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40mmグレネードマシンガンの衝撃波を顔で受けた話

兵役が残り半分、俺も晴れて一等兵に昇進し先輩面できるようになった頃に、所属している装甲歩兵連隊は一年一度の大イベント、「三軍連合作戦演習」に参加すべく、島の南端へ赴いた。

二週間目の訓練は装甲車編隊の射撃だった。指示が来ると俺が車をだし、安全かつ適切のスピートで射撃陣地に辿り、運転席を引っ込めて、それからは後ろにいるガンナーがマシンガンを撃つ。射撃終了後、また車をだし、待機地点に戻る。大体こんな感じだ。

すこし装甲兵員運輸車の乗組員について説明する。
まずは運転手、つまり俺だ。俺がいないと車は動けない。つまり一番偉い。
そしてガンナー、彼は歩兵学校で下士(士官の最下級位階、軍曹に相当する)を取得しているので、月給は俺より少し高い。そうでないとマシンガンを撃てないらしい。気に入らないな。青びょうたんでいつも俺が代わりにマシンガンを取り付けてるのによ。
最後は車長だ。士官なら誰でも務める。一応こいつの言うことを聞かないといけないことになってる。

俺が担当するのは排部(小隊の指揮者みたいなユニット)の車なので40mmグレネードマシンガンを装備している。40mmグレネードマシンガン知ってる?名前の通り、高殺傷能力のグレネードを一分間300発以上を吐き出す、神をも殺せる武器だ。大学の時COD:MWプレイしてその存在を知る以来ずっと触ってみたかった。今や軍人になり、毎日こいつを持ち運こんでいたが、撃つことができない。免許がないからだ。

ちなみにこのMk19パク……参考に作った銃は本体だけで30キロもある。先輩は一気に二丁も担いで力強さをアピールした。

上級武官が来て採点するテスト本番までは何回も射撃練習も行う。車を陣地に止まるとすぐ射撃を行うこともあったら、そのまま数十分も待機したこともある。暇なので俺は主に操縦席を引っ込めて小説を読んでいた。外はポンポンバンバンでうるさいしどうぜ使用する弾は爆発しない着弾時にピカっと光るだけのトレーニング弾なので見ても面白くない。

そんなある日、読書にも飽きてきた俺は魔が差し、「見ても面白くないけど退役後の自慢話のネタにでもしようか」と思った。「射撃用意!」と車長が叫んだ同時に、俺はチェアの下にあるレバーに手をかけて上昇させた。頭が少し操縦席の縁からちょこっと出るだけの高さ。銃口が頭上のすぐ後ろにある。そして。

PON!

俺は確かに見た。銃口付近の空気が爆ぜ、円形の波を放ったその一瞬、顔が固い泡にぶつかったような、殴られたような感覚がした。さらに何らかの破片(弾帯の残骸たとも思う)が顔に刺さった。

「ごわっ!?」

俺は反射的にレバーを引いてチェアを降ろした。顔がビリビリしてメガネがずれた。あと耳鳴りが少々。

「ほあぁ……」

バカなことやって後悔の喚き声をあげてしまったが、銃声にかき消されたのが幸いだった。

ビックリして脳に負担をかけたことを代償に、俺は一生忘れない経験を得た。

ソニックブームってやつだ。

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