愛の所在はわからない
詩人は言った
「愛は全部キモい」と
「キモい」という言葉の刺々しさ
身体に色濃く染みわたっている「愛」という言葉
並ぶ言葉の仲の悪さに気まずさを感じる
さらに「全部」とくる
逃げどころがない
わたしは まだ
声を大にしては 言えない
だが
「愛は全部キモい」
この言葉に救われた
愛はすばらしいものだというのは幻で
愛は全部キモいのだがら
キモいまんま、存在していくだけでいいのだと
わたしの愛はどこかへいけるのか
愛の着地点をさがすのは 果てしない気がした
なにかをしてもいいのだが
なにもしなくてもいいのだ それでいいのだ
愛が 生まれてきたなら
おめでとう と祝って
ありがとう と感謝しよう
愛 と キモい が仲良くなる
そんな日もくるのかもしれない
「そっと なでる」 わたしの愛
ちょっと 話してもいいですか
わたしは なでるのが好きなんです
親指で ごきげんをうかがうように
そっと なでるんです
そっと
なでるんです
ことばにできないよ
するつもりもない
そんな 愛してるが あればなぁ
途方に暮れて
さみしかったのだろう
そのときのわたしを
そっと なでよう