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【小説】ケータイを変換で軽体(鬱) 第10話

 成美が小学6年生の或る日、いつものように尚人を連れて友達の家に行こうとしたら、尚人から頭が痛いと言われて断られた。

 折角の自慢の弟をお披露目するいい機会だったから、少々強引ではあるが連れて行こうとしたが頑なに拒否する尚人の様子に結局諦め、一人で友達の家に行った。

 成美は友達との会話の中においても何かしらこじつけて弟の自慢をしたのであるが、友達の一人である佳美が何か言いたそうな雰囲気だったので話の水を向けると、そこから思いもよらない話が出てきたのですぐには信じられなかった。

 尚人が最近上級生より放課後呼び出され、苛められているというのだ。

 成美はそれを自分の事以上に腹を立て、悔しさのあまりにその場で気を抜いたら涙が流れ落ちそうだった。

 どうやら友達の多くはその事を知っていたが、成美に知らせた方がいいのかどうか迷っていたようで、その同情が更に成美を惨めにさせて、その場から逃げ去りたい気持ちにさせた。

 次の日は授業が終わったらすぐに尚人がいる4年生の教室に向かい、遠目から隠れて尚人の様子を眺めていた。

 すると二人の5年生が尚人の両脇に立ち、校舎の裏へと連れて行くの見えた。

 その瞬間成美は生まれて始めてというくらいに怒りの感情に体中が支配され、後先考えずにその後を着けていった。

 ばれないように忍び足で後を付け、人気の無い校舎裏の角で耳を澄ませると数名の男の子の下品な笑い声が聞こえてきた。

 そっと顔だけを出すようにそこを覗き見ると、尚人がスカートを穿かされていてみんなの笑いの的になっており、その光景のあまりの衝撃に一瞬体が凍ってしまったが、溢れ出した怒りが抑えきれずに素早くその場に躍り出た。

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