連休最後の日にぜひ読んで欲しい漫画3選。
『電人N』
ニートの主人公がとある事故から、世の中のありとあらゆる電子機器の中を移動し操作できるようになる物語。男は好きなアイドルをトップアイドルにさせるために、彼女に逆らう人間を電子機器を使って痛めつける。ライバルグループのバスが踏切を渡る際に、その踏切を乗っ取り事故を起こすなど。
この漫画の注目すべきポイントは、「悪役」である主人公の描写のされ方だ。1巻から2巻の前半では知能犯的な描かれ方であったが、2巻の後半以降このニートの主人公が極めて場当たり的な犯人であることが明らかにされる。
「なんでもあり」な余白満載な設定が、「どうしようもない」主人公の行き当たりばったりさを生かすのに最適である。これまで類似作品があまりない漫画であるだろう。
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『九龍ジェネリックロマンス』
『恋は雨上がりのように』の作者である眉月じゅんの最新作。
その冒頭から注目してほしい。劇場版『恋は雨上がりのように』、およびその主題歌『フロントメモリー』の映像(下リンク)へのアンサーとも捉えても間違いではない「ひき/より」を用いたアンサー。
おそらく、「少年サンデー系日常マンガ」(ゆうきまさみ的)な絵柄はこの作者が得意とするところだろう。『恋は雨上がりのように』では、その絵柄がノスタルジックで淡い恋心を描くのに適していた。二作目である今作はあえてその得意な絵柄から世界観設定を逆算している。
『九龍ジェネリックロマンス』は「ノスタルジー溢れる人々が暮らし、街並みに過去・現在・未来が交差するディストピア」が舞台である。これはまるで、現代日本をそのまま戯画化したような設定である。そして、東京オリンピックまたそれを巡るプロジェクトを模したような「人類移住計画」が進行している世界でもある。そんな物語世界の中で街の片隅にある不動産屋でのミニマムな恋を描いているのだ。
この「小さな世界」が、以上で述べたような「大きな世界」とこの後接続されるかは展開次第だが、無性にわくわくさせてくれる漫画がはじまったことは間違いない。
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『スケッチー』
『ティファニーで朝食を』のマキヒロチの最新作。
待ってました、という感じの「女性の日常×スケートボード」という切り口。『テラスハウス』でもここ最近のシリーズでスケートボーダーやパルクールなど都市型スポーツのアイコンになるようなキャラクターが登場していたが、文化系女子が武器としてスケートボードをもつというこの物語は新しい。
スケートボードの乗り方から説明してくれているので、このスポーツに馴染みのない人でも読みやすい内容となっている。またそこまで知名度が高くないがスケートボードの日本代表選手がイケメンで可愛いのだ。
彼のいわゆる「ストリート」っぽくない風貌はスケートボードというスポーツを民主化するためのアイコンになりうるのではないかと個人的には考えている。また、インスタやyoutubeとも相性がいいのもこのスポーツの振興を後押しするだろう。
ともかく、2020年はスケートボードのイメージが大きく変わりそうな年になりそうでありこの漫画はその現象に一役買いそうである。