【Five Nights at Freddy's】スーパーエージーモードになってしまったFNAF【映画感想】
2014年、Five Nights at Freddy's、略してFNAFが発売された。シンプルなルール、魅力的なキャラ、凝った演出が爆発的な人気を博し、ゲーム実況者が我先にプレイし始めた。私はホラーゲームが苦手なので実際プレイしなかったが、実況動画を楽しく拝見させていただいた。監視モニターを見てドアを閉めるだけのゲームがここまでやってくれるとは当時は感心した。それから2作目、3作目、外伝作品が次々と出てくるが、作品が重なるにつれて興味が薄れたか、1作目ほど話題になることはなかった。
FNAF映画化の話は2015年にすでに出ていたが、製作期間があまりに長かったため、ファンの間にキャンサルされたかと噂された。そして、2023年10月、ようやくフレディたちが大画面にデビューする。ゲームは無理だったが、映画なら何とかなる。私はシネマに赴いた。
ゲームの緊張感を充実に再現……しない!
FANF一作目はどんなゲームかざっくり説明しよう。機械人形が歌って踊る子供に大人気なのテーマレストラン、フレディ・ファズベア・ピザの夜間警備員にプレイヤーが就任した。しかしなぜか機械人形が勝手に動き出して主人公に襲い掛かってしまう!モニターで機械人形の動向を監視しつつ、電力の残量を気にしながらドアをバタンバタン閉めたり開いたりして自分の身を守り、5晩を乗り切れるか!?
大体こんな感じ。詳しく知りたいならプレイ動画の視聴をおすすめする。なかなか楽しいよ。
そして映画版主人公であるマイク・シュミット(ゲーム主人公と同名)もまたフレディ・ファズベア・ピザの夜間警備に就くが、原作と違ってレストランはわけあって長いあいだ閉業状態になっていた。セキュリティ室にたどり着き、馴染みのモニターと扇風機が置かれるデスクの前に座るマイク、これから命がけのダルマさんが転んだが始まる......!と私はいきなりきて驚くシーンに身構えるが、マイクが取った行動に別の意味で驚いた。
彼は適当に店内を見回った後、ピルを飲んでデスクに突っ伏し、眠りに入った。
おい。
おいおいおいおいおい。
もはや“殺してくれ”と言わんばかりの体たらく!原作をプレイor観た勢から見ればあり得ないことだ。フォンガイが登場しないためマイクはこの時点でフレディたちが動き出すこと知らない知らないだとしても、職務怠慢に変わりはない。実際彼はこれまでに何度も仕事でやらかしてやむを得ずレストランの夜勤を請け負った形だ。
彼が仕事中にサボる理由はきちんとある。12歳の時、家族とピクニックの際、弟のゲリーが知らない人の車に乗せられ、拉致された瞬間を目撃したマイクは自責の念から自分に暗示をかけて、夜な夜な弟が誘拐される当時の明晰夢を見て、犯人に関する手かがりを探ろうとしているのだ。そしてフレディ・ファズベア・ピザという怨念が集まった場所で、夢の内容が変化しつつあるが特に何も起こらず、朝6時を迎えたマイクは勤務初日が終わって退勤した。日にちが進むにつれて機械人形が動き出したものの、扉バタンバタン要素は一切なかった。ゲームの要素がまったく映画に反映されない。
いえね、分かるよ。原先通りモニターを見ながら扉をバタンバタン閉めたり開けたりするだけじゃ映画は成立しないと。なんか脚本が何度も書き直したと聞いたので、最初は本当に扉バタンバタンでやるつもりかもしれないが、色々あって現在の路線に変更しただろう。
かつての5つの夜の死闘を繰り広げた元警備員、そしてその死闘を見守った視聴者がこの映画を観て「あーそうそう、あの時はこのように大変だったねぇ」と懐かしみたい方には残念かな。
オマージュ作品に先を越された不幸
時間がかかり過ぎて、その間FNAFのオマージュ作品のWilly's Wonderlandが先に公開してしまった。
機械人形が出て人を殺すレストランにニコラスケイジをぶちこむだけですでに面白いが、映画本体は一本気のシナリオ、因習村、面白い暴力、鬼強いニコラスケイジなど盛りに盛ってストレスフリーのエンターテイメント大作に仕上げた。私の好きな映画No.1と言って過言ではない。感想も書いた。
FNAFでは出来なかったことをやってくれたWilly's Wonderlandに対して、FNAF映画はゲームと違う道を探ろうとしたが、その結果ゲームとの体験とかけ離れた作品となってしまった。
ではFNAF映画は原作をむげにする駄作なのか?そうとも言えない。シナリオはさておき、ビジュアルは大したものだ。フレディ・ファズベア・ピザ店内は細部までこだわって作られているし、フレディ、ボニー、チカ、フォクシーらアニマトロニクスは原作通り丁寧に造形されている。Willy's Wonderlandのパペットたちは全体的に目つきが悪くて邪悪さを強調しているが、FNAFは不気味と同時に愛嬌のあるデザインが和んでくれる。きみの推しアニマトロニクスが実写で動く、それだけでシネマに足をは運ぶ価値があるかも?ちなみに私の推しはチカ。実写もすごくかわいかったぜ。
日本の公開はまた先のようだ。観るかどうかはきみの判断にゆだねるよ。