『徳利と盃の魅力』浦野惠司著/酒器本解説シリーズ②
こんにちは!
酒器研究家の知鳥(ちどり)です。
当ページにお越しいただき、ありがとうございます。
今回は、
酒器を語る本シリーズ~その2!
~『徳利と盃の魅力』浦野惠司著~
についての解説になります。
タイトル:「徳利と盃の魅力」
浦野 恵司(うらのけいじ)著 里文出版
単行本 : 167ページ
2012(平成24)年3月8日 初版発行
1.本の立ち位置
当シリーズにて
酒器について書かれた書籍・図録等をご紹介させていただくにあたり、
目安として、以下の形で分類しています。
【A】本のなかで酒器についての記述箇所の多さ
★ 一部のみ ~ ★★★★★ 全体が酒器について
【B】難易度レベル
★入門 ★★初級 ★★★中級 ★★★★上級 ★★★★★超専門
【C】記載されている酒器の種類・タイプ
【D】対象酒器の時代区分
こちらの本について・・・
★★★★★ 本全体が酒器
★入門 ~ ★★初級
種類: 〇 徳利 〇 盃
時代区分: 〇 現代 〇 歴史的
2.本の内容感想
感想としましては・・
目次だけをみると、文章での解説がほとんどか?
と思えてしまいますが、実際は、
目次の内容に関する章は、およそ20ページほど。
残りの140ページ程度には、
200種を超える、徳利と盃の写真(カラーと白黒)と解説
1つの酒器に、数行の解説が付されています。
ほぼすべてが陶磁器
国内各産地(中国・韓国産の酒器も若干あり)
様々なデザイン・形態の酒器
時代も様々。
掲載されている酒器の多くは、
どちらかというと、著名な作家モノの酒器紹介というよりは、
著者がコレクションした、さまざまな形態の酒器の紹介がメイン。
私も、拝読して、こんなにもいろいろな形の酒器があるのか!
驚きでした。
例えば・・
この徳利は李朝(現在の韓国)の酒器ということですが・・
この形状の徳利は大変珍しいモノ・・。
李朝三島偏壺徳利
高さはそれぞれ、12cm、14㎝/容量2合と3合用。
こちらも今の時代、大変珍しい形!
国産・瀬戸焼の徳利。
作成年は不明ですが、時代的に、明治中期~太平洋戦争終戦までの間に作られたものでしょう。
著者曰く・・
富国強兵戦争勝利のため種々の容器が考案されたとのことで・・
大砲のタマに見立てた胴部、上部が盃(ペク盃という)になっていて、
注いだ酒を呑み乾さないと置けないタイプの盃です。
瀬戸弾丸徳利 一対
高14.5cm 容量1.5合
形が、今の時代の携帯用コーヒーポットのようですが、
携帯用の酒器ポットもありなんでは?
・・酒Loverの旅には必携アイテムになり得る?と思ってしまいました。
著者の浦野氏は、冒頭(20ページ)の中で、
執筆の動機や背景、酒文化などについて語られています。
群馬県ご出身ということで、地元愛にあふれておられ、
地域の歴史(群馬)や古墳、地元でのコレクションについてのお話など書かれています。
個人的に一番印象に残ったのは、
さいごの「あとがき」の内容で・・。
地元の価値あるコレクション(太古庵の財宝)が、残されることなく、
大阪の骨董市でたたき売られてしまったことに対する、無念さ・・・
・・・短い文章ながらも、気持ちがストレートにつたわり、強烈です。
と、くくられておりました。
地産地消ではなく・・
・・「地資産地残」(➡ちどりの造語)の発想が必要だと思いました。
伝統文化・伝統工芸・美術の世界・・・
カネのことは語らず的な美徳(日本人にありがち)が、
現実は通用しないのは、
長年、私は金の世界にいた身なので、よーーーーーくわかります。
カネが目的であってはならないですが、手段としてのカネは必要な存在・・
現実は、キレイごとではすまされず・・・
浦野氏がさぞかし悔しい・悲しい思いをされたのか・・
酒器の写真をながめているだけではわかる由もなく・・の感想でした。
最後となってしまいましたが・
3.著者略歴(※)
(※刊行された当時の情報)
浦野惠司[ウラノケイジ]
1938年 群馬県渋川市生まれ 画家、古陶器研究家・大日本古陶器研究所主幹
他にも著書 『徳利・盃図鑑』(里文出版) など
今回は以上となりますが、
もし皆さんの中で、
他に、こんな本もあるけど、
中味がどういうものなのか知りたい!
という方がいらっしゃいましたら、
是非、コメント等、お寄せいただけたらとても嬉しいです。
今回、雑誌の酒器特集をご紹介する予定だったのですが、
それは、次回に・・ということで少々お待ちください。
ここまでお読みいただき、ありがとうございました!
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