超絶胸糞映画『ミスト』 霧が晴れたら見えるもの(ネタバレあり)
本当に今更ながら『ミスト』を観ました。
強烈でした!
『ラストがスゴイ』と映画ファンには有名な本作。
あまり興味もなかったのでそれ以外の情報がほぼないまま鑑賞できて良かったです。
あらすじとしては、田舎町に突然謎の霧(ミスト)が発生。
どうも霧の中には何かがいるらしい。
たまたまスーパーマーケットに居合わせた住民たちに訪れる恐怖を描くパニック・ホラー。
ストーリー自体は凄くベタで王道ですが、そもそも映画として面白いと思いました。
以下、ネタバレがあります
ネタバレと言っても2007年の作品ですし、ラスト以外はそんなに問題ないと思います。
まずスーパーマーケットに逃げ込む。この設定がベタで良いですよね。
この設定はゾンビものでよく使われます。
食料他、物はいっぱいあるし、何かあったら対処できる。
その反面、誰が仕切るかなどで揉め事も起こしやすい。
アメリカの田舎町設定なので保守的な地元住民、都会から移り住んできた人との分断があり、人種、宗教、職業や学歴など、それぞれのアイデンティティにまつわるいざこざが発生する。
いわゆる『ヒトコワ』(一番恐ろしいのは人間だった)が描かれるのもこの手の映画の基本です。
そしてスーパー内にとどまって助けを待つ派と車で逃げ出そうとする脱出派という最大の対立構造が生まれます。
それぞれのキャラの描き方も秀逸で『何か』が出てこなくても非常にスリリング。
そして本作が掟破りな点の1つ目が『信じる者は救われる』の原則を思い切り裏切っていくこと。
多くの作品で熱心な宗教信者は疑われたりバカにされたりしながらも最終的には正しい道を選び、人々を救ったりします。
本作も途中まではその展開かと思わせておいて、その信者が住民たちを懐柔、洗脳し始めます。
この厄災を呼び起こしたのは人間であり、鎮める為には生け贄が必要であるなどと、怖いことを言い出し、スーパーからの脱出派と衝突。
結果、頭を打ち抜かれて殺されます。
OMG!神様を信じていたのにこの仕打ち!これは意外な展開!面白い!
怪物たちとの闘いよりも非常に恐ろしい人間同士のいざこざ。
分断と不寛容が生む軋轢。閉鎖された空間と未知の恐怖に直面したことで精神的に追い詰められて行く人々。
これは正にコロナ禍の世界を予見していたかの様じゃないですか?
ついに脱出を決断する主人公チーム。
車に辿り着くまでに仲間は減っていきますが、意外とあっさり脱出成功。
スーパーに残った人々の前を車で通り過ぎていくのをスローモーションで見せる辺り、巧いですねぇ。
さて、ここからラストに向けたネタバレがあるので、未鑑賞の方は覚悟してくださいね。絶対に観てから読んだ方が良いです。
本格的なネタバレ行きます
ガソリンが切れるまで走って、霧を抜け出せなかったら脱出は失敗。
まあ普通の映画だったら、ガソリン切れた・・・でも、走って逃げよう!まだ望みはある。諦めちゃダメだ!みたいな展開になるじゃないですか。
それで化け物に追い付かれそうなギリギリのところで、逃げ切ったり、はたまた退治方法がわかったりでハッピーエンド。
本作、真正面から掟破り!
「脱出失敗だぁ。死のう・・・」って、ええええええええぇぇぇぇぇええ!
諦めるの早くないですか!?
銃に残った弾は4発。生き残ったのは子供含めた4人。
いや、でもまだきっとここから何か生き残る道が・・・。
パーン!パーン!パーン!パーン!
そうか!子供だけ残してのパターンな・・・。
え?親父生きてるぞ?
うっそーーーーーーーん!
アメリカ映画では子供を殺すのは掟破りでしたよね?
確かに伏線ありましたけど、普通それは『やっぱり殺さない』為の伏線じゃないですか~。
う~ん、確かにこれは胸糞だ。
勿論、ラストはあれだよね。親父が怒り狂って化け物退治だよね?
いや、これ胸糞映画で有名なヤツだし、親父も簡単に殺されて終わりか?
そっちか~!本当に極悪だなぁ。
甘かったです。
想像を超えた極悪胸糞ラストでした。
よくこんな話を思いつくなぁ。
思いついても普通発表できないでしょ。
『お前どんだけ意地悪いんだよ』って思われるよ。
人生において自分を過信しすぎるな。
人は間違える生き物である。
究極の選択は自己責任。
などなど、教訓がいっぱい詰まった名作でした。
From AleJJandro Hiderowsky