)


「豆食い」と言われるトスカーナ州同様、豆類を良く食べます。
その中でも、レンズ豆(lenticche)は、よく登場する豆のひとつで、
煮込み、スープなどに使われます。

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食材店の店頭に並ぶ豆類
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レンズ豆と野菜のスープ
( Zuppa di lenticche e verdure )


⑤ デザート類&チョコレート

栗、くるみが多く採れるので、デザートにもよく使われます。
また、アーモンドペースを使った焼菓子も多く作られています。
特に、くるみは、小さなレシピ本がある程です。

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トラジメーノ湖畔で購入した、くるみのレシピ本
(Ricettario di Noci)

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チャンベッラ・サンタ・キアーラ & ロッチャータ
(Ciambella Santa Chiara & Rocciata)

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ロールケーキ & くるみリキュール「ノッチョーラ」 & はちみつリキュール
(Salame di Re` &  Nociolla  &  idromiele)


忘れてはならないのが、チョコレート
ペルージャ郊外にも、チョコレートホテルがあることをお話しましたが、
有名なチョコレートメーカーがあります。

それは、ペルジーナ社(Perugina)
日本でも、「バーチ(Baci)」という商品が入荷しています。
涼しくなる秋から冬にかけて、よく出回りますので、是非、チェックしてみて下さいね。


そして、ペルージャを訪れたら、是非、足を運んで頂きたいお菓子屋さんがあります。
1860年創業の
「パスティッチェリア・サンドリ(Pasticceria SandriSandri)」です。
       (2021年9月末現在、コロナの影響で臨時休業中)

ここで、ホットチョコレート(Cioccolata)を、是非、飲んで頂きたい。
濃厚で、美味しいですよ。

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チョッコラータを注いでくださるバリスタさんと記念撮影

このお店には、アーモンドペーストを使ったウンブリア州の伝統菓子トルチリオーネ(Torciglione)も置いてあります。
こちらも、是非、チェックしてみて下さいね。

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トルチリオーネ(Torciglione)
「イタリアの地方菓子(料理王国社)」より、引用



⑥ チーズ

羊乳チーズ(ペコリーノ:Pecorino)が、多く造られています。
チーズの歴史は古く、紀元前3000年頃には、すでに、エトルリア人が、
羊の飼育をし、乳からチーズを作っていたと言われています。

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ペコリーノチーズ盛り合わせ
(Pecorini misti)


⑦ ワイン&食後酒

オルヴィエート(Orvieto)の白ワイン
モンテファルコ(Montefarco)の赤ワイン等をはじめ、多くのワイン、
リキュール、食後酒が造られています。
お料理、デザートにも使われます。

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赤ワインのリゾット
(Risotto al vino rosso)


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自家製くるみのリキュール
(Nocino fatto in casa)

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食後酒 フラ・サント
(Fra Santo)


⑧ オリーブオイル

良質のオリーブオイルの産地でもあります。
青みがかっている色も特徴のひとつで、出来たてのホヤホヤの
「新オリーブオイル」は、フルーティな、青リンゴのような香りもします。

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オリーブオイルの木々(トラジメーノ湖畔にて)
( Alberi di olive a Lago Trasimeno )


ウンブリア州のオイルメーカー「ピエトロ・コルチェッリ社」の
新オリーブオイルは、毎年、年末年始の楽しみ。
青っぽさ、青りんごの風味を、強く感じられる一品です。

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新オリーブオイル(Olio di oliva novello)
アルドイーノ社(リグーリア州:左)  ピエトロ・コルチェッリ(右)

☆ピエトロ・コルチェッリ社HP


オリーブの木を使った器具類も魅力的です。
木目が、しっかりと見え、それが、デザインとしても生きています。
とても丈夫で、よく使えます。

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オリーブの木の板&木べら
(Tagliere in legno d'ulivo, spatola in legno)


⑨ その他

サフラン(Zafferano)の産地のひとつです。
他に、アブルッツォ州、サルデーニャ島でも、作られています。

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サフラン(Zafferano)
(「Guide d’Italia Abruzzo」より引用 )
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トリュフのフラスカレッロ・サフラン仕立て
(Frascarello con tartuffo allo zafferano)

フラスカレッロも、ウンブリア州の手打ちパスタのひとつです。
米粒ほどのもので、リゾットのようですが、食感は、やはりパスタでした。


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いかがでしたか?
中部イタリアらしい食文化が残る、ウンブリア州。
最近、テレビ等でも特集されている街もあり、今後、注目の地域です。
これを機に、興味を持って頂けると嬉しいです。

引き続き、イタリアに関する情報を、様々な形で、お伝えしていきます。
これからも、どうぞよろしくお願いします。

マガジン「オフィスアルベロ・レシピ集 ~neo~」でも、
各地の郷土料理を、ご紹介していますので、是非、ご覧ください。


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最後に
 ~これまでの「イタリア郷土料理のお話」~


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