目を覚ませ僕らの大賞が何者かに狙われているぞ！

邪悪の人工知能、キロ・カーンは根暗少年マルコム・フリンクと手を組み、メタウイルズモンスターを創り出し、電子システムに攻撃を仕掛ける！
一方、ひょんな事故で少年サム・コリンズが電光超人グリッドマンに変身し、友人と共にスーパーヒューマンサムライスクワッドを結成しキロ・カーンに立ち向かう！
スーパーヒューマンサムライ！（いかしたギターソロ）
スーパーヒューマンサムライ！（格好いいギターソロ）
デアガンナエムピッアップ、キックサムギガバット
デアガンナリピッアップ、アワーヒーローオーウェイスメイクスザカット！
スーパーヒューマンサムライ！（激しいギターソロ）
スーパーヒューマンサムライ！（昂ぶるギターソロ）

「うわあああああああ！！！！」

暗い部屋の中、マルコムの絶叫が響き渡る！

「うわあああああああ！！！！」

ヒステリックに机に積もっていたエナジードリンクの空き缶の山をなぎ倒す！

「うわぁ、うわぁ、うほぁあああああ！！！！」
『やかましいぞ、卑しい肉袋め！』
「ぎゃああああああ！！！」

机に俯いて慟哭！その情けない行動を見かねたキロ・カーンが部屋ん中で一番大きいモニターに顕現し、マルコムに電撃を浴びせる！

「ひぃ……ひゅー……」

電撃を食らって、マルコムは落ち着きを取り戻す。しかし彼の目は怒りに燃えているままだ。

『一体どうした卑しい肉袋よ？いつも以上に取り乱しておったぞ？』
「くすん、聞いてくれよキロ・カーン様！逆噴射小説大賞2022の最終結果が発表されたけど、僕が投稿した最高傑作は優勝ところか2次審査すらとおらなかったんだ！どうしてだ！？チャンピオンの作品だって見たところ僕よりはるかに劣っているというのに！不正だ！DHTLSの連中に何らかのせこい取引したに間違いない！」
『そうか。ワシは人間の卑しい文学に一切の価値を見出さなぬが、賄賂的な行動はいかんのう』
「……このままでは終わらない、仕返ししてやるぞ！うおおおおおお！！」

マルコムは凄まじい勢いでキーポードを叩く！新しいメタウイルスモンスターの3Dモデルが形成していく！

「完成だ……名付けて、メヒコマシェット！」

モニターの中、青ハラペーニョから手足が生えたような怪獣モデルが描かれていた。

「こいつで逆噴射小説大賞でいきがった連中を抹殺してやるッ！メタウイルスをお願いします、キロ・カーン様！」
『しょうもないな……普段きさまの献身的態度に免じて許してやろう。メタウイルス注入！アイ・ギブ・ユー・ライブ！』

キロ・カーンの指先から射出した光線が怪獣モデルに当たる、すると、おお！メヒコマシェットに命が宿って鳴いたり動き出したりしたではないか！

『ペンデホォォーッ！』
「さぁ行けメヒコマシェット！チャンピオンとファイナルリストどもを皆殺しせよ！」
『ペンデホォォーッ！』

メヒコマシェットはフリンク宅のLANケーブル経由で全国に張り巡らされている電子ネットワークに放たれてしまった。

『ペンデホォォーッ！』

メヒコマシェットは両腕にマチェーテのような刃物を生成し、デジ・ワールド内のビルを切り倒す！

「ふっ、ふんっ！」

どこかの山、僧衣を纏った男は険しい崖をフリークライミングしていた。彼の名はきゅどうしゃ、今年の逆噴射小説大賞の優勝を勝ち取ったチャンピオンでもある。

「ふっ、ふっ、むんっ！？うわぁぁぁぁぁ……」

BUZZZZ！崖を登りきるまで一息のところで、ポケットにしまっていたスマホは圏外にもかかわらず急に震えだす！それにびっくりしてきゅどうしゃが手が滑ってしまい、万丈の深淵へと落ちてしまった。

「くぅーッ！効くわ～」

どこかの銭湯、ライオンヘッドの男が水風呂に浸っていた。彼は今年の逆噴射小説大賞のファイナルリストである。

「嗚呼……どぅるるるるるるるっ！？」

水風呂池が漏電し、10まんボルトの電流が流れる！ライオンヘッドの男がそのまま心停止してしまった。

『ワンツー2連続でいくぞ！ワン、ツー、ワン、ツー！』
「シュッ、シュッ、シュッ、シューッ！」

どこかの南国、ファイナルリストのアクズメさんがフィットボクシングに勤しんでいた。

『アッパーを足すぞ！そのまま自分の顔面を打ち抜け！』
「シューッ！あぶぁっ」

ZONEに入っていた彼は疑いもせずインストラクターの言葉を実行してしまった結果、アッパーで己の顔を殴ってしまった。顔面陥没死！

『ペンデホォォーッ！』

デジ・ワールドでメヒコマシェットは暴れ続ける。このままで逆噴射小説大賞2022参加者がどんどん被害に遭って人間の文化的資産が0.00001％損失してしまうッ！もはやキロ・カーンとマルコムの邪悪なる企みを止める者がいないのか！？

否、現にここで、異変に気付く少年がいた。

（続く）