ニーズを掴むこと
デザインワークをする上で常々感じることは、ユーザのニーズを掴むことは本当に難しい、ということです。ユーザ中心のものづくり、と様々な所で叫ばれて久しいですが、調査やインタビュー、情報収集を念入りにやった上で納得のいく仮説を出したはずなのに、何故かウケない…というのはよくあります。
そんなことを考えていたら、先月興味深い話題を見つけました。スマホアプリ『JR東日本アプリ』についてです。
乗り換え案内や運行状況等をお知らせしてくれるJR公式アプリが4月にリニューアルされました。なんとデザイン担当はIDEO Tokyo。ユーザーに本当に望まれるアプリが完成した!!
・・・のはずが、ストアでの評価は非常に低い結果に。なんと5点中1.9点。
大まかにはこれまであった機能をザックリと削ったことによる不評のようです。
IDEO Tokyoは、このアプリのデザインプロセスについて以下のように語っています。
チームは、JR東日本が目指すデジタル/アプリ体験を実現するための「小さな実験」をスタート。まずは機能を目的ごとに分けた複数の個別アプリを、紙上のスケッチベースで作成し、ユーザーの反応を見ました。すると意外にも、機能を絞ってもその価値が落ちることはなく、むしろ高く評価されたのです。チームは旧アプリ上の数多くの機能を、乗客の行動を起点に取捨選択し、様々なパターンについて繰り返しプロトタイプを作り、テストしては改善するイテラティブなプロセスを経て、アイデアを磨いていきました。
のように語っていた仮説が裏目に出た形でした。
もちろんストアでの評価が全てではなく、不満を持ったユーザーの評価が目立っているだけかもしれません。今後要望の高い機能が入れられていけば変わっていくのかもしれません。実際、UIとして検索結果がタイムライン状に並ぶ表示方法は他のアプリにはなく、どのルートが乗るまでに余裕があるのか、早く着くかが一目でわかります。また、複数の検索結果がある際に横スクロールで斜め下にズレていくインタラクションも直感的で、面白いです。
ただ、やはり乗換案内という実用性が重要なアプリである以上、様々な使い方をしたいユーザを見据えて多彩な情報を見やすく整理する、求められる機能は盛り込む必要があるのかもしれません。いやー、ユーザニーズを掴むのって本当難しい…
出典:JR東日本アプリ
使わずに色々言うのもあれなので、個人的にもどんどん使ってみようと思います。今はYahoo!乗り換え案内ユーザなのですが、そこから乗り換えたいと思うだけの価値があるのか、気になることろです。