SHO“T”GUN
将軍、それはこの日本において帝に次ぐ権力者であり、実質的支配者。そして日本一のショットガンの使い手でもある。
ショットガンは日本における戦士階級ーー侍だけが所有できる武器だ。ショットガンは殺傷能力が優れて、特に近、中距離の制圧力がずば抜けている。火薬の爆発エネルギーによって無数の金属玉が銃口から放たれ、拡散しながらあたり一面に散らばる。まともに受ければくず肉じみた死体と化す。即死を免れても出血でやはり死ぬ、掠っただけでも散弾による傷口に雑菌が入って複雑な感染が起こりやはり死ぬ。たとえ運に恵まれて傷が治っても不可逆な身体的障害が残り以降の人生に銃を握ることも身を守ることもままならずやはり死ぬ。
ショットガンの威力は絶大ゆえ、幼い頃より厳しい教育を受け、強い自制心と肉体を持つ侍しか扱いを許されない。ショットガンは侍の象徴であり、もののふ精神の表れだ。百姓が侍に対して侮辱な行為を犯した際、侍が己の名誉を回復のためにショットガンで撃ち殺す権利を行使する。それは「無礼撃ち」あるいは「仏撃御免(ぶっぱなってごめん)」と言う。
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侍は使うショットガンはオーソドックスな水平二連式と上下二連式が多い。より殺傷力を求める者や身分に箔をつけたい者が金を積んで職人にレバー式とポンプ式を依頼する。しかしどれほど名だたる銃砲職人が拵えたショットガンを、銃の腕が優れた侍が佩びようと、将軍の武勇には遥か及ばぬ。
乱世の最中、その男がSPASー12を携し、彗星の如く頭角を現した。従来のショットガンと比べて圧倒的な連射力を持つSPASー12と稲妻のごとく疾き男のリロード技は彼が至ところを文字通り血の海にしてきた。男を恐れた大名たちが手段を尽くしてSPASー12の性能を再現しようとしたが、どれも失敗に終わった。SPASー12の複雑な構造は当時の技術では作ることが不可能と言われた。まさか神君が持つにふさわしい武器だ。諸大名がSPASー12の前にひれ伏し、男が日本を統べる将軍となり、泰平の盛世を築いた。
AA-12が世に現れるまでは……
(続かない)
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