彼が考えた理想的なバースデーパーティー #AKBDC
「「3、2、1、GOーーシュートッ!!!」」
掛け声と共に、アクズメさんαとアクズメさんβが同時に強力のシュートを決めてベイブレードをスタジアムに放った!
「いっけぇぇーーッ! ヴァルキリィー!」
戦いの神の名を冠した3枚刃のDBベイーーセイヴァーヴァルキリーを扱うのはアクズメさんα!セイヴァーヴァルキリーは細い軸先でスタジアムの中央に陣取る、アタックタイプにしては珍しい動きだ。
「弾き飛ばせ! スプリガンッ!」
対して財宝の守護神の名を持った赤いDBベイ、バランスタイプのアストラスプリガンは左回転のディフェンスモードで迫りかかる!左回転対右回転、それは何を意味するかというと。
キーン!カァーン!バギャーン!ゴグワァァァン!
そう、回転方向が逆ということは、ベイがぶつかる頻度が上がり、バトルがより激しくなるということだ!バゴォォォン!2本の斧じみた巨大ラバー刃を搭載したスプリガンに弾かれて、セイヴァーヴァルキリーがスタジアムの壁に激突!大幅のスタミナロス!
「またまた、勝負はこれからだ! ヴァルキリィー!」
アクズメさんαを応えるように、ヴァルキリーは次なるギミックを展開した。ある程度回転力が下がると、ディスク一体型のショットドライバーびバネが作動して、内蔵された太い軸が飛び出てベイブレードが跳ね上がった!ジャンプ変形!ドライバーの軸先が太くなって、機動力がアップ!ヴァルキリーは先ほどの控えめの動きから一変してスタジアムに暴れ回る!
『行くぜヴァルキリー! セイヴァースラッシューッッ!』
壁を蹴って機動修正、ヴァルキリーがスプリガンに襲う!アクズメさんαが全員から青いオーラが迸る!ヴァルキリーのコアから軍馬に乗った青い鎧の騎士のヴィジョンがホログラムめいて投影される。極度の興奮状態で脳内麻薬が大量分泌促進により、本来見えるはずがない物が見えてしまったのだ!
『スプリガン、守り抜け! アストラスラッシュ!』
アクズメさんβもまた肩から陽炎じみた闘気が膨れ上がった!スプリガンのコアから巨大の斧を持った怒れる魔神のヴィジョン!
戦神の剣と魔神の斧が切り結ぶ。ベイとベイが衝突する!
KA-BOOOOOOOM!!!
バトルホビーとは思えないほどの爆烈音!熱量を帯びた凄まじい光と爆風がスタジアムを中心に放射する!しかしαとβはスタジアムから目を逸らさない。勝負の行方を見届けるべし!
パリャーン。セイヴァーヴァルキリーが衝撃に耐れずバースト!アストラスプリガンがセンターに回転している。勝負あり。審判のアクズメさんγが判定を下した。
「アトラススプリガン、パーストフィニッシュ!アクズメさんβの勝利!」
「よしっ!」
「カァ~~負けた!しかし派手にバーストしたぜ」
「ベイブレードバーストはこうでないとな!」
「次はこのγ様がバトルしてするぜ!このヴァニッシュファビニルすべて無に帰してやる!」
「おういいぜ。今度はスプリガンの右回転アタックモードで真っ向勝負していやるよ」
「待てお前ら!」ドアが勢い開かれ、肩にマイバッグをかけているアクズメさんΔが入室した。「ベイブレードはスポーツだぜ!ちゃんと見ず飲まないと脱水になっちまうぞ!これを飲めー!」
Δはバッグから四つの大きなペットボトルを取り出し、アクズメさんたちに配った。その白濁の液体が入った瓶を見たα、β、γの三人は訝しんだ。
「おいおいおいおい、これって……!」
Δから渡されたのは水ではないく、COSTCOで販売されているマルガリータのRTD(ready to drink。そのまま飲めるカクテルという意味)のボトルだった。
「水じゃねえじゃねえか!」
「だろぉ?俺が何を飲みたがっているのか、俺自身が一番よくわかる」Δのドヤ顔!
「もはや水分補充とか関係ない。というよりアルコールで脱水が進む」
「いいじゃん別に。バースデイだからさ、はめを外そう!こいつで乾杯しようぜ!」
「お、おう」
四人はギャップを外し、各自のボトルを掲げた。音頭をとるのはΔ。
「では、33歳、つまりダブルスリーイヤーズオールド、すべての汎次元アクズメさん存在の誕生日をお祝して、カンパーイ!」
「「「カンパーイ!!」」」
四人は一斉にボトルを持ち上げて、一斉にラッパ飲み!そして
「ぎぇ」「ぐぉ」「べぇ」「むふ」
四人が同時に顔色が変わって、口をすぼめた。
「スッペー!」「甘ッ!」「濃すぎる!」「このまま飲んじゃいかんやつだ!」
アクズメさんαはゲーミングチェアの背もたれを倒し、深く沈み込んだ。
「はぁー楽しい……本当によかったよお前らが来てくれて。AKBDCが全然盛り上がらなくてクソイベントに化したし、危うくヒューマンガスになるところだった」
「皆まで言うなって」βはそう言い、氷を入れてグラスにマルガリータを注ぎ直した。「俺の誕生日でもあるんだ」
「これでわかったろ。がインターネットで知り合った人間に期待するところ、返ってくるのは虚無と失望だけだ」γはバニッシュファブニルのレイヤーをハイモードに変えながら言った。
「Amazonからなんも届いてないしな!」とΔ。
「う~ん。ヒューマンガスの名セリフを披露したいところだけど流石にフォロワーは減っちゃうからいいや。はぁー、このまま寝ちゃいたいよ……」
感嘆するα。
「なぁに言ってんだα?パーティはまたまた始まったばかりだろうが」
「そうだぜ。またベイバトル、やり足りてねえだろ?」
「あとはアクズメさんクイズ百発!」
「フィットボクシング対戦!」
「俺たちの夜はこれからだぜ!」
ぬくもりを満ちた笑顔と見せるβ、γ、Δ!αは腹の中から熱い何かが昇ってくるのを感じた。
「俺ら……そうだな!俺もこうしちゃいられない!やろうぜ!今夜は一日中HARD PARTYだ!」
アクズメさんαはゲーミングチェアから飛び上がり、仲間のもとへーー
ー現実ー
暗い自室の中、アクズメさんはゲーミングチェアに深く沈み込んでる。モニターの仄かな光が彼の顔を照らした。半開きの目、口から涎を垂らしながら、彼は幸せそうに微笑んでいる。
チェアの後ろ、映画ロードオブザリング第一作公開時のオーランドブルームとうり二つの美男子が立っている。エルフの王子だ。彼はいにしえにエルフ魔法を行使し、光っている掌をアクズメさんの頭に当てている。
「これでいい、私の可愛い人」
エルフのの王子は赤ん坊をなだめるような優しい口調で言った。
「もう、誰もきみを傷つけない、落胆させない。私が作ったヴィジョンの中で、永遠に、安らかに、お眠り」
そして、その美しい顔に相応しくない、邪悪な笑顔が咲いた。
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