自分探しの旅(長野・小谷村編)2
3回目くらいの「もうすぐ見えてきますね」を聞くと、山道の傍にたくさんの背の高いススキが見えてきて、その隙間から、やっとやっとお家らしきものが見えてきた。
どうやらそこは、真木集落と呼ばれる場所だとわかった。
昔は何軒かのお家があったが、廃村となってしまったらしい。
何やらよくわからないが、こんな山奥にも生活している人がいて、それも食材も生活用品も、さらにはWifiまでもが揃っていて、
なんだここは?!と衝撃の連続だった。
そして、今日は茅でできているお家の屋根を治す作業をすることになった。
(わたしが完全に情報をスルーしてただけで、最初からそういうワークショップだったらしい。)
なんだかすごく面白そうなところに来てしまった。
山道を登っている時はすれ違いで帰った友人を恨みかけたけど、辿り着くとそんな感情忘れるくらいこの場所に魅了されていて、ワクワクが止まらなかった。
友人よ、ありがとう!!
そして、直感で行くと決めたわたし、よくやった!
茅葺き屋根は、一度葺くと30年40年もつと聞いた。
でもやっぱりそれは技術のある人がやってこその話。
技術が継承されずに、下手にやってしまうとダメになってしまうのも早いらしい。
見よう見まねでやってみる。
片手で掴めるくらいの茅の束を、
枯れてる部分をとりのぞき、
底をそろえて、隣の茅と同じように並べる。
ひと束のせたら、
茅が落ちないように竹の棒をギュッと差し込み、
少し固定する。
まずは、それの繰り返し。
上に重ねてるだけの茅たちは、スルスルと滑り落ちていってしまう。
だからあとで、側面をきれいに整えるらしい。
トントントンって叩いて。
茅の束を並び終えると、紐でおさえて、
所々、トックリ結びというものをする。
だんだんと日が暮れ、カメラがナイトモードか何かで反応が鈍くなって撮れたブレブレ写真。
これはトックリ結びの上から蝶々結びをしてる。
まだできるかな、、、トックリ、、、
あっという間に暗くなり、片付けをしてからみんなで夕飯の支度をした。
今日は、ワークショップの参加者が私を含めて3人。あと、この集落へ案内してくれた1人を合わせて4人。
案内をしてくれた1人は、そこのお家に住んでいて、お風呂の準備へ。
残った3人で、即興クッキングスタート。
まずは、食材たちと見つめあって「なにつくろう・・・」
ほんとに山奥とは思えないくらい、野菜も肉も米も調味料も、ある。
人が生活してるのがよくわかる。
切る担当、調理して味をつける担当、隣の家の電子レンジで肉を解凍しにいく担当、いろいろ分担しながら、即興なのにナイスチームワークだった。
「エリンギはどうやって切りますか」
「そのフライパン、ちっちゃすぎるんじゃないですか」
「かくしあじ、何入れたらいいと思いますか」
色んな発言が飛び交いながらの即興クッキングは、なんだかその人たちのことを少し知れた気がして、うれしくて、すごくたのしかった。
次の日は、ここの集落から30分くらい登ったところにある茅場へ、茅狩りに出かけた。
海外のボランティアも10人くらいいて、一緒に向かった。
1人が1つ背負子を背負って、集落までの山道よりも険しい道を登る。
両手をしっかりついて滑り落ちないように、ゆっくりゆっくり。
どんどんボランティアに越されていくが、そんなの関係ない!
「Too hard …」 話しかけられても、微笑むので精一杯。
やっとついた茅場には、
背のたかーい茅たちが元気いっぱいに生えていた。
早速、茅の狩り方と束の作り方を教えてもらう。
自分の道を切り開くように、前へ前へと茅を狩っていく。
私の目の前には雑草がいっぱいで、茅にたどり着くまでしばらくかかった。
20人弱の大人たちで、2、3時間くらい。
お昼になり、作業を終えると、あんなにたくさん生えていた茅たちが、
あっという間に束にまとまって、来た時と景色がまるで違った。
そして、
両手を使っても届かないくらいの一束を3つ、4つ、背負子に背負って、斜面を降りる。
え~、、、こっっっっっっわ、、、
持てないです。なんて言えないし言いたくもない。
細心の注意を払いながら、そーっとそーっと下る。
「後ろにコケる分には、茅が守ってくれるから大丈夫!」
・・・そういうことなのか?
なんとか集落までたどり着いた。ふぅ~。
生きててよかった。大袈裟かと思うかもだが、その時はほんとにそう思った。
運ばれてきた茅たちは、いくつかにまとまって立たされる。
ここの人たちは、下のことを下界と呼んでいた。まさしくその通り。
1日分の滞在を経て、下界へ降りた。
ワークショップに参加していた3人で一緒に。
90分の険しい山道を登り、
はじめての茅葺き屋根をなおし、
一つのフライパンを3人でつついて、創作料理を作り、
「かゆくなるかもな~」といいながら茅を狩り、
背負子にのせて、命がけで茅を運んだ。
言い出したらキリがない程、色んなことをした。
昨日出会ったばかりの3人だけど、
昨日とは距離感が全く違って、なんでも話せちゃいそうな気がした。
一緒にいた時間が短くても離れる時は寂しいし、
またいつどこで会えるのかもわからないけど、
この人たちとは、またどこかで会えるんだろうな
ってなぜか思えた。
近くもなく、遠くもない。
こういう繋がりって、距離感ってなんかいいな
って自分にとっての新しい関係性を見つけたみたいで、
ぽわーん
心があったかかった。
(長くなっちゃたけど、次回も続けてもいいかな・・・?)