月見フォカッチャセットをネット注文したお話。
久しぶりにモスバーガーのハンバーガーが食べたくなった。期間限定の月見フォカッチャも気になるし、お昼はモスバーガーにしようと思った。
そんなモスバーガー、なんと僕の家の近くにある。歩いて大体7分くらいのところ。マクドナルドより近く、僕がバイトしていたコンビニより少し遠い位置にある。
早速行こうとしたが、僕の心に棲む無気力お化けが現れる。店員さんに注文するのが億劫。けど、モスバーガーのハンバーガーが食べたくて食べたくて仕方がない。
どうしようかと考えていたとき、ふとモスバーガーにネット注文があるということを思い出した。スマートフォンを取り出し、モスバーガーと検索し、モスバーガーのサイトへアクセスする。ネット注文というボタンを見つけ、タップすると、今度はプライドお化けが現れる。たかが7分くらいの距離にあるモスバーガーから届けてもらうのはいかがなものか。
結局、ネット注文して、直接店に行き、お持ち帰りするという選択肢を取った。後に分かったことだが、お届け先住所に僕の住んでいる地域は含まれていなかったため、この選択肢以外なかったと言える。
ネット注文特別価格となっている月見フォカッチャのセットにした。ドリンクはこれもまた期間限定の、ライム&ライチソーダ。僕は炭酸はあまり得意ではないが、ライムとライチという単語に惹かれてしまった。
ネット注文を完了させてから、着替えて、あんずちゃんが外に出ないようにしながらリビングから廊下に出て、自分の部屋に行く。外に出かける用のリュックを背負い、念のためにマスクを着用し、玄関へ行き、お気に入りの黒色の靴を履いてから外に出る。前日までひんやりとしていた気温が少し高くなっていて、これはライム&ライチソーダ注文して正解だったなと考える。再度言うが、僕は炭酸が苦手である。
指定した時間よりも早く着きそうになり、少し歩く速度を緩めたり、店の中に入ってもスマートフォンを見たりして少しだけ時間を潰す。「すみません。まだできていないので、もう少々お待ちいただけますでしょうか」と謝られたくないからだ。僕が早く着いたから、もしできていなくても店員さんは悪くないぞ…と思いながら、僕は店員さんにネット予約したことを告げ、番号を見せる。少ししないうちにレシートと小袋を渡され、僕は椅子に座って待った。
「ところでこの小袋は何?」
何か硬いものが入っている。中身を確認しようとしたとき、店員さんから注文したセットメニューが渡された。何だろう、このお守りの中身を見ようとしたら止められたような感覚。
ハンバーガーとオニポテはホカホカのうちに食べたいため、一度レシートと小袋をポケットに入れ、今度は足早に家に向かうことにした。紙袋、そしてビニール袋越しなのに温かさを感じる。できたてほやほや。
家に帰り、リビングに入ると、先程までもこもこのフットウォーマーなるものに入って寝ていたはずのあんずちゃんが立っていた。袋の音に反応したのか、僕の足音に反応したのか…どちらかだろう。耳ざとい。
あんずちゃんに袋をイタズラされないように、あんずちゃんにとって高いところに置き、手洗いうがいを済ませ、袋から月見フォカッチャ、オニポテ、ライム&ライチソーダを取り出し、トレーの上に置く。(我が家には1人1枚のトレーにごはんを乗せ、それをテーブルに持っていってトレーの上に皿を乗せたままごはんを食べるというルールがある)
包み紙もできれば取りたかったが、そうなると皿の用意をしなければならない。無気力お化けがそのままでいいじゃん、とも言っているし、包み紙はそのままにテーブルに持っていくことにした。案の定包み紙の音であんずちゃんがテーブルの上に乗ってきたので、ダメでしょの意味も込めて立ち上がると、あんずちゃんはすぐにその場から逃げた。
包み紙を剥がし、月見フォカッチャを一口頬張る。CMで見たときはなんて食べづらそうな食べ物なんだと思ったが、意外と食べやすい。そして、美味い。もちふわなフォカッチャ、パリパリのソーセージ、とろっとしたたまご、シャキシャキのキャベツとグリーンリーフ、それら具材をまとめるソース…超美味い。
口の中が空になってから、ライム&ライチソーダをごくりと飲む。強炭酸かというくらい弾ける炭酸に僕は噎せた。けど、美味い。爽やかな感じが月見フォカッチャと合う。
オニポテももちろん食べる。ほくほくのポテト、さくじゅわっなオニオンフライ。美味い。
月見フォカッチャセットに満足感を抱きながら、そういえば、と先程気になったあの小袋をポケットから出した。月見フォカッチャを咀嚼しながら小袋から中身を出すと…10円が入っていた。
「…何の10円?」
分からなければ調べる、それが僕、九十九悪嵐。調べた結果、その10円は、ネット注文や電話注文をした人へのサービスらしい。通信料らしい。電話注文は分かるが、ネット注文でもそうなのか…なんだか申し訳ない気持ちになる。
とはいえ、そういうサービスなのだから、ありがたく頂戴することにする。ありがとう、モスバーガー。またモスバーガーに通うよ。この10円はコックリさんにでも使うよ。
そんなことを考えながらまた月見フォカッチャを頬張る。うん、美味いなあ。