あるでひど

北京生まれ、関東育ちのトリリンガル。FAEとして営業、マーケティング、国内外のメーカーとの会話を経験させていただいた後、現在は開発系の仕事をしています。言語系、技術系、読書メモなど書きたくなったことを書いていきます。

あるでひど

北京生まれ、関東育ちのトリリンガル。FAEとして営業、マーケティング、国内外のメーカーとの会話を経験させていただいた後、現在は開発系の仕事をしています。言語系、技術系、読書メモなど書きたくなったことを書いていきます。

最近の記事

ゆる~い電子回路 第1回:コンデンサ

突然ですが、「交流」についてどんなイメージをお持ちですか? コンセントのやつ、何やら難しそう、式は追えるけどイメージがわかない…etc、といったところでしょうか。 交流理論なんてものは必要がなかったら一生触れないものであるのは間違いないですが、高校で物理をとったり、就職して配属された部署で回路の知識が必要になったりと、色々な背景でその入り口をまたぐ人がいます。 そして、自分の周りにも「交流が難しい」という困りごとを抱えた人が何人かいます。 彼らの声、そして初学者だった頃の

    • 意識していないものは学べない?【言語習得】

      ■Abstract 2017年、スタンフォード大学とプリンストン大学の研究チームが面白い論文を発表しました。その内容は、人は意識を向けていない対象からは学習することができないというものです。 逆説的に言うと、私たちは意識の向け方ひとつで学びの質を大幅に高めることができます。 この事実と生成文法および個別文法のベーシック考え方からスタートし、より自然な外国語を身に着けるための頭の使い方について考えてみましょう。 学習時の意識で身につく内容が変わる■学習の必要条件? 20

      • 中学生の私の頭の中で何が起こったか、心理言語学的に振り返る

        最初の気づき日本語と中国語のバイリンガルだった私は、英語の授業にまるでついていけないことにショックを受けていました。 中学2年の3学期には英検2級をパスすることになるのですが、最初はaとtheの使い分けや三人称単数のsなどさえ、まるで正しく運用できなかった(※1)のです。 そんなわけで追試の常連だった私ですが、ある日転機が訪れます。 学校の授業が疑問詞に入ったころ、ルールの多さに中学生だった私は相変わらず絶望していました。 あまりにも感覚がつかめず、例文を1~2時間ほど呆

        • 脳は並べ替えを覚えない(言語習得)

          1.言語の線状性1-1. 言葉の主役は音である 近代言語学の父と呼ばれるソシュールは1906年から1911年にかけて行った講義の中で、人間が使う自然言語もつ性質についていくつもの鋭い指摘を残しています。 その中で、今回注目したいのが「線状性」という考え方です。 ソシュールは言語の本質は音声にある、すなわち私達が聞いたり話したりするときの言葉にあると指摘しました。 人の頭の中では音が意味と結びついて記憶されており、文字は音を想起させる記号に過ぎないという考え方です。 何を

          【リスニング】なぜ、単語を聞き逃すのか?

          1.忘れる脳この記事にたどり着く方の中には、現役の受験生や共通テストの同日模試で尻に火が付いた方など、時間がない方もいらっしゃると思います。 なので私の悪癖は封印して、休憩時間で読める長さにまとめます。 が、一つだけ大事な前置きにお付き合いください。 その前置きとは「脳が情報を捨てる感覚」を体験することです。 戦いの土俵に立つためにもまずは敵を知りましょう。 早速ですが、この動画で白い服を着た人がボールをパスした回数をできる限り正確にカウントしてみてください。約1分半で

          【リスニング】なぜ、単語を聞き逃すのか?

          『意味』とは何だろうか?(言語習得)

          『意味』はどのように記憶されている?意味とは何でしょうか? 改めて考えると、これは非常に難しい問題です。 その探求は古くはプラトンまでさかのぼり、近代以降の言語学においてはソシュールやヴィトゲンシュタインをはじめとした多くの偉大な人物が言語学や論理学的な観点からこの問題に対して光を当ててきました。 1970年代~80年代にかけて、それらの言語そのものに関するする説明と、我々の認知過程を結びつける一つの概念が成立しました。 それが、『(メンタル)レキシコン』というものです

          『意味』とは何だろうか?(言語習得)

          いわゆる『英語習得成功体験』には共通点があるのではないだろうか?

          Introduction 世の中には数多くの英語の教材があります。玉石混合ですが、多くは熱意と考えをもって作られた良著だと思います。 しかし、実績のある教材や勉強法をしっかりやりこんでも必ずしもうまくいくわけではありません。 それはなぜでしょうか? 私はうまくいくか行かないかの差は、学習者本人が「脳に何を覚えさせるべきか」に気付いているかどうかにあるのではないかと考えています。 (※ハウツウ記事ではありません。でも何かの役に立つかもしれません。) 知識で言葉は話せるよう

          いわゆる『英語習得成功体験』には共通点があるのではないだろうか?