ファッション産業から見る女性の労働 |みさき
こんにちは。みさきです。
さて6月も後半、もうすぐ夏がやってきますね!
みなさん、衣替えは終わりましたか?
衣服に関して、私は以前、ファッション産業と環境問題についての記事をアップしました。この記事、多くの人に見てもらえているようで嬉しいです!
そこで、今回はファッション産業における「労働者」を例に、女性の貧困問題や国際協力の重要性について考えていきたいと思います。
【この記事でわかること】
・低賃金労働に従事する女性の現状
・女性が低賃金労働に就く傾向にある理由
・ひとつの国際協力の意義
1.女性は低賃金労働に就く傾向にある?
私たちにとって身近なファストファッションの洋服が製造されている国は、東南アジアや南アジアに多く存在します。中でも今回は、南アジアにあるバングラデシュに注目したいと思います。
まず、バングラデシュは労働賃金が非常に安いです。2016年、首都のダッカの月額賃金は100ドル(当時の日本円でおよそ11,000円)と報告されました。アジアの中でもワーストの賃金です。ちなみに、同データにおける東京の月額賃金は2356ドル(およそ259,000円)でした。また、労働人口となる若年層の人口が多く、豊富な労働資源が存在する国でもあります。
そんなバングラデシュでは、縫製品は輸出品目の8割以上を占めています。縫製産業における労働者は500万人にのぼり、その内の8割が女性です。縫製産業においても労働賃金は安いため、多くの女性が少ない収入のもとで生活していることがわかります。
では、なぜ女性労働者が多いのでしょうか?主な理由は二つあります。
〈女性労働者が多い理由〉
・女性は高い生産性を発揮する
・女性の労働価値が低く見なされている
まず、バングラデシュにおいて女性は幼い頃から縫製技術を習得する慣習があります。そのため手先が器用であり、縫製の労働において高い生産性を発揮すると考えられています。
労働価値が低く見なされていることは、女性の貧困の一因となるため重大な問題です。そして、これはバングラデシュに限った話ではなく、女性の労働価値は世界的にも低く評価される傾向にあります。
なぜ女性の労働価値は低く評価される傾向にあるのでしょうか?
まず女性は生物的な身体の特徴上、妊娠や出産を迎えることがあるため継続的な労働は難しいです。そのため、労働者として低く評価されがちです。このような特徴から、縫製業に限らず他の領域でも女性は低賃金労働に就く傾向があります。
もちろん、妊娠・出産の期間中も仕事を継続したり、出産後に復職する女性も多く存在します。しかし、それが可能なのは比較的裕福で、社会保障制度や法律が整備された地域や国で暮らす人々に限られています。
2.女性の労働価値を下げたもう一つの要因
女性の労働価値を低下させた要因のひとつに、先進国による開発があるという考え方もあります。
世界はこれまで、経済開発を続けてきました。特に15世紀以降の植民地期にプランテーション農業が拡大した際、それまで男女間の労働内容や価値に格差などなかったアジアやアフリカといった地域へ、西欧的な性別役割分業の制度や意識が導入されました。その結果、男性は賃労働に従事する一方で女性は賃労働から排除されたり家庭内の無償労働に従事するという構造が世界各地に浸透していったのです。これにより、家族の収入源として女性の稼ぎは補助的なものであり、労働価値が低いものとみなす考え方も普及していきました。女性は現金収入を得られないことで家庭内での発言力が低下し、さらには社会の中でも地位が下がってしまいました。
ただ、ひとつ注意したいのは、低賃金労働であってもその収入が女性の生活を支えていることもまた事実ということです。労働は、金額は低くても女性が自ら収入を得て生活したり、家族を養ったりするための手段ともいえるでしょう。工場があることで雇用が生まれているため、労働者の女性たちにとって工場は重要な場所となっています。
また、低賃金労働に従事し貧困に直面するのは女性だけではありません。男性たちもいます。低賃金労働によって起こる弊害を防ぐためには、男女とも最低賃金の上昇が一番の解決策です。
バングラデシュにおいては、政府は2013年以降、国の定める最低賃金の金額を徐々に引き上げています。しかし、未だに全ての産業、労働者に対して十分な賃金が保証されている訳ではありません。今後も、さらに充実した社会保障制度の整備など、地域や国ぐるみで人々の生活を支えていく必要があると考えられます。
3.生産者の生活を支える取り組み
さて、ここまでバングラデシュの例から、
・女性は身体の特徴が原因で長期的に仕事を継続することが難しいこと
・女性の労働価値が低くみなされる傾向にあること
・西欧式の性別役割分業意識の導入が、女性の労働価値を低下させたこと
について書いてきました。
今回、取り上げた低賃金労働の問題に関して、各国の政府やNGO、企業など国際社会の中の様々なアクターが解決に向けて取り組んでいます。
私が注目したのは、「ピープルツリー」という企業です。
ピープルツリーは、フェアトレード商品を取り扱うファッションブランドです。フェアトレードとは、原料や商品を厳正な価格で購入することで、生産者や労働者が自立的に暮らしを向上させることが出来るように支える貿易の仕組みのことを言います。
ピープルツリーの主な生産者はバングラデシュ、インドなど8つの国です。各国における手織りや刺繍、草木染めといった伝統技術を採用した商品や、地元で入手可能な原料を用いて作られた伝統手工芸品を販売しています。伝統技術を活かした仕事によって収入源を生み出し、生産者の暮らしを支えるという点が特徴です。また、現地の生産者団体の発注に応じて発注額の50%を前払いし、フェアトレードを行う資金繰りのサポートも行っています。
そして、ピープルツリーの働き手の多くは女性です。
女性が外で働くことは少ない地域や、子供を持つ女性も仕事ができるように、編み物や縫製といった家でできる仕事を提供しています。また、保育施設や学校をつくる生産者団体もあり、女性が仕事をしやすい環境づくりに貢献しています。この環境なら、長期的に働くことも可能になります。
【参照】
https://www.peopletree.co.jp/fairtrade/index.html
現に、フェアトレード自体は直接的に労働賃金の金額を上げる手段ではありません。しかし、公正な取引のもとで生産者の生活を支えています。
私たちはフェアトレード商品を選ぶことで、低賃金労働に従事する女性たちへの新たな需要を生み出すことを防ぎ、この問題の解決に貢献することが出来るのではないでしょうか。
4.私が考える国際協力の意義
今回の記事で取り上げた内容では、先進国が世界に与えた影響はあまり良いものではありませんが、先進国が持つ影響力の大きさを考えると、逆に良い影響を大いにもたらすことも可能であると考えられると思います。先進国の動きは大きく注目されますが、実際は先進国というくくりなど関係なく、世界のあらゆる国は規模は違えど互いに影響を与え合っています。各国が持つ伝統文化や技術、資源などそれぞれの強みを提供し合うことで、他国に良い影響を与えられるのではないでしょうか。
また、世界の一部で起きている問題だとしても、その問題の背景を探ると他の国による影響が原因になっていることがあります。問題解決に取り組むとき、影響を与えた国が責任を取るというような見方もできますが、国際協力で問題を解決する意義は、一つの国では起こせない大規模な正の影響を世界にもたらすという所にもあると考えられます。
今回は、私(みさき)なりに国際協力を行う意義のひとつを考えてみました。この記事を読んでくださった皆さんは、国際協力を行う意義について、どう考えるでしょうか? 国際協力に関心をお持ちの方なら、一度は向き合うテーマだと思います。自分なりの考えを持つこと、そしてその考えを他者と共有し磨いていくことも、国際協力に踏み出す第一歩となるかもしれませんね。
そして、国際協力企業AlbaProjectの学生支部である私たち国際協力メディアチームから、皆さんが考えたことを他者と共有する場を一つ提案させていただきます!
それは、AlbaProject が開催する「国際協力交流会」です。
この交流会は、とっても簡潔に言うと、国際協力に取り組みたい仲間に出会えるイベントです!内容としては、国際協力とは何か?自分だったらどのように取り組めるのか?といったことを考え、議論できるものとなっています。 国際協力に興味を持ち始めたばかりの方も大歓迎です。
イベントの詳細を下記のリンクからチェックして、ぜひ参加してみてください!
最後までお読みいただきありがとうございました!
作者 みさき
チェック みや
アドバイザー 松田淳也
【参考】
https://www.ilo.org/tokyo/information/pr/WCMS_347998/lang--ja/index.htm
https://www.mofa.go.jp/mofaj/area/bangladesh/data.html
https://www.rengo-soken.or.jp/dio/dio336.pdf
https://www.jica.go.jp/aboutoda/2014_Pakistan_Bangladesh/vol5/page3.html
https://www.peopletree.co.jp/fairtrade/index.html
http://globalvillage.or.jp/fairtrade
https://www.peopletree.co.jp/fairtrade/partner.html