『夜天を引き裂く』を読んだ俺が無価値のクズだった自分と別れられた
だからあなたにも読んで、脱クズして欲しい。いやはや、衝撃的な作品だった。あれからまた色々のすごい作品と出逢ったが、これを読んだ当初の感覚、怒り、興奮、驚嘆、未だに脳のどこかに残っている。
何を語ろうとネタバレが避けられないので、どうせいなら序盤のストーリーを軽く紹介していこう。
久我絶無は人間だった
スーパー高校生、久我絶無。授業は彼にとって児戯に過ぎず、教師と生徒を使えるクズと使えないクズとして見ている。華道部を征服し、部員たちをゲイシャ・スパイの如く扱い、全校を陰から支配している裏番長的存在。今日はトイレのついでにいじめ現場に出遭った久我はBULLY女をボコって、リンチして自尊心を完全に破壊してやった。いじめを遭った陰キャラの女子を使えないクズと鼻で嗤い、一蹴する。
無価値のクズだった俺はここで「はーん?流行りの俺TUEEEE系の主人公かよ?いやらしい奴め。早くひどい目に遭わないか」と思った。思えば俺はおれTUEEEE系の小説にあまり詳しくなくてだたお気持ちに流されてそう考えてた。クズ性の現れよ。
家に帰って、味噌スープを作る久我。自分の料理を大いに賞賛。無価値のクズだった俺はブチキレそうになって、ヘイトが高まった。このナルシストを見続けろと?作者は本気でこの調子でやっていくつもりか?
クズらしい醜く、浅ましい感情だった。しかし作者がそれを察知したかのように、次の展開へ進んだ。
久我が、人ならざる怪物による殺人現場に出遭った。超人的精神力を持て久我は動じず、果敢に怪物に挑み、善戦するが、正体も生態も不明な怪物に歯が立てず、重傷を負う。
「やった!ひどい目に遭ったぞ!すっきり!」「だろォ~?」作者のバール氏が俺の肩に腕を回してほっこりする顔まで幻視した。この作者、ヘイトのコントロールが上手いッ!
スーパーヒーロー的なナニかが来て怪物を葬った。ヒーローの慈悲を拒絶した久我、苦しみながら死に向かいつつある。その時、昼間にBULLY女から助けた陰キャラ女子、黒澱瑠音が現れた。
久我の苦痛が消えていく。
主人公は読者の敵
というのは夜天を引き裂くの序盤の概要だ。個人の感情が入った偏った紹介でわけがわからない?ならば是非きみの目で確かめような。
で、この作品の魅力と言えば、主人公である久我絶無を語らねばならない。
はっきり言って、いやらしい奴だ。父親の才能を受け継いた生来の天才である彼は、周りの凡人がアホとしか見えなかった。空気を読んで周りを合わせようとした過去は自分にとって屈辱だったとの発言、読者に対する挑発であると読み取った。
読者の共感を得るという小説のセオリーを逆らって、一介凡人でしかない(もし読者の方に大司教、大統領、ガキ大将、ヤクザの組長の方が居ればここで謝っておく、すんませんした)、地道に働いて、銭を稼いで、家族を養って、僅かな時間を絞って創作に勤しむ読者を徹底的に否定し、価値のないクズだと罵って、高圧かつ敵対のスタンスでマウントを取ってくる。が、なぜか久我のことが嫌いになりきれない。口こそ悪いが言ってることはある程度真実だし、やってることは100%善行だからだ。そうだよな。生活だけで精一杯の凡人のクズじゃ、偉業を成し遂げるはずねえもんな……
小説家は思ってもいないことを文章にできるはずがないとずっと思ったので、久我の言動は実際バール氏の思考を反応していると思わずにいられない。彼の真意は本人のみぞ知る。あらゆる事態に備えて物資を集めて、身体を鍛えよう。
価値を勝ち取れ
ここまで読んだあなたはこう思った。やべえ、このままでは俺まで無価値のクズになっちゃう!どどどどうしよう!?ご心配なく、あなたが脱クズのための道を用意してある。
noteで夜天を引き裂くを読むなら、手っ取り早くこれをクリックするんだ。
13話以降が有料になっているが心配なく、缶コーヒー五本の価額であなたが無価値のクズでははいことを証明できる。これ以上得するビジネスはないと思うぞ?
そしてAmazonユーザーであるきみに朗報だ。なんと夜天を引き裂くは電子書籍が出ている。
バール氏による個人出版だ。これほど優れた作品を商業デビューしないとは、日本の出版業は無能としか思えん。表紙とイラストはクトゥルフTRPGのイラストを描いた脳痛男氏が担当。商業画家とも付き合いがあるバール氏、もしかして相当えらい?俺は生理的な問題でAmazonおよびそれに提携するすべてのサービスを利用できないため購入を断念せざるを得なかったけど、Amazonのユーザーならまずこれを購入して間違いなしだ。なんだってエロいイラストが見れると聞くぞ。
以上、語りたいことは語ったし、きみがこれから歩むべき道を示してあげた。無価値のクズのままでいるか、それ以上のなんかになるかはきみ次第。俺はこれから久我を見習って、読者をDisって、敵に回して、武力をもって黙らせたいのだ。腕力なら自信がある。
「こいつイテッてんな?ぶちのめしてやりたい」と思っているきみ、全くそれが正しい。畢竟、平和の暮らしってのは、おまえの人生のおいて何のメリットも生じないからだ。
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