【剣闘日記】KARMA、それは因果
前回からまる一週間剣闘しなかった。そろそろ剣闘禁断症状が限界なので今日はバイクで出掛けて、女トロール亭付近に駐車してから電車に乗り換えて通勤した。帰る際にたっぷり剣闘するためだ。
夜、おれは再び女トロール亭に入った。女トロールは不在、かわりに彼女の弟(人間)が店番している。年齢は小五から中一ぐらい、ちょっと生意気な所があるけど話しかけたら返事してくれるいい子だ(女トロールはだんまりか、たまに睨んでくる。こわい。やっぱ人間ではない)。彼と視線でアイサツし、おれはアイカツフレンズ台の前に座った。コイン三枚、出たのはCUTE属性の新規Nカードだ、OK。一曲目が終わったところで迷わず連コイン。今回もNカードで、しかしすでに持っている。湊ォめ……!
二曲目を叩いているところ。二人の少女と彼女らの父親が入店した。姉の方(身長が若干高いので姉と判断する)となりの台に座ったが、妹の方がプレイ中のおれの後ろに待機している。ぬぅ、やりつらいな。見事にタイムボーナス二回失敗した。
「どーぞ」
プレイし終わったおれはローマの掟に従い、席を譲った。「どうも」父親の方から礼を言った。おれはちょっと離れたところでnoteを見ながら二人の剣闘を見守った。姉妹剣闘士か……いいものだ。
「あっ、お父さん、いいカード出たよ!」
なんだと!?おれはスマホに集中しているふりしながら横目で様子絵を伺った三人の伝説剣闘士が印刷されている、ソレイユの復刻ドレスだ!うぅ、もしあの時席を譲らなかったら……ッ!いや、そんな考えはよくない、大人の余裕を見せるんだ。それにしてもこの請負人・Gっていうのが面白いな。
「お父さん、またいいカード出たよ!」
なんだと!?
何回も連コインした姉妹剣闘士。姉の方がトイレに行った。ようやく俺の番が回ってきた(大人の余裕を見せるためあえて連コインさせてやったのさ)。コインを入れる。妹の方がMOVE ON NOWをプレイしている。ふっ、いいセンスだ。さてどんなカードが出るか……ふむ。
COOL属性のNカードだった。
まあ、こいいう日もあるのさ、むしろこれが普通だよ。レアカードがバンバン出るわけがない。いいカードを夢と希望のある子供に譲るのもまた大人の務め……つと……
アア……
AAARRRRRRRRRRRRGH!!!!!
ーローマー
「なめんじゃねえぞこのクソガキィー!!」
「ひぃぇぇ!?」
鉄格子越しに、ドゥームは工房合作購買部の少年の襟を掴んで持ち上げる!
「わざとあたしいいアーマーが出れないようあのムーシャイン像に細工してるな!実はあの像の動き制御できてんだろ!?」
「そ、そんなことありません!こちらの商品は全部ランダムで出しています!すべてはフォルトゥーナ神の意のままに……」
「じゃあ何で前の奴はいい物を連続二回当たったんだ!?あたしは貧乏神が憑いているといいてえのかー!!」
「ぎひぇぇぇ!?」
「やめろドゥーム!気が狂ったか!」
止めに入ったストラウベリーはドゥームの腕を掴み万力を加え、離させた。
「ストラウベリー……聞いてるぜ。あんた、崖を登っただけでエンジュリーシュガーからプレミアムアーマー一式を無償提供されたって?」ドゥームが歪んだ笑顔を作った。「いいよね、流石に選ばれた者が違うなぁ」
「……聞き捨てならんな。私は楽していただと?お前こそ何もわかっていない」
顔を顰めたストラウベリー、張り詰めた空気!そこへ闘技場衛兵が駆け付けた。
「どうしましたストラウベー殿!剣闘士の反逆行為ですか!?ならば我々に……」
「いや、手出し無用。これは家庭内の喧嘩。それにお前たちじゃあ相手ではない」
ストラウベリーは槍を構える衛兵を制し、一方踏み出した。
「かかってくるがいい、私が楽していたか、すぐわからせてやる」
「けっ、一度あたしに負けたのにでけえ口叩きやがってよ……いくぜオラァ!」
ドゥームがストラウベリーに飛びかかった!
「グワーッ!」しかし次の瞬間、ドゥームはストラウベリーのてこの原理を利用した、現代において一本背負い投げに近い技で字面にぶつけた。衝撃が五臓六腑に響き渡る!
「参ったか?」ストラウベリーは衛兵に借りた槍でドゥームはの胸部に当て、殺意を籠った表情で問った。ドゥームは唾を飲んだ。
「はい、参りました。すみません」「宜しい」
ストラウベリーは槍を下げ、笑顔で周囲を見渡した。
「うちの奴隷が皆に迷惑をおかけしました。申し訳ない。必ずきつい懲罰を受けさせるのでどうかおゆるしを!」
ドゥームはこのあとどんな目に遭ったかご想像に任せます。
ーカードダス時空ー
「ARRRRRRRRRRRRGH!!!このクソ台ガァァアアアーー!!!!」
アイカツフレンズ筐体にDOOMは激しいパンチを繰り出し連続台パン!
「やめろ!気が狂ったか!」
そこへ湊みおが滑らかに背後に潜り、片羽締めを仕掛けた!気管が圧迫されて苦しむDOOM!
「離せ湊ォ!全部おまえのせいだ!おまえの存在があたし人生を狂わせた!」
「そんなことした覚えはない」
淡々と圧力を増していく湊ォ、恐ろしい女!
「ぐぅ……ごぇ……お、どれぇ……みな……とぉ」
徐々にDOOMが抵抗しなくなり、そのままぐったりと昏倒した。
ー現実ー
望んでいた結果を得られぬままおれは店から出て、バイクに跨り帰路に着いた。あしたまた頑張ろ。
湊ォ……やはり私は貴女が……
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