スポーツをつくるとは、アート
アートとは、社会や時代や常識に対する「問い」を、洗練された手法を用いて世間に投げかけ、それを見る人の意識の壁を壊すもののことである。目に見えない闇や来たる未来を映し出し、見る者の世界をガラッと変えてしまう。
そして「問う力 = アート思考」が画期的であればあるほど、そのアートの価値は高まる。優れた「問い」を発する人をアーティストと呼び、問う力が優れたアーティストほど評価される。
また、アーティストはクライアントの依頼通りにデザインするデザイナーとは違う。自身の中に内在する「問い」を誰から頼まれることもないのに社会に対して発する。
と、『〈問い〉から始めるアート思考』の中で吉井仁実さんは言う。
アートの表現方法として、絵画、彫刻、写真などのようにモノを「つくる」ことが一般的ではあるものの、目に見えるモノを介在させずとも、体験や仕組みなどを通して、社会に対して優れた問いを発していればそれはアートであるとも。
このようなアートの定義でいえば、ラピッドボールはアートだと言える。
ラピッドボールは、既存のスポーツの常識とその常識の中で生きてきた人たちの意識の壁を壊す。解釈はする人や観る人に委ねられるが、僕なりの答えもユニークな仕組みで提示している。
この「新しいスポーツをつくる」という行為が、芸術的に洗練されているのかどうかはわからんし、もちろんアートとして評価されてもいないが、誰に頼まれるでもなく、僕の中に内在する「問い」を社会に投げかけているつもりでいるし、これからも続けていくつもりだ。