9月27日 フリーランス・事業者間取引適正化等法
9月27日ですね。
今度の11月から「フリーランス・事業者間取引適正化等法」が施行されます。
フリーランスで働く方を保護するためということで、まずは一歩前に進んだと歓迎すべきでしょう。
ただ、今回は就業条件や給与支払いの部分をきちんと事前に明確にすることが定められただけです。
IT業界によくある多重請負の問題解消はまだこれからです。
前にもここで書いたかもしれませんが、私は最大で六次請けの末端で働いていた時期があります。
その先の見えない苦しい状況から脱却するため、私がkintoneにキャリアをかけたのはここで何度も書いた通りです。
今のIT業界構造からして、この多重請負の問題は、早々に解消できるものではないと思っています。
弊社は今、多重請負の問題からはほぼ抜けています。ほとんどのお客様がエンドユーザーです。つまり直請け。間に一社が入る案件が数件ある程度です。
しかも、一社依存はせず、複数のエンドユーザーに分散しているのも何度も書いたとおりです。
おそらく政府側も一企業が従業員をずっと雇い続ける経済の維持は無理があると感じ始めていて、より流動的な雇用環境を実現するため、今回の法律の整備に至ったのでしょう。
一方で、独立の夢が叶ったものの、営業チャンネルが思うように作れず、エージェントに依存してしまう技術者も雇用される側に戻っていく技術者もたくさん見てきました。
弊社も案件と技術者を橋渡しするビジネスに興味がないわけでは無いです。SES契約(システムエンジニアリングサービス契約)とよく言いますが、私は常々「SESは麻薬」と考えています。
案件と技術者の橋渡しと言えば聞こえは良いですが、やろうと思えば中抜きが簡単にできてしまいます。
一度そのやり方に慣れると、もう自分で設計してコーディングして要件定義してのやり方がしんどくなってしまう危険があります。
その結果、社内にそう言う橋渡しスキルに長けた方だけが増え、自社では構築も設計もできない会社になるリスクがあります。
その一方で、私自身が技術者の末端で不自由に感じていました。その境遇をこれからの技術者に味わって欲しくない思いもあります。
たとえ、案件を紹介する業務を弊社が始めたとしても、技術者から搾取しないように工夫すべきです。
派遣させっぱなしではなく、どうすればフォローできるかについても、研修や事務所開設から考えるべきなのは何度も書いているとおりです。
また、加齢の問題もあります。
年齢を重ねた技術者は単価が高く、かつそれに反比例して、新たな仕組みや技術の習得が困難または消極的という問題があります。
雇用側もそれを躊躇して、書類選考の時点で不採用にします。
歳を重ねてもキャリアチェンジが可能な体制、しかも管理職ではなく、技術者魂を維持したまま活躍できる体制を作らなければ。
非正規雇用を解禁したことが日本の構造不況を呼んだと言う説もあります。
今回の法施行によってフリーランスの待遇を改善したところで、上に書いた事も含めて整備しないとダメだと思います。
特にこれからはLLMや生成AIがフリーランスの強力なライバルとなりますから。
弊社もフリーランス・事業者間取引適正化等法の主旨を理解した上で、どのように振る舞うかを考えていくべき時期に来ています。