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I became SAGA in 佐賀 5

 海鮮旬菜酒家壱壘(いるい)は商用ビルの地下一階にある、地元食材と地ビール提供する地元愛が溢れた居酒屋でGoogle mapでの口コミも概ね高評価。現在の時間は19時14分、飲み屋が忙しくなる頃だが、壱塁は前触れもなく臨時休業に入った。シャッターが完全に閉まっており、店の前に「こころを込めて仕込み中」の札が立っている。柑橘系の香りと口触り爽やかなIMARISHI IPAで一日を締めようと店を訪ねたサラリマンはシャッターの前で落胆し、踵を返すだろう。

 一方、シャッター一枚で隔ている店内では椅子が倒れ、皿やグラスが割って、飛び散った料理床と壁と天井を汚している。そして……死体!頭が割れれて脳漿こぼれるサラリマン死体!首折りサラリマン死体!頭に手斧が刺さった豹頭人死体!カウンターの裏で柳刃包丁で喉を貫通されて壁に縫いつけられている料理人死体!奥のキッチンではフライヤーに頭を押し込まれてフライされている従業員死体!延髄に肉切包丁がめり込んだ従業員死体!何という凄惨な状況が!しかし気を強くして恐怖を抑え、よく観察すれば、全部の死体に共通している奇妙な特徴にに気づくだろう。

 ウナギ、アナゴと、小さめのウツボといった通称イールの細長い魚類が死体の口または鼻から飛び出て、グロイけど少し可笑しい。

 そして店内に唯一また動いているである俺は今、カウンター席に腰を掛けて、noteアプリにテキストを入力している。ここを出る前に伝えねばならないことがある。

 皆さんはハリガネムシというパラサイトをご存知ですか?知らなかったら今すぐ検索してみましょう。素晴らしくゾッとする画像があなたを待ち受けます。私自身は写真や動画でしか見たことないけど、腹が水に浸かったカマキリのケツからにゅっと迫りだして出てくる絵がかなりのインパクトでした。特筆すべきはハリガネムシの脅威的なな生態である。もともと水棲動物であるハリガネムシはまずカゲロウなどの幼虫に寄生して、その幼虫が変態して陸に上がったらカマキリに捕食されて、宿主がカマキリに移る。ハリガネムシはカマキリの生殖能力を奪って、腹の中で成長する。ある程度成長したら宿主の脳に特殊な物質を送り、宿主をコントロールして入水自殺させ、自分は宿主の骸から脱出して自在に余生を送る。このようなパラサイトが宿主のニューロンに干涉して操作し、普段ではありえない行動を取らせる行為は“ゾンビ化”とも呼ばれています。
 2018年。私が聖戦士として活動し始めた頃、私はイールの脅威についてイメージし、策を考えてる中、黒めの体色、水棲動物、狭い所に入り込むに適した細長い身体、そして恐ろしく邪悪な生態などあから、イールとハリガネムシは驚くほど似ていることに気付きました。
 頭の中でスパークが爆ぜた。ハリガネムシ、イズ、オーモスト、イール……!というとイールがハリガネムシみたいに動物の体内に侵入しコントロールを奪うことは十二分可能!そして同年、佐賀にゾンビアウトブレイクが勃発した。テレビやSNSで事件の成り行きを見守る中、俺は常にゾンビは実際イールに寄生されて操られているのではないかと思っていました。
 私はその真相を突き止めるべく、今は佐賀に来ているが、ただいま私が恐れていたことが起きた。飲み屋で、現地の友人であるT氏は態度が豹変し、口からイールを吐き出して私を襲った。
 私は取り乱して、店を出ようとしたが、他の客が立ち上がって私を邪魔して、シャッターが降りた。客とシャッターのリモコンを持った店主はT氏と同様、口や鼻からイールが出ていた。自分がハメられたと悟りました。口からイールぶら下りながらT氏はじみた声を発して私に迫った。私はゾンビ対策として持っていた斧を抜いた。6対1という圧倒的不利な状況だが、普段イメージトレーニングを怠らなかったおかげで全員の頭を割って気管を潰して脊髄を破壊して完全停止さしめました。イールの方もきちんと息の根を止めました。そして読者の皆に真実を伝えるべく、その場でかなりグロかったので写真を貼ることができません。
 これから私の仮説ですが、2018年に佐賀で起きたゾンビアウトブレーク、あれはやはりイールの仕業でした。我々が海洋を探索するには船と潜水艦が必要のと同じ、イールが地上を侵略するには地上で使える乗り物が必要でいた。奴らが選んだのは地上で一番繁栄している動物、つまり人間です。人間をロボットみたいにコントロールする恐ろしい計画がはじまりました。しかし最初は寄生に成功したものの、宿主を制御ができず、ただ本能で動いているだけ獣、ゾンビになってしまった。
 出来損なったゾンビは捨てられ、アウトブレークになった。人間がゾンビ対策で精一派の時に、イールは水面下で計画を進めていた。そして成功してしまった。イールによる完全の人間支配形態、私はソンビィールと呼ぶことにしました。
 
ソンビィールは外見から人間と見分けがつかず、ある程度のコミュニケーションも取れると自分で体験済みです。今ではまた分別する方法がないけれどこれから頑張って研究していきたいと思います。発見があったらまたのフォローしとスキを押してください。サポートで聖戦を支援してくださればもっと有難いです。あなたの家族や隣人はすでにゾンビィールになっていたことを前提に警戒してください。もしこれを読んでいるゾンビィールが居れば覚悟しろ。一匹ずつ引きずり出して千切ったやる。
 では私はそろそろ聖戦に身を投じます。次回に会うまでお元気で。シーユーネクストクルセイド。
(一応研究材料としてゾンビィールの写真を撮りましたが、BANが怖いのでお見せできません。残念)

 誤字をチェックし、#聖戦、#イール真実、#佐賀、#ソンビ、#ソンビィ―ル、#旅行 などのタグを付けて、今度こそ編集部のおすすめになれるようと祈ってから投稿。。ふぅー、やるね俺。店にいたゾンビィール全部殺ってから10分ぐらいで書き上げた自分を褒めてやりたい。いや褒めよう。

 俺は足元に横たわっている死体を踏まないよう移動し、ビールサーバーで自分に一杯注いで立ったままで飲んだ。

「あぁうめーな」

 ビールが旨くて思わず声を出してしまった。恥ずかしい。店の中は自分しか生きてなくて幸いだった。ジョッキをカウンターに戻した俺は次にタイラダの死体の横にしゃがんで彼のポケットを探った。目当ての物はすぐ見つけた。

 跳躍するジャガーを描かれた丸みの四角形のリモコン、JAGUAR XJRのキーだ。俺はそれを自分のポケットに納める。タイラダさん、あなたはいつからゾンビィールになったか、完全に停止してやった今じゃ知るすべがない。SNSとnoteでのやりとりもイールの演技かれしれないけど、楽しかったのは事実です。こんなことになってしまうなんて残念だけど、イールは殲滅しなければならない。せめてあなたの魂がモーガン・フリーマン似の神さまのところに還るように祈っておきます。ありがとう。車はもらっとくね。

 さて、交通手段ケットしたし、酒飲んで一息ついたし、そろそろ行こうか。キッチンから良さそうな包丁を何本をベルトに差し、タイラダの頭から斧を抜いて、シャッターのリモコンを押す。ガララララ……モーター音と共にシャッターが上がっていく。ここを出れば新世界だ、この佐賀、いやこの国はもはや安全ではない。あんなに高度な偽装だ、ゾンビィールはどこまで人間社会に浸透したか考えるだけで気が遠くなる。とりあえず目前はJAGUAR XJRのところまで行こう。車に乗ったら移動が速いしライフルも積んであるので取れる戦術が一気に広がるドラ鳥に行って腹ごしらえして、それから鹿児島へ向かおう。鹿児島はイールの生産量が日本一だからもしかして県民がもうゾンビィールになっているとか?うーむ、十二分可能だ。

 地上への階段に上がり切ったところ、出迎えがすでに俺を待ち受けていた。メガネをかけた女子高生、赤い刺繡シャツのホスト風の男、自転車を留めている警官。三人とも魚のような無表情で、剣吞な雰囲気を漂っている。早いなおい。俺はとほほと笑って、ベルトから包丁を抜いた。

「イールどもはテレパシーでも使えるか?えぇ?」俺は右手を前に押し出し、左手は腰に当てた。ナイフファイトの基本姿勢だ。「さぁ、どいつから刻まれたい?」

「「「YRRRRRRR!!!」」」

 三者が同時奇声をあげてに白目を剝いた。女子高生は鼻孔からニシキアナゴとチンアナゴ、ホスト風男は口からハモ、警官は顎が外れそうになるまで口を開き、立派なサイズのアデウツボを吐き出した!

 ギャラルホルンの音が地平まで響いて、最終戦争……アポカリイールスの始まりを告げた。俺はやるよ、俺のSAGAだ。

(I became SAGA in 佐賀 終わり)

この作品はフィクションです。作中に登場する人物と地名は現実と一切関係ありません。




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