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【剣闘日記】剣闘&Pre-cure&others書籍

「WARRRRRR!!!」

 カードダス時空深層、地下訓練場。怒れた少女のシャウトが廊下をコダマする。

 ここはローマ次元との境界があいまいのため、平和的なアイドルがウカツに踏み入れると野蛮かつ暴力的な瘴気で僅か10分ほどで行動不能陥るので滅多には意図が来ず、己の中にある剣闘性に向きあえた者だけがここを自由に出入りできる。

「おのれ湊ォォォォー!」

 赤いショートボブの少女、DOOMがグラディウス木剣でシアン地にバイオレットのメッシュを入れたカツラを被せたダミー人形に斬りつけている!

「お前のせいだッッッ!」

 左から右への大振り回転ぎり!

「あたしの人生をッッ!」

 回転の勢いで繰り出す左手裏拳!

「狂わせたッッッ!」

 右袈裟!

「何もかもッッ!」

 左袈裟!

「ARRRRRRRGH!!!」

 旋風脚!ダミー人形の頸部が受けたダメージが臨界を超え、首がぶっ飛んで、5メートル先に落ちて字面に転がった。

「はぁ……!はぁ……!はぁ……!」

 スポーツブラとボクサーパンツしか身に着けず、DOOMは肩が上下して荒く呼吸する。アドレナリンの分泌によって全身の筋肉が強張り、血管が浮かび上がり、その風貌まさに剣闘士そのモノであった。

「ヘイヘイヘイ、カームダーウン、ガール」バイオレットのロングヘアをポニーテールに束ねたスポーツウェア姿のマッチョウーマン、トレーナーのあやが宥めを入れる。「プッシュし過ぎるのはよくない……」

「WRAAAAAAAAATH!」

「ムゥ!?」

 アドレナリン・レイジの最中にいるDOOMはあやに目掛けて跳躍し、グラディウスを振り下ろす!

「ヌゥーッ!」

 あやはガード体勢を取らず、身体を横向きにして右肩を押しだし、踏み込む!

「グォ!?」

 DOOMのクラディウス木剣は空を切り、がら空きになった胴体にあやが放った寸勁めいたショルダーチャージが刺さる!

「覇ァーッ!」

 接触した瞬間、シャウト共にあやは背中から左腕先の筋肉に力を入れ、強張らせる!発勁!

「グワーッ!?」

 もろにカウンターを食らったDOOMはワイヤーアクションみたいに後ろに吹っ飛んでゆく!ボヨーン、ヨガーボールが積もった一角に飛び込みさらにバウンド!「グワーッ!」痛そうに床にぶつかった。あやは歩み寄り、DOOMを見下ろした

「またやるかい?」「……いや、もういい。すまねえ」

 冷静になったDOOMは憔悴した表所で天井を見あげる。

「OK、もし悩みがあったら聞いてやろうか」

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「九月にシェイキングパーティースニーカーがダブって以来、PRガードが一枚も出ないのだ」
「……」
「外の奴はレッスンイベントでほかの連中が早くもカードを集めきったのを見て危機を意識し始め、剣闘する度にカード三枚購入するようにしていたが、PRガードは一向出ない」
「そうか」
「もうフレンズVol.2になってから入手したカードだけであんたの元マスターがくれた廃紙より多くなった」
「私の前に奴のこと話すなと言っただろ」
「どうだった、すまん。とにかく、外の奴はこれがゲームだと知りながらも、ハズレが続いたことで、暗黒剣闘パワーが深まる一方だ」
「そんで外の奴とあたしは考えた。アニメだと、そのブランドのデザイナーの直接会ってPRガードをねだるケースの多いじゃない?」
「うん」
「もしかしてパブリシャーを脅しを入れたら、PRガードをだたでくれるんじゃないかって」
「それやれば犯罪だぞ」
「ああ、知ってる。だから今日もおのれの無力を嘆きながら怒りを人形にぶつたってわけ」
「そうか。でもなんで湊みおのカツラを被せたんだ?彼女となんかあったんじゃないのか?」
「八つ当たりだ」
「ふむ」
「とにかく聞いてくれてありがとうよ、あや。こういう話を聞かせる奴あんたぐらいしかいないぜ。他の連中はほら、版権キャラだしPRガードばりばり持ってるからうっかり殺(ト)っちゃうかもしれねじゃん?」
「いや、お前に殺(ト)れれるほど彼女らは弱くない。そんなことよりこれだ」

 あやはスポーツバッグを探った。強引な話題転換だ。

「さっきコンビニでこれを見つけたんだ。お前にやろう」
「はぁ?Angel?あのしょぼいカード付の香港発ガールズ向け雑誌か?」

右にいるバイオリンを弾いている娘の表情の妖艶でたまらん

「それがね、今度カードはしょぼくないんだよ。見ろ」
「ワッザ!?」

「排出カードになっていないカレンのスタイルドレスじゃん!しかしシューズがないとは意地悪さを感じる!」
「それでもコーデのバリエーションが増えるだろ。次はこれだ」
「ワッザ!?」

「ワオ……キャラの再現度が高い。因みに外の奴はスターズについてオンパレートで初めて知ったがこの猫っぽい奴がかなり気に入ったらしい。いずれローマでひどい目に遭わせると言ったぞ」
「楽しみだ。最後はこれだ」

「し、しらねえ~観たかったけどキャラは誰ひとりしらねえ~」
「フォロワー、ブルーレイ貸してくれ」
「よく観たらこれ、今年四月の雑誌じゃん。何で今更コンビニに置いてあるんだ?」
「そっちの売れ残りが回りに回って海を渡ったんじゃないか?こうして我々は新しいカードゲットできるわけだ」
「おい待てよ。この雑誌は香港発ってことで……つまり付いたカードも香港発、ここで使えるのか?」
「……それは考えてなかった」
「まじかよ!?うっわ、使えないのなら今度こそ暗黒剣闘パワーが高まってKiller-刃-(キラーヤイバ)が顕現するのでは?」
「いや、いままでは散々金を溝に捨てるような真似をしてきたし、これぐらいかゆくもない……と信じたい」
「とりあえず明日試してみるわ」

(つづく)


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