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人材育成の定義を変える

人材育成とは、どのようなことをいうのでしょうか?

そんなことを分かっているだろうという言葉が聞こえてきそうですが、人材育成の定義が共有化されているでしょうか?

ネットで調べると下記のような答えが返ってきました。

「人材育成とは、企業が従業員に対して行う教育や訓練のことで、従業員が必要なスキルや知識を習得し、企業の経営目標の達成や業績向上に貢献できるようにするためのプロセスです。

具体的には、研修や実務経験を通じて、従業員の能力開発を促進し、企業が求める人材へと成長させることを指します。

人材育成には、教育だけでなく、実際の業務経験やメンタリング、ジョブローテーションなど、多様な方法が含まれます。また、個々の従業員のキャリアパスに合わせた育成計画を立てることも重要です。

人材育成の目的は、従業員が企業のビジョンやミッションに共感し、自らの成長を通じて企業の発展に貢献することにあります。

これにより、企業は生産性の向上、従業員のモチベーションの維持、そして優秀な人材の確保といった複数のメリットを享受することができます。」

確かに言っていることは正しいのかもしれませんが、今の時代、この人材育成の定義は当てはまるでしょうか?

個人に対することは、
「また、個々の従業員のキャリアパスに合わせた育成計画を立てることも重要です。」
とたった一文だけです。

この定義は、あくまでも会社が主語の人材育成です。

それを示すのが、下記の文章とも言えるでしょう。

「人材育成の目的は、従業員が企業のビジョンやミッションに共感し、自らの成長を通じて企業の発展に貢献することにあります。」

今の時代、従業員が会社のビジョンやミッションに共感して働いている人がどれほどいるのでしょうか?

多くの場合、なんとなく今の会社で働いている、
上手く就職できて、可もなく不可もなく働き続けている、
転職をしたいけど次の仕事が見つからない、
慣れ親しんだ仕事だから、給料に不満はあるけど、
気心の知れた仲間がいるから、といった理由ではないかと思います。

少なくとも物流現場で働く作業者は、この傾向が高いと考えます。

そう考えた場合、自分が成長して会社に貢献しようなんて、微塵も考えていません。

だから、人材育成に対して興味も関心もなければ、スキルアップ、昇進なんて考えていないのです。

とくに非正規労働者は、この傾向が顕著に出るでしょう。

正規労働者になりたい人は別ですが、非正規労働者でいたいと思っている人にとっては、人材育成は、なぜ受ける必要があるのかと疑問でしかありません。

これが、会社を主語にした人材育成の限界ではないかと考えます。

ただ、転職をしながら、スキル・収入アップをしている人は、別格です。
自分の将来のビジョン・使命といったことが明確で、しっかりとした目的意識を持って、判断・決断・行動しています。

自分で考え、学び、自己成長を行っています。ある友人は、外資系企業・日本企業を転職しながら、今は外資系企業のアジア統括代表になっています。

正直、このような友人が身近にいることで、自分の生き方・働き方を見直そうというきっかけにもなります。

話を戻しますが、会社のためと主語を外さないと、今の倉庫作業者は、人材育成を受け入れてくれないと考えます。

人材育成の多くは、スキル・知識アップによる会社の利益向上に貢献することが目的となっています。

では、作業者の目的は、想いは、どこにあるのでしょうか?

会社に貢献することが従業員に課せられている使命というかもしれませんが、与えられた仕事を行うことで貢献をしているのではないかと考えます。

現場作業者は、そう考えているでしょう。

それ以上に何かを求めるのであれば、それなりの見返りが必要です。

給料アップというかもしれませんが、多くの場合、与えられた課題達成に対する見返りとしては不十分です。

また、さまざまな働き方ができる時代なので、自分が望むスキル・知識アップの方法は、星の数ほどあるのが今の時代です。

そんな中で、会社の人材育成を受ける必要性・理由を明確に伝えてもらえないと、納得はできないでしょう。

なので、相手の人生の将来のビジョン・使命(ミッション)に寄り添った人材育成が必要不可欠だと考えます。

自分の将来のビジョン・ミッションと会社の将来のビジョン・ミッションが、合致していれば、人材育成を受ける動機付けになります。

そこで問題になるのが、多くの現場作業者は、自分の将来のことは考えていません。
なので、将来のビジョン・ミッションなんて、ないに等しいと言えます。

あるとすれば、「今の生活が続けばいいな」とか、
「もう少し給料がほしいな」とか
「このまま代わり映えのしない生活をしたいな」といった、
具体性に欠けたなんとなくのビジョンです。

そういった人たちに、会社のための人材育成の必要性、重要性を訴えても「暖簾に腕押し」状態です。

言い換えれば、他人事です。それもそうですよね。

与えられた仕事・作業は、真面目に、黙々と、文句も言わずに行っているのですから。

そんな心境の作業者が、人材育成を自分事と捉えるためには、どうするべきでしょうか?

先ほどもお伝えした「相手の人生の将来のビジョン・使命(ミッション)に寄り添った人材育成」なのです。

人材育成の定義を「企業の経営目標の達成や業績向上に貢献」から
「作業者の将来のビジョンを実現する」に変えてみては、どうでしょうか?

そうすることで、アプローチの言葉も業務命令から、もっと親近感がある言葉に変わってくるはずです。

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