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【剣闘小説】MOON REFLECTOR

CONSTELLATION APPEAL
【PREMIUM ANGELY ARROW】

「シーッ!」「グワーッ!」

 ピンクと蒼の螺旋軌跡を描きながら飛んできた短槍ほどの大きさがある矢をもろに受け、勢いよく吹っ飛ばされたドゥームじゃアリーナの壁に衝突!CRAAASH!土煙が舞い上がる。

「スゥー……」

 ツゥイは自分の勝利を確信した。「天使の蜜菓子」工房謹製、星々の力を込めたというこのマーメイドピスケスアーマー、レジェンデリーチャンピオン・ストラウベリーも愛用した装備だけあって素晴らしい着心地であった。力が湧いてくる。このアーマーを手に入れてから彼女は連戦連勝、相手も猛獣も大弓をもって仕留めてきた。ツゥイは遂に、自分をかつてのストラウベリーの姿と重ねた。この力があれば、自分もいずれ、ストラウベリーみたいに偉大なチャンピオンになれると。しかしまさか今日はストラウベリーが使った技でその弟子を葬るになるとは、これもまた運命のいたずらといえるだろう……いや待て。

「すげえなおい……本気(マジ)で跳ねやがった。リフレクトって名前ばかりじゃねえな」

 土煙の中から、満月の光を彷彿させる真鍮色のアーマー、ブランプリューム一式を纏ったドゥームは感服した顔で姿を現した。

「バカな」

 ツゥイは訝しんだ。プレミアムエンジェリーアローの直撃を受けたのに、負傷ところかほぼ無傷だと?あの忌々しいゴート人の姉妹、ハーク・イェー・リリエとカーク・イェー・リリエ、突如にローマ剣闘界に現れ、波瀾を起こした二人組がこしらえた武具。星々の力を込めたマーメイドピスケスよりも上だというのか?

「あっ、いいこと思いついた。なあお前、この鎧がどれぐらい堅いか、検証を協力してくれない?」
「なっ」

 ツゥイは耳を疑った。この女はなんと言った?鎧の検証?剣闘中だぞ?

「さっきのすごい矢をもう一発撃ってくれよ。性能の見極めたいんだ」
「貴様……装備の性能もわからずにそれを着てアリーナに出たか?」
「そうだよ。さっき工房合作売店で揃えたけど、ストラウベリーは『ぶつけ本番より己を磨けるものはない』と言ってあたしを押し込んだよなぁ。ひどいもんだぜ」

(こいつ……!ストラウベリーの弟子になる、それがローマにおいてどれほどの武人が夢見たことか、なのにこの女、減らず口を!)

 嫉妬、憤怒、羨望の感情は同時にツゥイの心に行き来した。

「……いいだろう。望み通り、矢を撃ってやる。今度こそ確実に仕留めるからね。恨むなよ」
「おう、よろしく頼むわ。皆の者!ただの殺し合いもちったぁ退屈だからさ!あたしがこのアーマーを着てプレミアムエンジェリーアローを何発耐えるか、試してみんべ!」

「「「ワオオオオーッ!」」」

 観客たちが盛大に歓声をあげた!こういう突発イベントもあるから剣闘観戦がやめられない!

「よっしゃー!じゃあ一丁行ってみっか!ホッ、ホゥ!」ドゥームは自分の両頬を叩いて気合を入れた。「よろしく頼むぜ!」

 身体を大の字に広げる。防御の意思がないと意思表明!

「後悔すんなよお前」

 ツゥイは二発目の矢を弓につがえた。狙いは大きく晒している胸……ではなく頭部!

(アホくせぇ。誰があんたの余興に付き合うものか。今度こそ、その柔らかい頭を吹っ飛ばしてやる!)

 然り。いかにブランプリューム一式の攻撃分散機能が優秀であろうと、バリスタに匹敵するエンジェリーアローでヘッドショットが決まれば必ず頭蓋陥没あるいは脊髄骨折。狙わない道理がない。ツゥイの脳裏に、無残に脳漿をまき散らすドゥームが浮かんだ。

「シーッ!」息を吐き、放つ。

CONSTELLATION APPEAL
【PREMIUM ANGELY ARROW】

 ピンクとブルーの螺旋軌跡を描きながら、矢が正確にドゥームの頭に向かって飛んで行く!そこでドゥーム咄嗟に身をエビ反りにして胸を挺し、胸当で矢を迎えた!「グワーッ!」勢いよくふっ飛ばされる!土煙が舞う。

「だめじゃないかあたしが死んだら検証にならないだろが」

 胸当てをさすりながらドゥームが土煙から現れた。

「シーッ!」「グワーッ!?」

 そこへツゥイが放った第三の矢!ドゥームが勢いよくふっ飛ばされた!土煙!

「ケッホ、ゲホ。流石に効いたぜ……グワーッ!?」

CONSTELLATION APPEAL
【PREMIUM ANGELY ARROW】

 間髪入れずに放たれたエンジェリーアローを受けてふっ飛ばされるドゥーム!土煙!

「ハッハ!耐えたグワーッ!?」

CONSTELLATION APPEAL
【PREMIUM ANGELY ARROW】

「さっきのは痛かったぜグワーッ!」

CONSTELLATION APPEAL
【PREMIUM ANGELY ARROW】

「ハァ……ハァ……」息切れしながら矢筒に手を伸ばすが、残弾は既にゼロ。もはやエンジェリーアローを撃てない。

「いやーすごいすごい。マジで矢を弾いてくれてやがった。どんな原理なんだ?すごすぎるぜ。あんたも一度体験してみなよ」

土煙の中から悠々と現れたドゥームに、ツゥイはすでに驚かなくなった。しかし疑問がある。

「お前……なんなんだ?五発のエンジェリーアローを受けて、なぜまた死なない?アーマーがいかに優秀でも中身は肉だろ?」

 「さあ、なぜだろうな。こう見えてもかなり痛かったぜ。胸あたりが呼吸するだけでンッフ……裂けそうだ。あとで脱いだ時はすごいことになりそう。プッ」

 ドゥームは血液が混じった唾を吐き捨てた。

「そっちはもう矢がないな?あたしもそろそろ限界だからよ。じゃあ殴り合いに行こうぜ」
「……ふん」

 ツゥイは弓を放って、拳の関節をボキボキと鳴らした。

「後悔すんなよお前、私は殴るのが大得意なんだ」
「おう、拳聖ってもんを教えてやるよ」

 二人の剣闘士は拳を握り、互いに向かって大股で歩き出した。

剣闘格言:
同じくプレミアムドレスでも、新しく出た奴が新作ボーナスがかかっていて強い。



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