【剣闘日記】ローマ壊滅!剣闘士の勝利!
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(ドラゴンボールZで尺稼ぎするときのBGM)
ズン、ズン、ズンク、デデン
ズン、ズン、ズン、デデン
バーララ、バラバララ、バラーバララー
「よぉし、昼食を済んだしまた昼休が終わるまで一剣闘でもすっか!」
と独り言したアクズメは近くの量販スーパーに入って、デーダカードダス筐体のコーナーに向かった。そこで聞き覚えのある音楽が耳に入った。
『楽しんで!バトって!勝ち抜いて!笑って!心が弾む、溜まるエナジー!』
「むむ、これは!?」
間違いなくスーパードラゴンボールヒーローズのテーマソングだ。彼は普通の男子並みにドラゴンボールが好きで、プレイできずともYouTubeに通してそのデータカードダスの情報をチェックしてきた。
(ほう、遂にこの国もドラゴンボールヒーローズが導入されたか、データカードダス先進国になりつつあるな……ぬぅ?)
しかしコーナーに辿り着いた彼の目には、いつもと違う光景が映った。
「あっあっ、あっあっあっあっ……」
それがあまりにも衝撃的で、彼は「あっあっあっ」しか発せず、その場で立ち尽くした。
「あっ、あっあっ……こ、これはっ!?」
アイカツフレンズ筐体があった場所が、ドラゴンボールヒーローズに置き換えられた。
ダンダーーーン!!
タッタラー、タッタタラタラー、タァーン!
(タイトル画面のBGM)
ローマの壊滅!剣闘士の勝利!(野沢ボイス)
-データカードダス時空-
ババババーン、バッババッ
ババババーン、バッルルッ
ビ〜ビルビビ〜、ビルビ~
ババババーン、バッババッ
ババババーン、バッルルッ
(戦闘BGM)
「ダリャリャリャリャリャリャーッ!!」
「ウォリャリャリャリャリャリャーッ!!」
深層レッスン室でDOOMとあやが互いにパンチとキックを繰り出して激しく打ち合っていた。
「ダリャリャリャリャリャリャーッ!!」
「ウォリャリャリャリャリャリャーッ!!」
二人の勢いが増しに増して、残影が見える程のスピートで攻撃を繰り出している!一体何が起きたというのか!?アイドルとトレーナーの間に齟齬が生じて、喧嘩に発展したというのか?いや、よく見よう。二人は動きこそ激しいが、互いにヒットすることなく、ぎりぎりで互いの攻撃をいなし、回避している。さいきんは外の奴がまともに剣闘してないせいで二人が套路の練習をし始めて、今に至った。
そして二人の動きが急に止まった。
「ヌッ」「この気は!?」
パーン!ドアが勢いよく蹴り開けられ、アクズメさんが入室した
バーバーバーン!バーバーバーン!
バーババーン、ババンバーン
バババーン、バババーン
バーン(↓)、バーン(↓)、バーン(↓)、バーン(↓)
バーン(↑)、バーン(↑)、バーン(↑)、バーン(↑)
バッバーーン!
(強敵が現れた時のBGM)
二人を目視した途端、アクズメが絶叫しながら突進してきた。
「ARRRRRRGH!!!」「アァアアン!?」
迎え撃つDOOM!肘を曲がったままに、力を込める!上腕二頭筋が切れる!そのまま通りぬくさまにアクズメの顔面にアックスボンバーを叩きつけた!
「ARRRRGH!!?」
アクズメが空中一回転して、床にバウントして浮き上がった。そしてその直上にあやが瞬間移動じみた速さで現れ、両手ハンマーパンチの構えを取っていた!
「ダリァーッ!」
「グワーッ!」
強烈な一撃が炸裂!アクズメが地面に叩きつけられ、レッスンの床にクレーターが生じた。その真ん中にアクズメが俯きになって、沈黙した。
⚔
数分後。
「ひどい。想像主に対してこのような暴行。ひどすぎる」
「にあ、いきなり乙女の園に現れるあんたが悪いだぜ」
「俺だって、できる限り乙女の園を汚したくない!」アクズメは陥没した額を抑えながら抗議した。「でも緊急事態なんだ!」
「なんだ?言ってみろ」
アクズメはアイカツ筐体の撤去と入れ替わるようなDBHの設置を説明した。
「なるほど。とうりで最近は気が溢れて、無性にドラゴンボールがしたくなるわけだ」理性的なあやは合理な判断を下った。「それが最近の剣闘回数が下がった原因なのか?」
「下がったところか、ここ数週間あたし一回も出てねえぞ。剣闘センスが鈍っちまったらどうすんだ?おぉん?アクズメくんよぉ?」
凄むDOOMに対して、アクズメは目を逸らした。
「それは、あれから何軒のデータカードダス設置店も回ったけど、状況は思ったより深刻だ。カルフールではほとんど撤去済み」
「なんだって?」
カルフールとは、みなみの国で展開してるフランスの大手スーパーである。ほぼ全ての店舗にデーダカードダス筐体が設置されている。「カルフールがあれば剣闘あり」もはや過去形になった。
「撤去されなくても、電源を入れずに黒画面のまま放置してる場合も多い」
「……また筐体が生きている店、ないの?」
「女トロール亭、小学校前のカードが1シーズン遅い文房具屋、SEGA特約店ぐらいしか……」
「ふーむ」DOOMは左手で口を覆い、暫く思案して、アクズメに尋ねた。「じゃ、どうする?」
「ああ、色々考えたが」アクズメが床を見ながら言った。DOOMの目を直視できない。「区切りをつけよう。どこでも剣闘できるという便利性を失った以上、モチベーションがただ下がり。貴重な休日の時間を費やしてまで剣闘士に行く価値が、見合わないと思うわけ」
「まあ、あんたは休日になるとほぼ一日酒飲んで酔っているんでそろそろ外出もできないよな」
「こっちの勝手じゃい!あっ、でも剣闘小説が終わるわけではない。アニメは全部観てないし、またまたやることがたくさんあるから読者が心配しなくていい」
彼はカメラ目線にウインクした。DOOMが立ち上がる。
「おい解った。所詮私があんたが想像したフィクション上の存在だ、アンタがそう決まったら、従うぜ。あたしはこれから雌伏する。かの神崎美月みたいにな。あや、付き合ってくれるな?」
「ああ」あやが微笑んで応えた。「同じく現実に牙を抜かれた哀れな人間同士。忘れさられるまで付き合ってやるよ」
「ありがとう。じゃあ、マスター君」
「アッ、ハイ」
「話はついたぜ。ここで待っているよ」
「あぁ……」
「辛気くせえ顔すんなよ、たかがゲームだろ?」
DOOMは拳でアクズメの胸板を軽く突いたが、それでも剣闘士だけあって、アクズメは肺の中から空気が押し出されたと感じた。
「ぷふっ!わかったよ。では、またな」
「おうよ」
アクズメはDOOMと握手を交わし、あやと握手を交わしたあと、意識をデータカードダス時空から抽出した。再び現実に戻った彼の目の前に、電源が入っておらず、モニター画面が黒いアイカツフレンズ筐体があった。
「……ふぅ」
彼は己の心を強くして、場から離れた。
『楽しんで!バトって!勝ち抜いて!笑って!心が弾む、溜まるエナジー!』
隣のDBHから楽しげな歌が流れ続ける。
END
BUT
Gladiators will return
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