第九話:居住者との売却交渉〜その2
私の実体験を元に不動産投資への失敗を書いていく。
少し時間を空けて、改めて居住者に物件売却の提案をする場を設けていただき、居住者の現況や生活における今後の展望等々、聞ける範囲でヒアリングしつつ、本物件売却について、私個人の手出しは発生するが、市場価格相応で売却の提案をしたところ、かなり前向きに検討いただけることになった。
ただ、一番の懸念はローンとのこと。頭金は難しいため、頭金無しのオーバーローンは確実、且つ属性的に満額でローン審査が通るかどうかも不明。価格帯としては、近隣地区の売買平均以下だが、当然数百万円というような買い物ではなく、状況によっては難しいこともある。
一度持ち帰りだが、1週間後を回答期限ということで、その場を後にした。ヒアリング内容含め、かなり物件購入に近づいた気がして、同席してくれた知人不動産屋も、あとは1週間後に「買います」という返事をもらうだけですね、というような若干楽観的であった。
そして1週間後、夕方近くにメールが届いた。
そこには、一言。「今回の売買は遠慮させていただきます。」とのこと。
細かな理由等も書かれておらず、私は理由を聞かせてほしいとすぐに電話をした。
すると、1週間で両方の親や知り合いの不動産屋に相談したそうだが、物件自体は買っても問題ないと思ったものの、満額で住宅ローン仮審査に出したところ、融資可能金額は満額を相当下回ったことから、一気に及び腰となり、自分達にとっては身の丈に合った買い物ではないと判断されたとのこと。
ローンも、メガバンクの変動金利とかではなく、手堅くフラット35の固定金利で審査にかけたそうだがダメだったそうだ。
確かに、フラットでNGとなれば相当厳しいと思う。
一度買わないと決めたら覆すのは難しいし、まして覆ったとしてもローンが通らなければそもそも買うことはできないので、諦めるしかなくなった。
銀行からは、現居住者と折り合いをつけて退去いただき、本人居住を迫られているが、居住者は引越し代金も賄えない状況であり1年は待ってほしいと毎月会話をしながら先延ばしの対応をしていた。
ただ、売却できれば、それらの調整も不要となるので力を入れていたが失敗に終わったのだった。
居住者への売却ができなかったとなれば、退去いただき空室とし、全方位で販売をする、それでも売れなければ本人居住とする、この順番で進めることにした。
第九話を振り返って思うこと
居住者への売却が決まって丸く収まるという淡い期待は一瞬で消え、次の山場を迎えることになったのだが、想定内といえば想定内。よく不動産投資で失敗したら株投資と違ってすぐ損切りして翌日から0発進はできないと言うが、ここ数ヶ月、日々その言葉を噛み締めていた。こうなればこの大きな課題を解決すべく、できる限りのことをするしかない。
次回、第十話、退去交渉・販売準備