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観光地でもない小さな町に、僕らがホステルをつくった理由
人口わずか1万人、町内はおろか周囲の市町村にも目立った観光地がない。そんな立地で宿泊業に乗り出すなんて、ふつうに考えたら無謀です。それでもなんとか開業にこぎつけて2周年を迎え、ギリギリではありますが黒字化に成功しているんです。
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僕は今年の4月にそのホステルを運営する会社に就職し、いきなり支配人に任命された吉良倫太郎(通称 きらりん)です。なぜここにホステルを作ろうと思ったのか、この先どんなビジョンを描いているのか気になったので、会社のメンバーにインタビューしてみました。
理由①社長がどうしても作りたくなったから
しょっぱなから超個人的な理由ですが、うちの社長がどうしても作りたくなっちゃったからです。
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彼はもともと東京で、ホテルの企画や運営などを手がけるUDS株式会社の経営をしていました。しかし、ひょんなことから50半ばにして宮崎県都農町に移住してまちづくりに取り組み、今年で3年目になります。
その移住1年目の実体験が、ホステルをつくるきっかけになったんです。
これは地方移住あるあるかもしれませんが、物件探しが難航したんです。というのも移住してくる人は少ないし、地元の人は実家を出て独立するタイミングで家を建てる。だからそもそも賃貸アパートが少ないんです。
それに中川がやっと見つけたアパートも、なかなかピンとこなかったそうです。間取りは広いんだけど、どこにでもあるような物件で。せっかく東京を離れて移住してきたのに、自然を感じることもできない。「これじゃ東京の家のクオリティを数段落としただけじゃん」と住環境がストレスになっていたと話していました。
のちにホステルとなる土地に出会ったのは、そんなタイミングでした。最初に話が来たときは、費用が高すぎて「むり無理」と思っていたけど、現地に行って土地を見た瞬間に一目惚れしてしまい、その日のうちに企画をパワポにまとめちゃったそうです。
5,000平米にも及ぶ広大な耕作放棄地(25mプール16個分!)に、2棟の空き家が眠っていました。それらをリノベーションし、最終的に1棟はホステルALAとして開業し、もう1棟は中川の自宅兼第2オフィスとなったのです。
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理由②自主事業も必要だったから
そんな社長個人の思いとは別に、会社の経営的にもつくったほうがよかったんです。
都農に移住して立ち上げたイツノマという会社は、町と一緒に様々な取り組みをしています。廃校活用や商店街再生、小中学生のキャリア教育など幅広い事業を、町から委託してもらって取り組んでいます。
民間の柔軟性とスピード感を活かして、町と二人三脚で企画を実行していく。すごく理想的なんですが、会社経営的には1つの大きな落とし穴があります。
それは町からの契約が切られた瞬間に、一気に収入が途絶えてしまうこと。0か100かなので、町からの委託事業だけに依存しすぎることは経営的に大きなリスクです。そういう観点からも、自主事業としてホステルをつくることには大きな意義がありました。
理由③「まちづくりプレイヤー」としてのプライドがあったから
ホステルをつくろうと思った最後の理由は、まちづくりを仕事にする者としてのプライドでした。
「地方創生」や「まちづくり」を掲げる会社は多くありますが、実際に現場に根を下ろし泥臭く実行していく会社は多くありません。町からの案件はやりがいがあるしありがたいけど、それだけに頼ってしまうと都会のコンサル会社と変わらなくなってしまう。
自らリスクをとって事業を起こし、リアルな場をつくりたい。プレイヤーとしてまちに主体的に関わりたい。そんなこだわりが、観光地でもない小さな町に宿泊施設をつくるという勝算の薄い賭けに踏み切る原動力となったのです。
周囲の協力を得て、奇跡的に完成
こうしてホステル構想が動き出したのですが、もちろんうまくいかないことだらけでした。それでも開業に漕ぎ着け2周年を迎えることができたのは、いくつものご縁と多くの人の協力があったからです。
まず大きかったのは、地元の工務店 秀建設の社長(黒木秀一さん)の存在です。
一目惚れしてフライングで企画書まで作っちゃった中川が真っ先に相談したのが、秀一さんでした。この土地にこんな宿泊施設をつくって、町のこんな拠点にしていきたいんだという中川の思いを聞いた秀一さんが投資を決断し、ホステル構想が大きく前進したのです。
その後も町が助成金の拠出を決めてくれたりと奇跡的なご縁が重なり、2021年9月ホステルALAが誕生しました。
開業から1年半後には、トレーラーハウスの増築にも踏み切りました。
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町内で使われなくなっていたトレーラーを無償で譲ってもらい、改修費用はクラウドファンディングを通じ、町内外から多くの方に支援していただきました。
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もちろんホステルの企画・構想に関しては弊社中川が言い出しっぺですが、それが実現したのはここには書ききれないくらい多くの方に協力してもらえたからに他なりません。たくさんの支援が積み重なり、まちづくりホステルALAが完成したのです。
ほどよい自然の中で、快適な時間を
今度はホステルのデザインや設計について、弊社のクリエイティブディレクターに聞いてみました。
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トレーラーハウスを設計する際に、1番こだわったのは「リラックスして熟睡できる空間」です。設計に入る前にどういう空間だとリラックスできるのかを調べて、天井を少し低めに設定したり、木を基調とした空間にしつらえたりしました。
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もう1つポイントを挙げるなら「快適に作業できる空間」です。リモートワークしやすいようにサクサクのWi-Fiを手配したのはもちろん、作業机の大きさや位置にもこだわりました。肘を乗せてPC作業しやすいような高さにしたり、幅も奥行きもある大きめのデスクになるよう、なんども工務店の人とやりとりしたんです。
渡邊はそんなこだわりポイントを教えてくれました。僕がお客さんに感想を聞いてみても「久しぶりにぐっすり眠れた」とか「思ってたよりかなり広くて、ゆったり快適に過ごせた」と言ってくださる方が多いんです。
そういった感想の裏には、たくさんのこだわりが隠されていたんだなと、手前味噌にはなりますが感動しました。
まちづくりといえばホステルALA!
新卒でいきなりホステルの支配人を任せてもらった僕ですが、実は最近野望ができたんです。
それは「地方創生・まちづくりと言えば、都農町だよね!」と言ってもらえるようなホステルにすること。
まちづくりに関心のある大学生や社会人の中で都農町がウワサになり「あそこめちゃくちゃおもしろいよね」「え、まだ行ったことないの?」みたいな状況をつくりたいんです。
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それと同時に、町の人の日常に溶け込むホステルでありたいなとも思うんです。
あそこに行けば東京で働いていたり、世界を旅していたりするおもしろい人に会えるよ。別に用事があるわけじゃないけど、ふらっと立ち寄りたくなるよね。そんなホステルにしたいし、特に小中学生の居心地のいい溜まり場、サードプレイスのような拠点にしたいなと思っています。
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1万人の都農町民と1万人の都農町ファン
さっきの野望が3年先のホステルALAの姿だとすると、10年先にはもっと大きな夢を描いています。
都農町に興味をもって定期的に関わり続けてくれたり、お世話を焼いたりしてくれる人を増やしていく。具体的には、今の都農町の人口1万人と同じだけの人数、1万人のファンがいるような町をつくりたいんです。
小中学生を中心とする町内の人が、もっと都農町のことを好きになる。進学や就職で外に出たとしても、いつか戻ってきたいなと思うようになる。町出身とかじゃないけど、都農町に関わり続けたいなと思って、オンラインオフライン問わず活動してくれる。
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ホステルALAを通じて、そんな未来を作っていきたいんです。1万人の町民と、1万人の共謀者がいる町。そんな未来をつくるため、新卒支配人がんばります!ぜひぜひみなさん遊びに来てください!!!