死ぬまでに一度雪を見たかった③
朝、私はこれからの戦闘に備えるべくサウナに入って心身を清めた。
闘志は十分、先日引けたPRスイングはリュークの中。万事が整えた。あとは行く、見る、勝つだけ。ウォーミングアップ兼ねて札幌駅を目指して歩きはじめる。
だし自販機。何回かテレビで見たことある。こんなところにあったのか。
闘争
ここがコロッセオ。相手が既にDCDアイカツプラネットの筐体の前で私を待っている。
「ドーモ、お初目にかかります、きょくなみイルカ=サン。アクズメです」
「ドーモ、初めまして、アクズメ=サン。イルカです」
私はピンク色の海獣とアイサツを交わした。彼は相互フォローのきょくなみイルカ、私と戦うために今日の早朝からバスに乗り、北海道の何処から6時間かけて札幌にやってきた。
「それではさっそく戦りましょうか」
「そうですね」
闘争者同士多く語らず。二人が筐体の前に座り、カードケースを取り出す。筐体にコインを入れ、アイカツライセンスをスキャンする。
「曲はイルカさんが決めてください」
「じゃ、またまたまた明日で」
「わかりました。難易度は?」
「せっかくなので、とてもむずかしいで」
すごくむずかしい、それは私でもフルコンボできる自信がない難易度だ。相手は結構自信があると見た。いいだろう、こちらにはレベル9のラブサジタリウスがある、他所のミスはドレシアの強さでカバーできる。こういうゲームなんだ。
「アクズメさん、押し違いましたよ!」
「あっ」
私が誤ってオフラインプで遊ぶを押してしまった。これは迂闊!
「あーすいません、これがウォーミングアップということで、次からはガチバトルで行きましょう」
「仕方ありませんね」
各自のプレイが終わり、再度コインを入れる。しかしここでまた問題が発生。
「あれ?どうなってんのこれ?」
アイカツライセンスを表示しているスマホを筐体のスキャナーにかざすも、読み取る気配が一切ない!なんでだよ!?さっきは行けただろ!
押しつけたり擦ったりして努力したが、このポンコツが、まるで動いてくれない!秒読みが終わってしまう!あーあー
「なんか面目ねぇ......」
「まあそういう時もありますね」
出会いから数分、既に私のクールガイ仮面がボロボロと崩れて始めた。ライセンスを使わなかったため、ハナによる導入動画が流れる。今回はダメもとでキュービットを使ってラブサジタリウスにドレスチェンジしてもらった。やはり元のモデルが着ているとよく似合う。
2回目のプレイが終わり、今度こそ......が、駄目!スキャナーが働いてくれない!どうなってんだよBANDAI!
これ以上は午後のスゲジュールに支障が出るので、我々やむなく対戦を諦めることにした。残念すぎる結果。ハードウェアのメンテナンスをおろそかにしたBANDAIが全部悪い。
大倉山ジャンプ台
メトロからバスに乗り換え、我々は大倉山にやってきた。
郊外かつ高所だからか気温が2℃前後。白い雪がまた多く積んでおり景色がキレイといえよう。いいね、憧れの北海道っぽくなってきた。足の裏がよく冷える。
1000円でチケットを購入してリフトに乗ってジャンプ台の上に。
展望台から札幌の街を一望できる。カフェが営業していないのは残念だ。高い所から下界を眺めながら飲むコーヒーは格別に美味いのに。
割とこれだけの場所だった。雪上スポーツに関心はなかれば結構虚無。まあここに行きたいと言ったのは私だけど。
闘争2
「イルカさん、やはりもう一度ビックに行きませんか?遥々来てくれたのに戦いもせず終わりだなんて、僕はやはり納得できません」
「いいしょう。でもその前になんか食べませんか?」
彼は今朝バスに乗ってから今に至ってカロリーメイトとスポーツドリンクしか口にしていないそうだ。なんたる苦行!
フードコートで軽食を摂る。日本のモスチキンはみなみの国と比べて皮がよりクリスピーでいい感じだった。
胃が温まったので再び4階にあがる。今度はスキャナーが正常に作動してくれと願いながら筐体の前に座る。
「そいえばライセンスのコードはそのままスキャナーに当てるより、スクショの方が読まれやすいじゃなかったっけ」
「あっ」
言われて思い出した、確かに前にも秋葉原でアルバート同じことを言った。
ライセンスのページをスクショし、スキャナーに当てる。ドゥルドゥルリーン、ライセンスは無事に読みとれた。
「ははっ、昼の苦労は何だったのか……」
「まあそういうこともありますよ」
気を取り直して、まずはバトルステージで行く。
曲はまたまたまた明日の最高難易度。私が使用するスイングがこれ。
イルカのチャンピオンのなみちゃん。近年よく見かけるアイドル的な髪色。
接戦!いい戦いだった。正直ラブサジワリウスがなかったら私の負けだっただろう。
続いてはユニットステージ。曲は自分が大好きなBrand New World。あと録画台ではないので動画はない。読者には想像力を働かせていただこう。
……いいステージだった。2つの対になるユニットドレスの後に、新旧サジタリウスでフィナーレを彩る、感動したぜ。私がプロヂュースした最初で最後のステージ、アルバートにも見せたかったなぁ……
ジンキスカン
来た、戦った、勝った!宴を開けよ!我々の次の目的地、それはサッポロビール園であった。私の要望でイルカが予約を取ってくれた。
北海道の形を模ったジンキスカン鍋。私からすればアフリカ投げナイフめいた邪悪な調理器具にしか見えない。手斧としても使えそう。函館のところはちょうど取っての形してるし。
にしてもこの煙よ……!床もテーブルも何気にギトギトしている。歴史のある施設だから焼肉屋みたいに卓ごとに排煙設備を取り付けるわけにはいかないもんな。スタッフが大変だぜ。
道民であるイルカにジンキスカンの正しいやり方を教えてもらっている。まずはこの脂のブロックを熱した鍋に満遍なくこすりつけて油を引く。
あとは焼くだけだ!肉と酒がとにかく美味くて写真を撮るのも忘れて無心に焼いていた。野菜も食べれて実際ヘルシー。植物繊維は大事だぜ。
酒を絶やさない私に対してイルカは一杯目のなんかのサワーからソフトドリンクしか注文しない。酒はあまり飲めないとのことだ。飲み放題に付きあわされてしまったか、申し訳ない。お詫びとして会計の際は多めに払った。
喫煙者であるイルカはそろそろニコチンが恋しいので喫煙室へ、私はついて行った。そして驚いた。ホールより喫煙室の方が空気がいい!
酔ってるのでイルカにタバコをねだった。肉、酒、タバコ、俺はいま最高にRELAXしている。因みにみなみの国では電車加熱式のタバコが禁止になっている。
イルカはこの後現地の友人とエキサイティングなサタデーナイトを過ごす約束があるので札幌駅で解散。私はニチアサを視聴するべく早く帰って休むことにした。
にしても服は焼肉臭がすごい。