僕と『借りぐらしのアリエッティ』。

2010年7月17日。米林宏昌氏が監督を務めた『借りぐらしのアリエッティ』が公開された。

当時12歳を迎える僕は、『借りぐらしのアリエッティ』のCMを見て、「僕の誕生日に、ジブリの映画が公開される!すげぇ!」と思っており、どうしても公開日当日に見たくなり、親に交渉した。

そして当日、わくわくした気持ちで父の運転する車に乗り、映画館へ向かった。
僕の誕生日に大好きなジブリの映画が観られるなんて、しかも大好きなドールハウスとかファンタジー要素のものがその映画にあるなんて、とずっと興奮していた。

僕を含め、九十九家は基本映画館に行っても食べ物は買わない。飲み物はたまーに買うが、ほとんど買わない。パンフレットは絶対にもらう。お土産も絶対に買うが、観終わって余韻に浸っているときに買う。

チケットを買い、シアタールームに入り、前の方の席に座る。父にお願いして前の方にしてもらったのだった。
僕は映画が始まる前の予告も楽しむタイプで、あれ面白そう、これどうなんだろう、と考える。そのときに予告として見た『コクリコ坂から』も、翌年観に行った。

そして、映画が始まる。青色の背景にトトロの絵が描かれているロゴを見て、「ああ、僕ジブリの作品を観てる」と実感する。前に映画館で映画は(確か)『崖の上のポニョ』で、それ以来の映画というのもあり、興奮は冷めない。

ネタバレになるので『借りぐらしのアリエッティ』がどんな内容であるのかは省くが、映画を観終わった僕はとても満足していた。アニメーション、背景イラスト、音楽、ストーリー、声、…何もかも素晴らしかった。

映画という特別感と、僕の誕生日当日に観られる別の特別感。ダブルな特別感で、僕はしばらくにやけていた。


今でも、誕生日を迎える度に「僕の誕生日は『借りぐらしのアリエッティ』の公開日と同じ」と思うし、『借りぐらしのアリエッティ』が金曜ロードショーでやるという予告のCMを見ても同じ気持ちになる。

それほど、『借りぐらしのアリエッティ』は僕にとって特別なのである。

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