処分に困る大量の木の皮で生ごみを減らす〜まちづくり日記 #3〜
新たな出会い
また一人まちの逸材を見つけてしまいました。
とぅりーあらいぶ合同会社 代表の谷村 江利子さん。
「ゼロカーボンタウン宣言」をした都農町のホステルとして環境にやさしい取り組みを考えていたところ、町内でコンポストやっている人がいるとのウワサを聞きつけ早速お邪魔してきました。
実際に訪ねてみると、コンポストを作りに行ったのか笑いに行ったのかわからなくなるほど、卓越したトークスキルで楽しませていただき、そしてまたかっこいい生き様の一端に触れさせていただきました。
そもそもコンポストとは?
なんだか聞いたことあるような気がするけど詳しくはわからなかった「コンポスト」。
せっかくなので少し調べてみました。
コンポストとは「堆肥(compost)」や「堆肥をつくる容器のこと(composter)」。
家庭から毎日出てくる「生ごみ」を、微生物の力によって発酵させて「堆肥(肥料成分を豊富に含んだ土)」に変えちゃう仕組みがコンポストのようです。
ふむふむ、コンポストがどういうものかはわかってきました。
でもすぐに新たな疑問が。
なぜ生ごみを堆肥に変えることが地球環境にやさしいのでしょうか?
またまた調べてみました。
ざっくり要約すると
・生ごみ=ほぼ水分だから燃やすのがめっちゃ大変。その結果CO2が大量に排出されてしまっている
・しかも、燃えるゴミの約40%が生ごみ(重量比)だから、「生ごみを無くす=燃やすゴミが半分になる」と言えるほど大きなインパクトあり
参考)生ごみを制すれば、「ゴミ」を制す1(リンク)
さてそんなコンポストになぜ谷村さんは興味を持ち、10年近くもハマっているのでしょうか。
谷村さんが木製コンポスト開発をはじめた理由
谷村さんのご実家は町内でも有名な製材所で小さな頃から木材に触れる機会が多かったとのこと。
そんなあるとき、産業廃棄物法が改正され製材時に大量に排出される木の皮(バーク)の処分が問題となり、谷村さんはお父さんからこの木の皮処分問題の解決を託されたといいます。
また、ちょうど同時期に谷村さんはお母さんの影響で段ボールコンポストに出会っていました。
生ごみを手軽に堆肥化でき、地球環境にも優しいという段ボールコンポストとの出会いは谷村さんにとって大きなものでしたが、長く使っていくうちに雨や風に弱く箱が壊れやすいという弱点が気になるようになりました。
また、コンポスト内の微生物のすみか(基材)として、泥炭(ピートモス)を段ボールコンポストは使用していたのですが、この泥炭の枯渇問題・輸入問題に思い至ったといいます。
こうして、箱を段ボールではなく木材で箱を作り、基材を泥炭から木の皮(バーク)に変更するという新たなコンポスト開発がスタートしたのでした。
ついに成功、「樹erie box」の誕生
多くの私財を投げ打ち、出会いにも恵まれた結果、開発から6年半、ついに木製コンポスト「樹erie box」の商品化を達成し、特許取得にも成功したのです。
生産量全国一の県産杉を使用し、職人さんが数ミリ単位での調整を行なって切り出した材料で組み上げられた「樹erie box」はもはや1つの芸術品の域。
しかも、外見が芸術的でかわいいだけでなく、機能性と環境負荷の低さも突出しているのです。
悪臭が出ず、場所を選ばず設置できるし、なんと生ごみはもちろん処分に困る廃油など基本的になんでも入れられるのです!
そして生ごみを焼却処分せずに済むことや、枯渇資源である泥炭を外国から輸入せずに廃棄処分するはずの木の皮で代用することで、大幅なCO2削減も期待できるのです!
こうしたメリットてんこ盛りのコンポストを多くの人に楽しく使い続けてもらうべく、谷村さんと娘さん(現在大学生)のお二人は県内各地でワークショップを開かれているとのこと。
今回、私たちALAスタッフもこの「樹erie box」を一緒に作るワークショップを体験させていただきました。
実際のワークショップの様子
ネジの打ち方にはじまり、木の磨き方・組み上げ方など、終始笑いを織り交ぜて私たちの緊張をほぐしながら、丁寧に教えていただきました。
なかでもスタッフが熱中したのは木の部材を磨く時間!
部材を1つ1つ丁寧に磨き上げていくのですが、これがどうにも癖になる。
一人で黙々と熱中するスタッフもいれば、谷村さんにお話しを聞きまくるスタッフもいてとっても楽しいひと時でした。
その後は谷村さん親娘のサポートもあってスイスイとすすみ
じゃーん!完成!!!
途中お昼休憩をとりましたが、10時半からはじめて14時くらいには作り上げることができました!(あとから聞くと、ワークショップ参加者がスムーズに組み上げられるよう、谷村さんが事前に一度組み上げて確認してからバラしているそう。なんという心遣い。。。)
さっそく使ってみました!
完成したコンポストはすぐさま「ホステルALA」に設置。
写真はコンポスト初使用の瞬間です!
ホステルのお客さんやスタッフからも大好評で、なかには「コンポストに入れるために自炊したくなった!」とキラキラした笑顔で話す人も。
コンポストの絶大な威力にびっくりです。
これからの計画
今後はこのコンポストを通じて、ホステルのお客さんや周辺の町民の方との交流を深めていく予定で、現在ホステルALAでのワークショップを計画中!
周辺にお住まいのご家族をALAにご招待して一緒にコンポストを作成し、日々各家庭から出る生ごみをALAのコンポストに入れに来てもらうことで、町民との交流をより活発にしつつ、ゼロカーボンタウンに一歩ずつ近づいていきます。
町のこどもたちとホステルALAに泊まりに来てくれたお客さんとがコンポストを囲みながらおしゃべりする。
なんなら町の子供たちがお客さんにコンポストについて教えてあげる、みたいな未来を妄想して今からワクワクしています。お楽しみに!
✳︎
〈書いた人〉
東京大学法学部3年 吉良倫太郎(通称きらりん)
大分県別府市出身の24歳
地方創生に関心があり、今年度は休学して宮崎県都農町のまちづくり会社にてインターン中。
主に、同社が経営する まちづくりホステルALA の運営・PRや地方創生に関心のある東大生向けスタディツアーの企画を担当。
3月半ばまではホステルALAに滞在しております。興味をもってくださった方はぜひお越しください。たくさんお話ししたいです!