10月4日 独立するなら契約書は必ず読み書きできるように。
10月4日ですね。
契約書って大事です。
昨日はそれをあらためて思わされた1日でした。
一昨晩から昨日の午後にかけては、サイト制作で無理難題言われてお困りの方からの相談に乗ってました。これも契約を締結していなかったために、作業範囲が拡大し、収拾のつかなくなった例です。
今朝は契約の大詰めでお客様の顧問弁護士の下に伺い面談と合意に進みました。
この契約書は、かなり長い間訂正を進めてきましたが、自分が契約書を読めなかったら、その作業自体が成り立たなかったでしょう。それでも、自分の法理解の未熟を思わされました。
昨日の夜、妻から連絡がありました。義父からの伝言として20年前に私が苦労した家の売却について、あの時はよくやったと感謝の言葉をいただきました。
その時、最後の段階で弁護士に立ち会ってもらいました。初めて弁護士さんにお世話になりましたが、過去の経緯も含め、契約を締結していない事がどれほどのリスクになるか、つくづく感じた体験でした。
お客様の顧問弁護士との交渉で、自分の法理解の浅さを感じた私は、三日前に訪れたDX総合EXPOでは、LegalOnさんを始めとした複数のクラウドのリーガルチェックのサービスのブースを訪れました。そのうち一社とは早速商談に進みます。
本当に独立を考えているのなら、契約書は必須です。契約書の読み方や書き方も覚えておく必要があります。
これができないのなら、独立しないほうがいいです。
私は20年前の経験をもとに、今でもどんなに忙しくても取り交わす契約書の内容は熟読しています。
それでも、こちらの弱腰の立場につけ込んで、無理難題を言ってくるクライアントもいるでしょう。
私自身、作業範囲をきちんと契約書にうたわずに作業着手したことで、痛い目にあってきています。発注側でも受注側でも。
ただ、そんな私でも電車に乗る時、いちいち運送契約の文面は見ていません。
運送契約。
知っている方はいますか?
実は、私たちが電車に乗る時は、鉄道会社との運送契約を暗黙的に了承した上で乗っているのです。
バスや飛行機も同じです。他にも日常的に利用するサービスも全て契約に基づいて利用しています。
私たちはいちいちそれを読みません。世の中で使われているサービスだから、利用者にとっていい加減なことは書かれていないだろうと言う前提で利用しています。皆さんが暗黙的に了解してるから大丈夫と言う態度でも過ごしていけるのでしょう。
いちいちこう言う条文を読んでいたら、暮らして行けませんし。
ですが、経営者であったり個人事業主であるならば、お客様と取り交わす契約書に関してはきちんと読むようにしなければなりません。
弊社もそうでしたが、ウェブ上に落ちている雛形をただ単に使っていると、問題が生じます。
さすがにその雛形をそのまま使う事はないと思います。何かの修正を行うでしょう。
すると、修正を行うたび法務的な穴やほころびが生じます。その穴は加工するたびにますます大きくなります。
なので、自社に良かれとカスタマイズした契約書、実は穴だらけなのかもしれません。
例えば、今回、お客様の顧問弁護士の先生にチェックされたのが、「以下のいずれか」と「以下の各号のいずれか」は違うということです。
第1条
第1項
(1)
の(1)を厳密に号とみなすかどうかです。また厳密に言うとこの数字も半角と全角によって区別されます。
参照している元の文章の記載が半角で、実際の条文が全角で記載されていると、実際は効力が生じておらず、その条文の内容自体が有効にならないと言うことも起こりえます。
例えば上にあげた条文でも、第一条第一項に従いうんぬんと言う条文があったとすれば、漢数字とアラビア数字なので違います。「従い」と書いていても実際は従えていないのです。
本来であれば、契約書等はないほうが良いのです。皆さんが仲良く友好的で論理的であれば。
ですが、実際はそうではありませんよね。
商取引の中で、普段の人間関係の中で、認識の違いや権利の主張によって人と人、または会社と会社は簡単に対立します。その時にどういう基準で合意していたかが契約書です。
個人事業主の場合、いろんな会社と取引が発生します。その都度、その契約書はきちんと取り交わし、かつ内容も厳密に確認しなければなりません。
上に書いた通り、私は昔から必ず契約書の中身は読んでいます。幸いなことにまだ紛争になった事はありません。
ですが、それでも契約書に書いていない業務範囲などで延々と作業が続いた例があります。そもそもお客さんが音信不通になり、案件の金額をもらえなかったことも一度だけあります。
そのようなこともありますから、いつどうなっても良いようにきちんと契約書で身を守っておくようにした方が良いです。
今はAI時代です。AIに任せてしまうと言うやり方も可能です。
ですが、本当に条文は読まなくても良いでしょうか、AIを信じてしまって丸投げでも良いでしょうか。
自分の目で確かめておかないと、AIがお墨付きを与えた内容が、自分の不利な内容になっているかもしれません。そうなったら、不利な状況を受け入れるしかありません。
今は和を以て尊しとなす日本に暮らしているからいいでしょう。ですが、これからは移民もどんどん増えます。異なる判断基準や価値観を持った人たちも増えます。
つまり、独立する以上、まず文章を読む訓練から始めないとダメなのです。
文章を読むのがだるいとか、集中して読めないと言う方は、そもそも独立しないほうがいいです。
正直、今の読み書き能力が落ちている若い人たちは、将来、契約書で苦戦する気がします。