ずっとキルグレイブのこと考えてる
最近、マーベルのドラマ見るためNetflixに入会し、それから毎日退屈せずに過ごせている。そして中でも最も見ごたえのあるMARVEL ジェシカ・ジョンスの2ndシーズンが放送されると知り、頭に浮かんでくるのはあのいつも酒を飲んでいる暴力女探偵ではなく、パープル色のスーツを纏い、イギリス風の英語でしゃべるクズ男だ。彼のことを考えれば考えるほどじっとしていられなくなり、気持ちを書いてみることにした。俺は外人で日本語がおかしいとこもあるし、日本語字幕で見ていなかったため引用した認識がずれているかもしれないが大目で見てくれ。
「ファッ!?スーパーヒーロードラマだって?そんなもん子供ぐらいしか見てないっしょwww」
そんなことがあるものか。Netflixは課金システムだ。その金を払うためのクレジットカートを持っているのは大人だ。本作は大人向けに作られて視聴推奨年齢は16歳。セックスシーンもあるしゴアもたくさん出てる。そろそろスーパーヒーロードラマと言えばださいタイツを着たバットマンとロビンが敵を殴る度に”POW!”、”CRASH!”などコミック風の効果音のカットが出てくるという古い印象を捨てるべきだ。あの時代は過ぎさった。
こんな風のヤツだ
キルグレイブ、あるいはパープルマンとはMARVEL社の歴史あるヴィランの一人だ。俺はドラマで初めてこいつを知ったのでそれ以前のことが分からない、気になる方はこちらをチェックしよう。能力は言葉による洗脳。その力は非常に強力、一言だけで常識、倫理、生物本能すらも置き去り、彼だけに充実な奴隷になり下がってしまう(そして洗脳の効果が過ぎ去ると深い後悔と屈辱が当人を襲う)。たとえば彼が「自分のクソを食らえ」と命令したら、俺は場所問わず、迷いもなくズボンをおろし、自分の肛門からクソを縊り出しそれを貪りはじめる。奴は子供に親を殺させたり、良い父であった男が家族を捨て献身的に自分を仕えさせたり、恋敵とみなした男に自分の喉を切り裂かせたりするなど非道を繰り返し、俺のヘイトを稼いだ。奴は時々非常に子供じみた一面を見せる、甘えん坊で、すべてが意のままの人生を歩んできた恐ろしい子供だけれど。初登場「これから永遠にお前らの客人になる、丁寧にもてなせ」と人んちに堂々と入り、その両親が困惑している子供を置き去りにして彼を家族以上に丁重に扱った。このシーンを見た俺はこいつヤバいなと思い、さらにヘイトが稼げた。
実際チートめいているが、彼は無敵なわけではない。キルグレイブが能力を行使するには対象に肉声を届ける必要がある(電話やマイクはダメてことだ)。それに彼の身体能力は常人と大して変わらない。怪力が無ければ防弾体質でもない。ジェシカのパンチや一発の銃弾で彼を余裕に殺せる。だったらさっさと殺せ!と思った視聴者も大勢いるだろう。だがジェシカはとある理由で生かしたままの彼が必要で、キルグレイブ自身も「殺してみろ、半分のニューヨーク市民が追い自殺の責任を負えるのなら!」と脅してくる。キルグレイブは以前ある目的で超人であるジェシカを操り、恋人関係になっていた(解放されたあとジェシカは自分がレイプされたと認識している)。共に過ごしている時間が長くなると、キルグレイブがジェシカに対し愛情を覚えた。一度死亡したと思われていたが、やはり一命取り留めた。もう一度ジェシカを自分のものにしようと動き出す。
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人間か、奴隷か
命令を強制的に従わせる能力。これまで大勢な作品にも出された。俺は記憶を辿り、数年前飛行機事故で大西洋の海底にあるオーバーテクノロジー都市”ラプチャー”に潜り込んだことを思い出す。ADAMというウミウシから精製された物質で凶暴化した住人が俺を襲い、俺はレンチで対抗しながらラプチャーの最高責任者であるアンドリュー・ライアンの元に辿り、驚く真実を知った。俺はライアンの息子で、しかも脳が弄られていた。”Would you kindly”、この言葉が俺にかけた呪いであり、俺を操り人形にする呪文だ。Would you kindly sit, .would you kindly stand up, would you kindly KILL!俺は言われた通りライアンを殴り殺した。ラプチャーの自壊プロセスが止められた、俺たちの勝利だ......でも敗北感が拭えない、「人間と奴隷の違いが判るか?人間は選択できる、奴隷は従うのみだ!」ライアンの言ったことが引っかかる。俺はここまでなんも疑問もなく、たくさんやってきた。それが正しいと思っている。でも実際それは俺の意志ではなかった。あいつは俺の仕組みをわかっていて、誘導してきたんだ。俺はずっと利用されていた。俺は奴隷だ、道具にすぎん、人間ですらない......
ジャックの世界が崩れた。
モニターの前に俺はショックを覚えた。バイオショックはゲームである以上、プレイヤーは指示に従い、アイテム集め、最後はラスボスを倒さねばならない。でもライアンの言葉はそれを否定するようなものだった。人間とは……自由とは……モニターの光に照らされながら俺は考えた。
嫌な記憶がよみがえる。ろくに指導してくれなかったのに少しのミスでと怒鳴りつけてくる先輩、ギャング気取りの得意先、セクハラ上司、社会人になったばかり生活は屈辱ばかりだった。他人の機嫌を損なうことを恐れ、イェスマンになった。夜遅くまで営業したり、休みの日でも得意先から電話が来たら駆けつけたりしていた。こんなに自己犠牲して努力しているからきっと報われると思っていたが、そんなことはなかった。俺は完全に腰抜けていた。腰抜けに気を遣うヤツがいない。
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選択が迫る
時間が経過し、いつの間に俺が会社で先輩呼ばわりされた。俺は一年間かけて筋トレとジョキングに励み、ニンジャスレイヤーを読んで精神を調整した。もはやイェスマンではない。思い返しても見ればあの時の俺に選択があるはずだった。恐れとネガティブ情緒に支配され、それを見ようとしなかった。
洗脳から解放されたジェシカは重篤なPTSDに陥った。キルグレイヴの復活が半信半疑から確信になった途端、彼女は現在の生活を捨てて遠くへ逃げようとした。「あいつに敵う方法がない、私がいると奴は周りの人に不幸が訪れる、だから逃げないと」彼女もまた恐怖のあまりに逃走の選択しか見えなくなった。精神の支配、不可抗の命令、それほどキルグレイヴが恐ろしい。
だが意外なことが起きた、逃げることをやめ、ジェシカは打って出た途端、キルグレイヴは自分を避けることを選んだ。ジェシカに洗脳が効かなくなったという可能性を薄々気づいたからだ。確信は持っいないが、もしそれが事実なら、立場が覆される。超人であるジェシカに容赦なく自分をぶちのめされる。彼はジェシカの実家を合法的手段を買い取り、彼女を誘い、一線超えない条件のもとで、互いを探り合う同居生活を始めた。
クズに相応しい最期
キルグレイヴはジェシカを深く愛しているが、彼女はやつを憎んでいる。彼女が誘いに乗った目的はあくまでキルグレイヴを拘束る上でその能力を世に公表し親を殺した女子大生の弁護材料にすることだ。こんな仮面カップルの生活が長く続くことなく、ジェシカの機転によってキルグレイブを監禁することが成功した。そこでやつの過去、実験の記録、能力は発生の経緯が明らかになったが、同情などの感情が一切湧かなかったばかりか、彼を拷問するジェシカに「いいぞ!もっとやれ!」とモニターの前で応援していた。
逃走に成功するものの、洗脳がジェシカに効かなくなったと知ったキルグレイブはやぶれかぶれになり、能力の強化を図り最後の賭けに出た。だがジェシカの抵抗力がすでそれを凌駕したーー二人は最後まで探り合い、騙し合った。だが今回ジェシカが勝利した。ジェシカはキルグレイブの首をへし折って殺した。長い悪夢が終わり、ニューヨークに平和が訪れ…...なかった。エーリアス探偵事務所に戻ったジェシカに依頼の電話が流れ込む。ニューヨークというごみ溜めはあまりにも大きい、探偵もまた中に足を突っ込んでいる一人の人間である。
未来へ
この文章を書いている時点で、MARVELジェシカ・ジョンスの第2シーズンが放送された。CMを見る限りジェシカのルーツが明らかになるらしい。正直キルグレイブのキャラが濃すぎて、第2シーズンのヴィランがその陰に隠されてしまわないかとても心配だ。こんな清々しい悪い奴は最近のヒーロー物で久しぶり見た気がする。キルグレイブが死んだ時、痛快と一抹の切なさすら覚えたよ、本当にいいキャラだった。演じるデイヴィッド・テナントさんもイケメン。俺はNetflixのマーベル作品いちおう見たが一番気に入ったキャラはこいつで、その次はキングピンさんだ。
長くなったな、そろそろ長文を垂れることをやめてジェシカの続きを見届けることに使用。ああ、そういえばまた一つ伝えたいことがある。
『これからたまにキルグレイブのこと思い出してくれ』
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