#不動産取引バカラ
一枚目のカードは「12%」。
強いカードだ。
仮に二枚目が「郊外」、「徒歩15分」でもまだ買える。もし「都心三区」、「タワーマンション」がきたら…。
買付の掛け金はミニマム10M以上のハイレート。出目は前回「無接道」と「代々木上原」、「旧耐震」と「相続」でプレイヤーの勝利が続いている。
「(プレイヤーだ…)」
勢いのある方に乗りたい。
バンカーのカードは「シェアハウス」と「雑色」。再建不可かせいぜい敷延だろう。安全条例がかかって長屋しか出来ない土地だ。大した値段がつくとは思えない。
「(プレイヤーだろ。)」
カウパー都市開発に大きな取引の機会が巡ってきた。これは買える。
50M投じているカウパーに、ディーラーがスクィーズを促す着席の合図を送った。
いけるんじゃないか…。テーブルに手を伸ばし、二枚目のカードの両端をそろそろと絞る。
「路」…アシありだ。
見守る参加者達から無言の歓声が聞こえた。
「1項1号」来るか…。それなら容積300%以上は固い道路付けだ。持って良し、売って良しだ。
参加者の視線が手元集まっている。
買える。
買える。
これは買える…。
「水路」
期待のエンドルフィンで満たされた脳が何も考えられないまま捲ったカード。
「バンカーウィン」
「(どエンドくんの出口じゃねーか)」
周囲から大きな溜息が漏れる声が聞こえた。