脳の「空白」から興味・関心が生じるのです
これまでは多人数授業の第1回目の授業について、15回にわたってお話ししてきました。今回は、当然ながら第2回です。
第2回は第1回と重なる部分も多いので、そんなに長くはなりません。それというのも、私は90分の授業の各部分をモジュール化し、ある法則によってパターン化しているからです。
2回目でも初めて来る学生がいるのが当たり前
私の大学では、2年生以上は、なぜか初回授業をスルーするという悪習があるからです。ですから、授業の最初は第1回授業と変わらず、オープニング動画を流します。初めて授業に参加した学生には、これからの期待期待感をつくることが目的ですが、初回から参加している受講生に対しては少し違う意味があります。それは後で説明します。
オープニングが終わったら、授業はグループ学習で進行することを確認して、新たにグループをつくります。大抵の場合、2年生上の学生の参加が増えているので、グループを組み直します。
グループになったら軽い自己紹介とGood&Newsをして、グループになったばかりで、硬くなっている状態を少しほぐします。固定机の教室の場合、この時「全員の顔が見えるように座リ直してください」と一言添えておくと、グループで向き合って座るようになります。
それが終わったら、①今日の授業を受ける目的、②授業の終わり目的を達成した自分の姿、の2つについて2分くらいで考えてもらいます。その2つをネタにして、グループで1人30秒程度の自己紹介をしてもらいます。
「企業家カードゲーム」で脳に空白をつくる
さてここからが今日の授業の本番です。グループ対抗で「企業家カードゲーム」をします。
ルールは簡単、授業で取り扱う企業家の「顔写真」「名前」「関連する企業名」の3種類のカードを正しく組み合わせるだけです。ここでは長くなるので、ゲームの詳細については次回に説明します。
ほとんどの学生にとって初めて見る顔や名前なので、ほとんど正解できません。でも、それでいいのです。そうやって間違えることによって、関心が生まれるからです。人間の脳は空白を嫌います。間違えることによって、頭の中に空白ができるので、その空白を埋めようとして関心を持つようになるのです。
何かをしたらよかったことを確認し、記録する
「企業家ゲーム」の答え合わせが終わったら、すぐに振り返りをします。リフレクションシートに、いまのゲームで分かったこと、できたことを忘れないうちに記録します。
それが終わったら、今度はグループで「企業家ゲーム」について振り返りをします。興味をもった企業家は誰か、その企業家のどんなところに魅力を感じたのか、ひとりずつ発表してもらいます。
この時点でも、カードの企業家について詳しい情報を与えていません。はっきりいって空白だらけです。カードに書かれた限られた情報から想像で空白を埋めて、自分の考えを話すことで、より強い興味・関心をもってもらうことを目的としています。
グループでの振り返りが終わったらリフレクションシートを書く時間を2分程度とります。ここでは、グループメンバーの話を聞いたことによって、「さらに興味を持ったこと」「もっと知りたくなったこと」について書き留めてもらいます。
この後は、初回に説明した、基本的な学習の進め方 、評価のやりかた、授業のルールについてもう一度説明し、約束をしてもらいます。最後に今日の授業に参加して「できたこと」「よかったこと」をリフレクションシートにまとめて、終わりです。
アクティブラーニングでは、受講生の脳に空白をつくることを意識しましょう。
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